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【獣医が教える】猫の怪我の主な原因と注意する部位~治療法・治療費まで

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飼っている猫が外に出てしまって、帰ってきたら猫が怪我をしてしまっていた! そんな時、あなたは冷静に対処できる自信がありますか。外猫はテリトリー内での縄張り争いに当事するため、ケンカなどで外傷を負うリスクが高まります。また、屋外では、交通事故や高所からの転落などによる怪我も考えられます。怪我を負った猫の応急処置は、感染症を避けるために必要なケアです。しかし、間違った知識で手当てをしては、回復が遅れるばかりでなく状態を悪化させかねません。今回のコラムでは、特に注意すべき怪我の部位と種類、また応急処置時の注意など、飼い主さんに必要な知識について解説していきます。

猫の怪我の主な原因

猫の怪我の原因の中でも、動物病院の診療で出会うことの多い原因は、咬傷(ケンカ傷)や交通事故、転落などです。特に外で自由に暮らしている猫や、家の中で飼っていても外に出ていってしまう猫は、外に行った際に怪我をしてしまうことが多いです。怪我の種類はさまざまで、怪我を負った体の部位や怪我の大きさにより対処法は異なります。
猫の口の中や爪の間には非常に多くの雑菌がいるため、怪我をしてしまうと患部が雑菌に感染し、腫れたり化膿したりします。ウイルス性の伝染病も、こういった傷から感染することがあるので注意が必要です。ワクチンで予防出来るものもありますので、外に出てしまう猫の場合には獣医師と相談しながら、なるべくワクチンを接種するようにしましょう。
また、猫の怪我は気づかずに見過ごされるケースも非常に多いと思います。猫の体表は毛に覆われていますし、目に見えるような出血を伴わない怪我の場合は特にそうです。しかし、気づかない程度の怪我だからと油断していると、傷からの感染や内出血などで、どんどん具合が悪くなってしまうことがあります。外に出て帰ってきた猫の様子がいつもと違ったり、元気がなかったりする場合には、全身をよく観察し、痛がる場所がないかどうか、傷がないかどうかを丁寧に調べてあげましょう。

猫の怪我の種類と応急処置法

猫の怪我は、怪我の部位の大きさや深さなどにより対処法が変わってきます。
まず怪我の確認ですが、先述のように猫が怪我をしている可能性がある場合は、全身をよく確認しましょう。特に怪我をしている猫は気がたっていることも多いので、ヒトが怪我をしないように十分注意が必要です。可能であれば、全身をよく触って確認していきます。痛がったり嫌がったりする部位があれば、その部分は特に注意して確認します。乱暴に触ってしまったり、嫌がって暴れてしまったりすると怪我を悪化させることになりかねないので、無理のない範囲で行いましょう。

見てわかるような傷がある場合には、可能であればその周りの毛をペット用トリマーなどで刈って、傷の状態を確認するとともに、周囲に傷が無いかを確認します。そして傷と傷の周りを清潔な水で洗浄し、猫がそこを舐めたり引っ掻いたりしないように保護します。保護のためには、エリザベスカラーなどを用いるのが一番よいでしょう。包帯などを用いる場合には、必ず1日1回以上は傷をチェックして包帯を替えましょう。
擦り傷のようなものであればそのままにしておいてもすぐ良くなってくることも多いですが、切り傷や咬傷などは、幅は小さくても深い傷であったり、化膿してくる可能性があるので、できれば動物病院を受診するようにしましょう。

特に注意すべき怪我の部位と種類

それでは、特に注意が必要な怪我の部位と種類について以下解説します。

眼の怪我

深さにもよりますが、眼の怪我は治りが悪いことが多く、場合によっては失明につながることもあり得ます。眼の周りや顔の周りに怪我をしてしまっている場合は、眼に異常がないかを確認し、少しでも様子が変だったら一度動物病院で検査を受けましょう。
症状としては、眼をシパシパさせている・眼が開けづらい(開けられない)・涙や目ヤニが多い・眼の表面が白くなっている・充血している(眼の白い部分が赤くなっている)などがあります。
応急処置は、まずは眼をかいたり擦ったりさせないことが重要です。眼が痛いとかいたり擦ったりしてしまい、さらに傷を悪化させてしまうので気をつけましょう。症状がある場合は、見ていない間に擦ったりすることが非常に多いので、可能な限りエリザベスカラーをつけるようにしましょう。

首の怪我

ケンカ傷で、一番怪我をしやすい場所のひとつです。猫はケンカの際、本能的に首を噛む習性があるからです。咬傷の場合は小さな傷に見えて実は深い傷であることがありますので、傷の周りが腫れていたり元気がなくなっていたりする場合は病院に連れていきましょう。傷が大きくなく、腫れもなくて元気や食欲がある場合は傷の周りを毛刈りし、傷を洗浄して様子を見てもよいでしょう。

お腹の怪我

お腹の怪我は、多くはありませんが怪我をしている場合は注意が必要です。猫は本能的にお腹を守るので、お腹に怪我をしているときは、他の場所にも怪我をしていないかよく確認しましょう。深い傷の場合だと、お腹の中まで傷が及んでいることもあります。その場合は緊急手術や入院が必要なこともあります。また、お腹に怪我をしている場合は、交通事故や落下事故が原因の可能性もあり、骨折や内出血を起こしていることもありますので、よく注意して観察しましょう。

