多くの人に知られ、愛されている猫種のなかには「奇跡」と呼べる稀な確率で誕生した猫がいます。どんな奇跡がキッカケとなって、人気の猫種が生まれたのでしょうか? ほかに類を見ない猫種のルーツと魅力を、猫研究家の石原さくらさんに聞きました。
突然変異で生まれた猫を保護したことが始まりの「マンチカン」
突然変異で誕生した足の短い猫が、アメリカのルイジアナの路上で保護されました。その猫がマンチカンの始まりです。1980年代から北アメリカで繁殖が続けられ、1995年に公認された、比較的歴史が浅い猫種です。
小柄な体型ですが、ジャンプ力に優れている特徴が。低い姿勢で駆け回る姿から、「猫のスポーツカー」とも呼ばれています。
4分の1の確率でアビシニアンから派生した「ソマリ」
ソマリは、アビシニアンの親戚です。長毛の遺伝子をもつメスとオスのアビシニアンから、4分の1の確率で長毛の猫が誕生するように。1950年代以降、カナダやアメリカのブリーダーによって繁殖が進められ、1960年代にソマリと命名されました。フサフサとしたしっぽが特徴です。
多くの人に愛される猫種のなかには、偶然や突然変異で誕生した猫がいるのですね。今回は、スコティッシュ・フォールド、マンチカン、ソマリのルーツをご紹介しました。
折れ耳の子猫を産む母猫から誕生した「スコティッシュ・フォールド」
1961年にイギリスのスコットランドの農場で、突然耳が前向きに折れた、真っ白い猫が誕生しました。この猫が、2年後も同じように耳の折れた子猫を産み、その猫に興味をもった夫婦がブリティッシュショートヘアと交配。1970年にはアメリカへ渡り、アメリカンショートヘアなどとの交配が進み、スコティッシュ・フォールドが誕生しました。
繁殖においては、折れ耳同士の交配は禁止されています。
お話を伺った先生/石原さくらさん(猫写真家 猫研究家)
参考/「ねこのきもち」2022年8月号『ミックスも登場 ルーツは? 魅力は? みんなの猫種図鑑』
文/小崎華