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完治できないことも…!? 猫の「口内炎」にまつわる飼い主さんの疑問|獣医師が解説します!
猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答!
今回は「口内炎」にかかりやすい年齢は? 治りやすさは?といった疑問を取り上げます。

重本 仁先生王子ペットクリニック院長(東京都北区)
口内炎にかかると、口内の粘膜に強い炎症が起きて、 生涯にわたり治らないケースも
口内炎とは、口の中の粘膜に炎症が起きた状態のことですが、人と猫とでは症状や経過が違います。猫の場合は、口内の広範囲にわたって赤みや腫れ、潰瘍などが見られ、かなり激しい痛みを感じていることがあります。また、何年間も治らないことが多いのも、猫の口内炎の特徴といえます。
口内炎を放置していると、フードが炎症部分に触れると激しく痛むため、「食べたいのに食べられない」という状態が長く続き、猫は辛い思いをします。早期発見のためにも、下記のような症状が見られたら、すぐに動物病院で受診が必要です。ウイルス感染、免疫力の低下などが原因の可能性もあるので、獣医師にしっかり診てもらいましょう。
口内炎のおもな症状
◦しきりに口周りを気にして前足で触る
◦よだれが増える
◦フードを食べるときに痛がる
◦口臭がきつい
飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」①
軽症なので抗生剤の投与で様子を見ることに。
若い猫や子猫のうちから、
口内炎になってしまうこともあるのでしょうか?
栃木県 K・Yさん
みくりちゃん
(メス・5才/スコティッシュフォールド)
※口内炎と診断されたのは1才当時。
ウイルス性の病気にかかると若い猫でも発症します
猫の口内炎の原因は、猫カゼを引き起こす猫カリシウイルスをはじめ、猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスなどが、関係しているケースが多いといわれています。程度にもよりますが、これらのウイルスにすでに感染していると、若い猫や子猫でも口内炎を発症する可能性は充分あるでしょう。
また、猫自身の免疫システムの異常や、口内の細菌が口内炎に関係していることも考えられますが、ときに原因不明のこともあります。口内炎を予防するには、デンタルケアで細菌の温床となる歯垢・歯石の付着を防ぐことが大切です。
飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②
口内炎と診断されて、
「治らないかもしれない」と言われました。
完治させる方法はないのでしょうか?
千葉県 N・Iさん
サラちゃん(メス・17才)
※口内炎と診断されたのは16才当時。
確実に完治させる方法はありませんが抜歯治療は有効です
口内炎の治療は、症状の状態によりますが、一般的には対症療法が中心です。比較的症状が軽い場合は、まず口腔環境を清潔にし、抗生剤や炎症・痛みを抑えるステロイド剤などを投与。初期であれば、この内科的治療で改善が望めるでしょう。
重症の場合は、全身麻酔をした上で、炎症がひどい部分の歯や、すべての歯を抜くことがあります。この抜歯治療が有効なケースもありますが、残念ながら必ずしも完治するとは限りません。また、当院ではウイルスを抑えるインターフェロンの投与や塗布、再生医療などの治療も行っています。
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。
いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2021年6月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/ハナマサ
イラスト/はなさきロージー
※この記事で使用している画像は2021年6月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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