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殺処分ではなく生かすための施設へ転換した「神奈川県愛護センター」の取り組みとは

昭和47年に開所した神奈川県犬管理センターは、当時殺処分も行われた施設でした。
そこから時代は変わり、「生かすための施設」として生まれ変わった神奈川県動物愛護センター。
新しい施設で始まったセンターの取り組みを紹介します。
*記事内容はすべて、2023年5月30日現在のものです。

保護された猫たちを生かす施設として

撮影/後藤さくら
神奈川県平塚市の北部にある神奈川県動物愛護センター。見学バルコニーからは、美しい山容を誇る大山を見渡すことができます。周囲の自然と調和した建物にはガラス張りの部分が多く、館内には自然の光がたっぷり降り注ぎます。

1階は保護動物の健康をケアするフロアで手術室や処置室、2階は動物たちの生活エリア。猫のための部屋もたくさんあります。
撮影/後藤さくら
見学バルコニーからは猫たちの部屋を自由に見ることができます
「センターは令和元年6月に開所。保護された動物が可能な限り快適に過ごし、新しい飼い主さんに出会えるようにと工夫を凝らして設計されました」と、愛護・指導課課長の廣井惠津子さん。前身は、昭和47年に開所した神奈川県犬管理センター。昭和・平成の時代は殺処分も行われた施設でした。

しかし平成25、26年度の殺処分ゼロ達成を受けて、老朽化していた施設を建て替えようという機運になりました。さらに数年後、平成30年には今も継続している「かながわペットのいのち基金」がスタート。たくさんの寄付が寄せられ、神奈川県内で動物愛護意識も高まりました。そして「処分するための施設から、生かすための施設へ転換を図ろう」というコンセプトをもって、現在の施設が完成したのです。

譲渡には講習会受講と個別面接が必須

撮影/後藤さくら
殺処分ゼロの継続には、県内各地の保健所やボランティアさんたちの頑張りがあります。保健所やセンターに猫を持ち込みたいという人には、周りに引き取り手がいないかを探してもらい、それでもダメなら次はこの方法と、できるだけ飼い主さんに解決してもらえる提案をし、安易に引き取ることはしません。
撮影/後藤さくら
猫たちと触れ合うことができる部屋
一方、センターで猫を譲り受けたいと希望する人は、譲渡前講習会を受けることが必須(オンライン可)で、そこからお目当ての猫がいたら面接の予約をし、センターに来所して個別面接。
「面接は時間がかかるので、一日に午前と午後で2件しか対応できないのです」(廣井さん)。「この猫がいい」との希望がある場合も、猫の性格もあるので家族構成等を聞いて、お互い納得のいく猫を譲り受けてもらえるよう担当者が見極めます。
写真提供/神奈川県動物愛護センター
保護された猫は、まず血液検査などで状態の確認
保護猫はケガをしていたり、病気だったりする場合もあるので、そういった事実も包み隠さず伝えます。その上で納得いただいた場合も、一旦家に帰って再度家族で話し合い納得してもらってから、後日お渡しするといいます。引き取り側の不安を解消するまで話し合うため、どうしても時間がかかるそう。ですが、最期まで猫に寄り添う責任を理解してもらうために必要な時間なのです。
館内には、猫たちのプロフィール写真と特徴を書いた掲示物も。たっぷりの愛情を受けた猫たちが、一日でも早く新しい飼い主さんと出会えるようにSNSもフルに活用。まさに一つひとつの取り組みの積み重ね。その先にある猫の幸せをセンタースタッフ全員が願っています。
お話しをお伺いした人/神奈川県動物愛護センターのスタッフ
出典/「ねこのきもち」2023年8月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら 写真提供/神奈川県動物愛護センター
構成/小出広子

※この記事で使用している画像は2023年8月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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