手足の怪我

手足の怪我も、交通事故や落下事故の可能性があります。骨折や内出血の可能性があるので、猫の元気がなかったり歩き方がおかしい場合には、必ず動物病院を受診しましょう。

猫の怪我の基本的な応急処置

基本的な外傷の応急処置は、周りの毛を刈って傷を確認し、できれば洗浄をしましょう。絆創膏を貼ったり、自宅の判断で包帯を巻いてしまうのはやめましょう。傷が化膿している状態で絆創膏などで覆ってしまうと、感染を助長させてしまうことがあります。
ただし、傷を舐めてしまったりするとそこから感染を起こして傷が化膿してしまったり、治癒を遅らせてしまいます。傷自体は乾いているのに猫自身が引っ掻いてしまったり舐めてしまったりする場合には、エリザベスカラーをつけるか、エリザベスカラーで防ぎきれない場合には、傷を蒸らさない程度に覆って、いじってしまうのを防ぐとよいでしょう。この場合も覆ったままにせず、こまめに傷を確認しながら、化膿してくるのであれば早めに動物病院で相談しましょう。

猫の怪我の応急処置でやってはいけないこと

猫は具合が悪いことを隠してしまうことが多いので、猫が外に行って怪我をしてきた場合は、まずはよく観察しましょう。いつもより元気がなかったり、歩き方が変だったりしたら要注意です。
また、このような時に傷を確認しようとして無理に押さえつけたりして余計具合が悪くなってしまうことも少なくありません。上記の説明のように、見えるところだけが怪我をしているとは限りません。大きな内出血をおこしていたり、重度の感染を起こして弱ってしまっている場合には、無理な体勢を取らせるだけでも急変してしまうこともありますので、慎重に様子をみましょう。

また、怪我で動物病院を受診した場合、抗生物質などの内服薬を処方されることも多いですが、ご自宅での判断で人間用の抗生物質や痛み止めなどのお薬を飲ませるのは止めましょう。猫はヒトより遥かに小さいだけでなく、体内のお薬の代謝や効果が違うことも多いので、効果が出ないだけではなく、予期せぬ副作用が出てしまうこともあります。

猫の怪我の回復力

多くの病気や怪我がそうですが、病院や自宅で行う治療のほとんどが、猫自身の回復力を助けてあげるに過ぎません。小さな怪我であれば、余計悪くしてしまう要因がなければ、自然に治ってくることも少なくありません。猫の回復力には驚かされることも多く、怪我や手術後の傷であっても、予想を上回る速さで治癒してしまいます。自身の回復力で治るような小さな怪我であれば、1週間程度で良くなります。
しかし、損傷が大きいと、猫自身の回復力では間に合わないこともあります。また回復力は、あくまで体調が良く免疫力が十分にある状態で発揮されますので、全身の状態が良くない猫や高齢の猫、元々何かしらの病気を抱えている猫では要注意です。怪我に対する対応は速い方が治りも良いので、猫の回復力を過信せず、怪我や全身の状態に合わせて早めに対応してあげましょう。

動物病院での治療が必要な場合

上記にもありますが、猫の怪我は見極めが難しく、怪我をしていないと思っていても怪我をしていることや、小さな傷だから大丈夫だと思っていると実は大きな怪我をしていたりすることが多いので注意が必要です。もちろん、持続的な出血を伴う場合や大きな傷がある場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。また、怪我がない(見つからない)か、小さな怪我であっても、猫の元気や食欲がなくなっているようであれば、一度動物病院を受診した方がよいでしょう。

動物病院では全身をよく検査し、怪我の大きさや種類を見極めたうえで必要な処置を検討します。状況によってレントゲン検査や超音波検査、血液検査などが必要になってくるでしょう。そして場合によっては手術が必要になることもあるでしょう。その場合は今までかかったことのある病気や、怪我の前後の様子で変わったことがあれば必ず獣医師に伝えましょう。他の病気で体調が悪くなっていたから怪我をしてしまうということもあります。その場合は手術などのリスクも変わってきますし、治療方針も変わる可能性もあります。

猫の怪我の治療法・治療費

怪我の治療は、怪我の大きさや種類によって様々です。また、費用は病院や地域によっても異なりますので、あくまで目安としてお考え下さい。
小さな外傷であれば毛を刈って洗浄する程度で、費用は1,000円から3,000円程度。加えて、抗生物質等の飲み薬が必要だと判断されれば、お薬代として1週間分当たりで1,000円から3,000円程度かかるでしょう。お薬の種類によってはもう少し費用がかかることもあります。

大きな怪我の場合は費用の幅がさらに広がりますので、必要な処置に応じて動物病院で相談しましょう。治療としては傷んだ組織の除去や縫合、さらに手術前後の管理として、感染防御と全身状態の安定化が必要です。場合によっては数日から数週間程度の入院が必要になることもあるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。怪我は外に出てしまう猫には多いことだと思いますが、適切に対処してあげましょう。
繰り返しになりますが、猫は怪我や病気を隠すのが上手な動物です。小さな怪我だったり、怪我がみつからないような場合でも、猫の食欲がなかったり、いつもと違う様子だったりする時は、なるべく動物病院に連れて行き獣医師と相談するようにしましょう。
  

監修/大塚元貴(獣医師・かつまペットクリニック

※掲載した写真と本文は関係ありません。
※治療費についてはあくまで目安なので動物病院にご確認ください。

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