昭和47年に開所した神奈川県犬管理センターは、当時殺処分も行われた施設でした。
そこから時代は変わり、「生かすための施設」として生まれ変わった神奈川県動物愛護センター。
施設で行われる新しい形の譲渡会や定期開催されるいのちの授業について紹介します。
*記事内容はすべて、2023年5月30日現在のものです。
オンライン譲渡会や対面式の譲渡会を開催
神奈川県動物愛護センターではここ数年、コロナ禍でリアルな譲渡会ができずにいました。そこで昨年度はオンライン譲渡会を開催したそうです。その日の猫たちの様子を見ることができるライブ配信を行いますが、カメラが何台も入るので、怖がってしまう猫がいたり、ほとんどの猫が緊張してしまうとか。
そこで、ふだんから保護猫に接しているスタッフが事前にリラックスしている猫の様子を動画に撮って、そこに説明を付けて流しています。「家に行った際、家族にはそんな姿を見せるだろうなという姿を撮って見せたくて」。
オンラインであっても、猫の性格が少しでも伝わるようにとのセンタースタッフの想いからです。「オンラインでの入退室は自由、参加費無料ですので、まだ猫を飼えないという方でも、気軽に参加いただけます」と廣井さん。
猫たちの紹介だけでなく、チャットによる質問も受け付けています。
センターから猫を迎えた飼い主さんへの質問コーナー、ミニセミナー「大切なペットのために備えておきたいこと」など役立つ内容ばかり。今年もオンライン譲渡会、対面式の譲渡会を計画中とのことで詳細は、ホームページにアップされるそうです。
動物愛護普及のためにいのちの授業やバックヤード見学を開催
「いのちの授業」は、神奈川県内(一部地域除く)の小学校や中学校で、昨年度は5回行われました。小学生向けには、「動物の気持ちを考えてみよう」、「動物のいのちを考えてみよう」といったプログラムで、聴診器で自分の心音を聞いてもらうなどして、いのちの大切さを伝えることに重点を置いています。
中学生、高校生には「殺処分ゼロに対する取り組み」を紹介して、自分自身ができることを考えてもらうための授業になっています。今年の3月にも行われた「バックヤード見学付きの神奈川県動物愛護センターについて学ぼう」では、神奈川県内に住む小学5年生から中学3年生を対象に、写真や動画を使って30分程度の座学をしてから、ふだんは入ることができないバックヤードを見学。
動物の収容エリアをメインに、白衣に着替えてから見学してもらって、保護された動物の状態や、個々の性格の違いなども見ていきます。動物好きの参加者がほとんどだと思いますが、動物愛護センターの役割への理解も深まり、さらにいのちを大切にする気持ちがふくらむようです。
お話しをお伺いした人/神奈川県動物愛護センターのスタッフ
出典/「ねこのきもち」2023年8月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら 写真提供/神奈川県動物愛護センター
構成/小出広子
※この記事で使用している画像は2023年8月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。