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【獣医師監修】猫の脱走防止 人気の防止グッズも
猫が脱走してしまうと再会できなくなるおそれもあるため、十分な対策が必要です。今回は、猫が脱走する原因や脱走防止策について詳しく解説します。簡単に作れるDIYの脱走防止柵や、おすすめの脱走防止グッズもご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の監修

荒木 陽一 先生
猫は脱走しやすい? 飼い主さんの声をご紹介!

猫の室内飼いが主流となっている昨今、脱走することなんてそうそうないのでは? と思ってしまいますよね。しかし実は、愛猫が脱走した経験をもつ飼い主さんは意外と多いのです。
愛猫の脱走を経験した飼い主さんの割合

ねこのきもちアプリにて、400名の飼い主さんを対象に「猫の脱走」についてアンケート調査したところ、48%と半数近くの飼い主さんが愛猫に一時的に脱走された経験があるという結果が明らかになりました。
「うちは完全室内飼いだから大丈夫」と思っていても、飼い主さんが外出する際に一緒に外に出る、思わぬすき間から抜け出すなど、脱走の危険性はゼロではないので注意が必要です。
どういった所から脱走した?
同アンケートのなかで、「家のどの場所から脱走しましたか?」と質問したところ、以下のような回答が得られました。
- 玄関のドア
- 裏口や勝手口
- ベランダ
- 縁側
- 少し開いていた窓
- 掃き出し窓やサッシのすき間
- 窓や網戸、引き戸を自分で開けて など
そのほか、「風呂場やトイレの窓のすき間から脱走した」「襖を開けてキッチンや浴室に勝手に入りこんでいた」といった声も。体が細くやわらかい猫は、ほんの少しのすき間があれば容易にすり抜けてしまうようです。
猫はなぜ脱走したがるの?

ではなぜ、猫は脱走したがるのでしょうか? その理由について見ていきましょう。
刺激を求める好奇心から
猫は好奇心の強い生き物です。室内だけでの生活ではどうしても刺激不足が起こり、外の鳥や虫などの刺激に興味をひかれて外に出たがることがあります。また、一度外に出たことで縄張りが広がり、縄張りをパトロールしたいという本能から脱走を繰り返すことも。
発情期
猫は性成熟すると発情し、繁殖のために交尾する相手を求めて外に出たがります。とくに未去勢のオスは縄張り意識が強いため、縄張りを広げようとして外に出ようとすることが多いようです。ちなみに、猫の発情期は日照時間や人口の明かりにも左右されるため、明るい室内で過ごしている猫は、年に3~4回発情期を迎えることもあるとされています。
環境の変化による不安
猫は環境の変化を嫌うため、引っ越しをしたときや、保護したばかりのときなどは、元の環境に戻りたいという不安から脱走することがあります。
ストレス
相性の悪い猫を複数飼いしている、室内環境が合わないなど、生活のなかで何かしらストレスを感じていると、外に出たいという衝動が起きる場合があります。
どんな猫が脱走しやすい?

脱走しやすいといっても、必ずしもすべての猫が脱走するわけではありません。脱走しやすい猫の傾向や特徴は以下のとおりです。
元ノラなど外で暮らした経験がある猫
ノラ猫や保護猫など、一度でも外で暮らした経験がある猫は外の刺激を覚えているため、脱走しようとすることが多いです。生後間もない子猫のころに保護されている場合でも、同様に外に出たがる傾向が強いといわれています。
去勢・避妊手術を受けていない猫
前述したように、猫は発情期を迎えると交尾の相手を探します。去勢や避妊手術を受けていない猫は時期がくると発情し、外に交尾相手を求めて脱走を繰り返すようになります。
外の猫に接触しやすい環境に住んでいる猫
近所にノラ猫が多い、家の近くで猫同士の集会がよく開かれているなど、外の猫と接触しやすい環境に住んでいると、外に興味がわいて脱走することが多くなります。
相性の悪い猫と同居している猫
多頭飼いをしていて猫同士の相性が悪い場合は、相性が悪い猫との生活にストレスを感じて脱走を図ることがあります。
この時期は注意! 猫が特に脱走しやすい季節
猫が脱走しやすい季節は春~夏にかけてといわれています。これは、気温が高くなって窓や玄関を開ける機会が増えることと、その時期に外猫が発情期を迎えるからだと考えられます。
猫の脱走の理由や傾向については、以下の記事でも詳しく解説されているので、参考にしてみてください。
愛猫を外に出さないための脱走防止策

