猫と暮らす
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猫カゼがきっかけで発症する猫の7つの病気
ほかの病気を引き起こし、こじらせるとコロナと同じで肺炎になったりすることもある、身近でやっかいな病気です。
猫カゼにかかるとどんな病気を発症しやすくなるのか、埼玉県・ノヤ動物病院の野矢雅彦先生にうかがいました。
猫カゼは母猫から感染するのが大半です
「外で暮らす猫は治療を受けられないため、感染が蔓延しやすい傾向に。なかでも、感染した母猫が妊娠・出産をすることで、子猫に感染するケースが多いです。こうした背景をもつ保護猫を迎える人が多いことが結果に影響したのでしょう」と野矢先生。
猫カゼは早期治療で悪化を防ぐことができると言われる一方で、再発や慢性化するリスクも。早めの対策で愛猫の健康管理に努めましょう。
猫カゼと併発しやすい4つの病気
1. 結膜炎
目に異物が入るなど体外からの刺激が原因で、まぶたの裏にある粘膜と白目の部分が炎症を起こす病気。猫カゼが原因の場合は、感染ウイルスが粘膜部分を刺激しやすく、水のような涙が出ます。また、粘り気の強い目ヤニなどの症状が見られるのが特徴です。
2. 口内炎
口内炎は一般的に歯石から発生した歯周炎により、歯肉や粘膜に炎症が起こる病気。カリシウイルスによる猫カゼや猫エイズ(FIV)が併発すると、歯肉や舌に強い炎症を起こすことが。痛みから食欲不振やよだれを垂らすなどの症状が見られます。非常に治りにくく、再発しやすいのも特徴です。
3. 鼻炎
鼻炎の多くは、猫カゼの感染ウイルスが鼻腔で増殖し、炎症を起こします。水のような鼻水が出て、徐々に黄色や緑色の粘り気のあるものに変わり、鼻づまりを起こすことが。そのため猫は口呼吸をしたり、ニオイに鈍感になって食欲が落ちたりすることもあります。
4. 関節炎
加齢や体重増加により骨と骨の間のクッションを担う関節に炎症を起こす病気。また、猫カゼの原因となるカリシウイルスは全身の関節液に潜伏するため、活発化すると発症することが。
痛みから高いところに上らないなど、見た目では気付きにくいケースも。
慢性化すると発症しやすい3つの病気
1. ヘルペス性角膜炎
角膜(目の表層の部分)が炎症を起こす病気。角膜は結膜に隣接するため、ヘルペスウイルスによる結膜炎が長引き、痛みやかゆみから目をこすり続けると、炎症が広がって発症することがあります。悪化すると角膜が壊死し、黒い斑が見られるようになります。
2. 気管支炎
気管支に炎症を起こす病気。鼻炎が悪化すると、徐々に咽頭、さらには気管や気管支まで炎症が広がり、乾いたような咳や軽度の発熱が見られます。症状が重くなると胸に痛みが出るため、触られるのを嫌がったり、ちょっと動いただけでも咳がひどくなることもあります。
3. 肺炎
免疫力が弱い、もしくは落ちている猫が猫カゼにかかると、一気に肺まで炎症が広がることが。呼吸困難に陥り、荒い呼吸や開口呼吸をする様子が見られます。高熱により元気がなくなり、伏せたまま動かなくなります。命に関わるため症状が見られたらすぐに受診が必要です。
野矢先生が提唱する猫カゼの予防法は「ワクチン接種」「ストレスのない環境づくり」「室温管理の徹底」「外で猫に触れたときの着替えと手洗い」の4つです。
寒い時期にはますますかかりやすくなるので、ぜひ意識して対策したいですね。
イラスト/岡本ゆうき
写真/中川文作
文/ハナマサ
※この記事で使用している画像は2021年10月号『寒い時期から増える猫カゼがきっかけで発症する7つの病気』に掲載しているものです。
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