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猫の目ヤニの原因・診断・対処法について

人間でも朝起きると目頭についている目ヤニですが、猫でもしばしば目ヤニがみられます。今回は私たちにも身近な生理現象である、猫の目ヤニについて、その原因や診断、対処法をご紹介いたします。
目次

・猫の目ヤニの原因
・目やにの色や出方による診断
・目やにの対処・予防・ケア法
この記事は、ねこのきもち相談室の獣医師が執筆しています。

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猫の目ヤニの原因

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そもそも目ヤニとは何なのでしょう。目ヤニは目からの分泌物で、医学用語では眼脂(がんし)とよばれます。目ヤニに含まれるものは大まかに、結膜(まぶたの内側と白目をおおう薄い膜)などから分泌されるムチンを主成分とする粘液・まぶたからの老廃物・目に付着した塵やほこり・血液成分です。これらの集合体が目ヤニとなって出てきます。正常な目ヤニは日々の新陳代謝に伴い分泌され、目頭や目のふちに少量付着します。正常な目ヤニの色は乳白色・赤褐色~こげ茶色などですが、目に異常がおこると量が増えたり、色に変化が見られたりします。目ヤニに異常をもたらす主な原因としては、ウイルスや細菌による感染症・異物・外傷・先天的なもの・眼球の病気などが考えられます。

目やにの色や出方による診断

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正常な目ヤニの色は乳白色・赤褐色~こげ茶色ですが細菌感染を引き起こすと緑色となり粘り気がでます。また、目ヤニが少ないことは特に問題ではありませんが、多く見られる場合は目に何かしら問題が起きている可能性があります。このため色が正常であっても普段より量が多い場合は注意が必要です。

◯両目に目ヤニがみられる場合

感染症が原因であることが多く、最も多くみられる原因は猫風邪です。猫風邪とは、猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス・クラミジアの感染による猫の上部気道感染症をいいます(上部気道とは鼻から喉にかけての部分を指します)。原因となる猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス・クラミジアが単独もしくは混合感染することにより発症します。猫風邪は外にいた経験のある猫に比較的多くみられます。仔猫の時に親猫や周りの猫から感染してしまったケースが目立ちます。主な症状は鼻水やくしゃみなどの風邪症状の他、口内炎や結膜炎を引き起こします。この結膜炎により目ヤニが増えるのです。また、ヘルペスウイルスやカリシウイルスは一度感染すると生涯ウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下した時に活発に活動し猫風邪の症状を出します。季節の変わり目などの免疫力が下がりやすい時期に目ヤニが増える場合は、猫風邪が原因している可能性が高いでしょう。また、猫風邪は最初に強く感染してしまったりこじらせてしまったりと慢性的に涙目をなることがあり、この場合は季節を問わずに目ヤニが多くみられます。猫風邪の際の目ヤニの色は、ウイルスが主な原因となる場合は赤色~赤褐色ですが、二次的に細菌感染が起こると、緑色のドロッとした目ヤニが見られます。

◯片目だけに目ヤニがみられる場合

眼の外傷や、異物が原因かもしれません。眼の外傷は外に出る猫にみられることが多く、原因は猫同士のケンカです。傷を受けたることにより角膜(いわゆる黒目の部分)潰瘍を引き起こします。爪は汚いため受傷した部分は細菌感染を引き起こすことが多く、緑色のドロッとした目ヤニがみられます。痛みも強いため、片目をつぶった状態になっていることが多いでしょう。また、目に砂埃や植物などの異物が混入した場合も角膜や結膜に炎症や感染が起こり、外傷の時と同じような症状が出ることがあります。猫風邪が慢性化してしまうと、片目だけ涙目になったり目ヤニが多くなったりすることがあります。色は赤色~赤褐色です。

◯猫風邪をひいていないのに目ヤニが見られる品種

猫風邪をひいていないのに、幼少期から目ヤニが多くみられる品種があります。ペルシャやエキゾチックショートヘアなどの鼻ぺちゃな外見が特徴の短頭種です。眼と鼻をつなぎ、涙を鼻に排出する役割をする鼻涙管という構造がありますが、短頭種の猫はそれが狭かったり詰まっていたりすることがあります。このため、涙があふれて慢性的に目ヤニが見られます。目ヤニの色はこげ茶色や黒色です。その他、先天的に眼の縁が内側に巻き込まれた状態の眼瞼内反症を持つ猫は、内反している部分の毛が眼球にあたる刺激により慢性的な目ヤニがみられます。目ヤニの色はこげ茶色や黒色です。

その他、眼球の病気により目ヤニが多くみられることがあります。瞳孔の大きさが左右の眼で違っていたり、眼が濁っていたりする場合は眼球に異常がでている可能性が高いため、早めに受診しましょう。

目やにの対処・予防・ケア法

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目ヤニの治療は、その原因に応じて行います。猫風邪が原因となっている場合は、抗生剤、インターフェロンの内服薬や点眼薬を使います。しかし原因となるウイルスを自身の免疫力を持って抑え込まない限りは症状が消えることはありません。あくまでも抗生剤やインターフェロンはその補助的な治療でしかなく、こういった薬を使用してもすぐに治ることは少ないように思います。また、猫エイズや猫白血病、老齢であるなどの免疫力が下がる要因を持っている場合は収まりが悪く慢性的に目ヤニが続くことがあります。本人がグルーミングできれいに保てる場合はいいのですが、こびりついてしまっていたり取れにくかったりする場合は拭いてあげましょう。ふき取る際は、清潔なコットンを湿らせ、優しく拭ってあげましょう。こびりついている場合はコットンをよく湿らせてから目に当てて、目ヤニをふやかしてから拭うと取りやすいでしょう。清拭用の点眼液もあるので、かかりつけの病院に聞いてみてもいいかもしれません。

外傷の場合は抗生剤や角膜保護剤の点眼薬で治療をすることが多いでしょう。痛みが強い場合は痛み止めを使用することもあります。違和感から気にして目を引っ掻いてしまい、症状を悪化させてしまうことがありますので、エリザベスカラーの着用も必須です。異物が入った場合は目を洗浄して異物を取り除くほか、外傷の時と同様の治療を行います。

鼻涙管狭窄が原因の場合は、根本的な治療が難しいため、日ごろから目ヤニをきれいにふき取ってあげる必要があります。目ヤニがついたままにしておくとその部分に皮膚炎を起こすことがありますので、予防のためにも定期的な清拭がおすすめです。

眼瞼内反症の治療は、軽度であれば定期的な清拭を行い、様子を見ていくでしょう。重度の場合、手術によって内反している部分を整復することがあります。

眼球の病気による目ヤニの場合は、その原因に応じた治療を行います。
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