猫と暮らす
UP DATE
猫ものどが痛くなるの?…猫の「気管支炎」にまつわる飼い主さんの疑問|獣医師が解説します!
猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について獣医師が回答!
今回は「気管支炎」の症状や詳細な検査内容などについての疑問を取り上げます。

藤原亜紀 先生日本獣医生命大学獣医放射線学研究室准教授
気管支炎はアレルゲンや細菌・ウイルス感染により気管支に炎症が起こる病気
気管支炎とは、植物やタバコの煙などのアレルゲンや、細菌・ウイルス感染などが原因で、気管支に炎症が起こる病気です。とくに若い猫の場合、猫カゼをこじらせて感染・炎症が気管支まで広がり、気管支炎を発症することが多いでしょう。高齢猫は、完治は難しい「慢性気管支炎」や、炎症によって細くなった気管支により呼吸困難に陥る「猫喘息」の発生が多くなる傾向に。いずれも初期は軽い咳をすることが多いのですが、進行すると腹式呼吸や食欲・活動量の低下が生じて呼吸困難に至り、命を落とすこともあります。
治療は、猫カゼなどの感染が原因であれば抗菌薬や、鼻汁や鼻閉(鼻づまり)などの症状が見られたら点鼻薬を投与。慢性気管支炎や猫喘息の場合は、ステロイド薬などを使った治療が一般的です。
気管支炎のおもな症状
●咳をする
●呼吸の回数が多くなる
●呼吸をするときに胸からヒューヒュー・ゼーゼーと音がする
飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」①
猫カゼがきっかけで気管支炎を発症したという診断でした。
猫ものどに痛みを感じるのでしょうか?
また、症状を和らげるために何か自宅でできることは?
宮城県 C・Hさん
ガブリエラちゃん(メス・12才)
※気管支炎と診断されたのは11才当時。
のどに痛みはあるので飲み込みやすい食事に変えましょう
猫カゼが原因の場合、鼻→のど→気管・気管支へと炎症が広がっていくため、のどに炎症があると、猫も人と同様に痛みを感じるでしょう。そのためフードが飲み込みにくい、えずく、声が出にくい・かすれるといった症状が特徴的に見られます。
自宅でのケアは、飲み込みやすいウエットフード(総合栄養食)に変えるのも一案です。ウエットフードを電子レンジで人肌程度の温度に加熱すると、のどへの刺激が和らぐでしょう。また、のどの痛みが緩和される消炎鎮痛薬もあるので、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②
レントゲン検査などの結果、軽度の気管支炎が見られました。
飲み薬で治療しましたが、たまに咳をしています。
今後、詳細に調べたほうがいいでしょうか?
また、どのような検査を行いますか?
東京都 R・Tさん
cocoちゃん(メス・4才/ラグドール)
※気管支炎と診断されたのは3才当時。
症状によってはCTや気管支鏡検査が行える大学病院の受診を検討
cocoちゃんは一度治療をしたにもかかわらず、まだ咳が出ているとのこと。その経過から、慢性気管支炎か猫喘息を患っている可能性があります。どちらも完治は難しいのですが、まずは詳細な検査をしたうえで、適切な治療をすることが、病気を進行させないためには大切です。
確定診断のための検査は、全身麻酔をかけたうえで、CT検査と気管支の中を観察する気管支鏡検査などを行うのが基本です。この専門的な検査は、大学病院など二次病院で行います。まずは、そのような検査が必要かどうかを見極めるために、かかりつけの獣医師に相談のうえ、二次病院の受診を検討するといいでしょう。
CT検査は、Ⅹ線を使って体の断面を撮影。気管支鏡検査は、細長い内視鏡を使って咽頭から気管支までを確認します
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。
いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/藤原亜紀先生(日本獣医生命大学獣医放射線学研究室准教授)
参考/「ねこのきもち」2021年5月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/ハナマサ
イラスト/みやしたゆみ
※この記事で使用している画像は2021年5月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
UP DATE