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最悪人にもうつることも!「猫カビ」にまつわる飼い主さんの疑問|獣医師が解説します!

猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答! 

今回は「猫カビ」について、治療法は? 再発のリスクは?といった疑問を取り上げます。
お話をお伺いした先生

重本 仁先生
王子ペットクリニック院長(東京都北区)

糸状菌というカビの胞子が被毛に付着し、脱毛など皮膚病を引き起こす

画像/iStock、Getty Images Plus
顔周りに脱毛があったら要注意⁉
猫カビ(皮膚糸状菌症)はカビ(真菌)の胞子が被毛や皮膚に付着、増殖し、内部に侵入して発症します。一般的には、この猫カビの菌をもっている猫と接触することで感染。代表的な症状は脱毛で、おもに顔周りの被毛が束になって抜けます。猫によっては、かゆがる様子が見られることも。動物病院では、真菌に当たると発光する特殊な光を使う検査や、顕微鏡検査や真菌培養検査などで感染の有無を確認。その後、治療を開始しますが、完治までに長い時間を要し、数カ月かかることもあります。
猫カビは人にうつることもあり、体に紅斑などができ、強いかゆみを生じます。また、感染猫を触った飼い主さんがそのまま菌を家に持ち込み、愛猫が感染してしまうケースもあるので注意が必要です。

猫カビのおもな初期症状

◦ 顔周りなどに脱毛がある
◦ 特定の部位を気にするしぐさが見られる
◦ 顔の皮膚が赤くなっている

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」① 

動物愛護センターから引き取る前に猫カビが見つかり、
そのままセンターで獣医師の治療を受けました。
3カ月後、家に迎えましたが、
まだ耳に症状が残っていたので動物病院に通うことに。
センターでは塗り薬、動物病院では飲み薬が処方されましたが、
治療法は変わるものでしょうか?

徳島県 横関美佳さん
蒼ちゃん(メス・5才)
※猫カビと診断されたのは3カ月齢当時。

子猫には負担が大きい 薬もあり、成長具合を見て治療を変えることがあります

猫カビは母子感染が多く、大半が子猫期に発症します。そして栄養状態がよくなかったり、免疫力が低下したりしていると悪化しやすくなります。
治療はまず、患部周辺もしくは全身の被毛を刈って、薬用シャンプーで菌を洗い流します。その後、菌の増殖を阻害する抗真菌薬を飲ませ、塗り薬を処方することも。しかし、抗真菌薬の飲み薬は効果が高いのですが、子猫には体への負担が大きく、副作用が出るという報告も。そのため、生後間もない子猫には、まず薬用シャンプーと、場合によっては塗り薬を治療に使います。蒼ちゃんもまだ子猫だったので、成長過程と健康状態を見ながら、治療法を変えていったのではないでしょうか。また、子猫の場合、完治するまでに長くかかるケースがあります。

イラスト/はなさきロージー

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②

家に迎えた直後の健康診断でお腹に猫カビを発見。
完治して6年経ちますが再発のリスクはありますか?
また、シニア猫が猫カビを発症すると命に危険があるかも知りたいです。

埼玉県 S・Kさん
ラムちゃん(メス・7才/ラパーマ)
※猫カビと診断されたのは2カ月齢当時。

完全室内飼いであれば再発することはないと考えていいでしょう

猫カビの発症時に、猫が使っていた猫ベッドなどのグッズに真菌の胞子が残っていると、再び被毛に付着して、再発するリスクはあります。ですから再発を防ぐには、治療と並行して、住環境の消毒を徹底することも重要。その上で、完全室内飼いの猫ならば、完治後は再発しないでしょう。
この病気は真菌の胞子が被毛に付着した猫のすべてが発症するわけではなく、一般的に健康状態のよい成猫が発症することはほとんどありません。ただ、免疫力が低下しているシニア猫や、糖尿病や腎臓病などの基礎疾患がある猫は発症するケースも。猫カビが原因で命を落とすということはないと考えられますが、猫カビを発症している際の猫の体調には注意しましょう。
イラスト/はなさきロージー
薬用シャンプーで全身を洗うと、真菌が付着した抜け毛を落とすとともに、住環境に真菌が広がるのを防ぎます。獣医師の指導のもと、自宅で行うことも可能です
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。
いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2021年7月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/ハナマサ
イラスト/はなさきロージー
※この記事で使用している画像は2021年7月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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