冒頭でご紹介したアンケートのなかで、「愛猫の脱走防止のために何か対策をしていますか?」と質問したところ、76%もの飼い主さんが「はい」と回答しています。実際に、どのような場所にどんな対策をしているのか見てみましょう。
特に脱走防止策を行うべき場所は?
玄関
飼い主さんや家族が外出するときや、宅配便の荷物を受け取るときなど、玄関を開けた瞬間に愛猫が外に飛び出してしまうことが多いようです。とくに帰宅時は、飼い主さんの足音を聞きつけて玄関で待ちかまえている猫も多く、一気にドアを開けると外に飛び出してしまう危険性も高くなります。
実際に玄関付近に脱走防止対策をしている飼い主さんは多く、「ゲートや柵などを設置している」「愛猫を抱っこしてから玄関を開けている」などの声がよせられました。
窓
窓は網戸にしているときに、猫が網戸を破ったり自分で開けたりして脱走するケースが大半のようです。暑い時期は窓を開ける機会が多く、閉め忘れも起こりやすいので要注意。飼い主さんのなかには、猫が網戸を開けられないよう、網戸ストッパーなどを使って固定しているかたも多く見受けられました。
ベランダ
ベランダは日光浴のためにベランダに出したら柵のすき間から外に出てしまった、洗濯物を取りこんでいるときにいつの間にか外に出ていた、という脱走体験談が多く挙がっています。飼い主さんたちは、ベランダに柵やネットを取りつけるだけでなく、ベランダに出る前に猫を別の部屋に隔離するなどの対策をとっているようです。
愛猫の脱走防止のためにすべき対策
愛猫の脱走を防ぐためには、柵や室内ドアを利用して行動範囲を区切り、なるべく玄関に近づけないようにすることが重要です。暑くて窓を開けたい場合は、ストッパーを使って網戸を開けられないようにしたり、破っても出られないように金属製の柵を取り付けたりするなどの対策が必要です。
また、未去勢・未避妊の猫の場合は、手術をすることも脱走防止対策として有効といえるでしょう。
実際に飼い主さんたちが行った手作り脱走防止対策
飼い主さんのなかには、脱走防止用の柵や壁をDIYで作っているかたもいます。ここでは、Instagramに「#ねこのきもち」で投稿された、手作りの脱走防止対策の写真をご紹介します。
玄関からの脱走防止に

ヤンチャで脱走常習犯な元保護猫と暮らしているという@ggisanさん宅では、突っ張り棚と水切りラックを使って玄関に脱走防止ガードを作ったそうです。1つ1つのすき間が狭く猫の体もまだ小さいので、玄関を開けても脱走を防げているのだとか。
窓からの転落・脱走・網戸のぼり防止に

@otomi_genさん宅では、窓からの転落や脱走、網戸のぼり防止のために、ワイヤーネットを使って窓に柵を作ったそうです。猫の通り道になっていた片側の窓にしっかり固定されているので、もう脱走の心配はしなくてよさそうですね。
浴室から玄関までの脱走防止に

これまで玄関前にフェンスをつけていたという、@megu_tabineko_companyさん宅。浴室で遊んでいた愛猫に気づかず、ドアを開けて脱走させかけてしまったのをきっかけに、洗面所の入り口まで囲めるように柵を改良したそうです。
材料は100均の突っ張り棒、ワイヤーネット、結束バンドの3つのみ。結束バンドで軽く固定しているだけなので、使わないときは折り畳んでおけば場所も取らないそうです。柵の拡張、ロック、片づけ、すべてが簡単にできるのがいいですね。
部屋への侵入防止に

@azira_rei_8さん宅では、部屋の扉に侵入防止用の柵を作っています。作り方はすのこと100均のネットを、角材に固定しただけと簡単。猫たちがのぼってもびくともしないほど丈夫で、侵入防止レベルも高いそうです。
猫の脱走防止対策におすすめのグッズをご紹介!

最近は、おしゃれな見た目で取りつけも簡単な脱走防止グッズがたくさん販売されています。DIYは難しいというかたは、以下のようなグッズを試してみるのもいいでしょう。
マルカン 猫網戸脱走防止フェンスL [CT-268]
網戸に取りつける脱走防止用のフェンスです。縦・横どちらにも取りつけ可能で、窓のサイズに合わせて自由にカスタマイズできます。かなり頑丈で、「今のところ脱走する意欲を喪失したみたい」との口コミも。
のぼれんニャン バリアフリー II
キッチンや階段ののぼり口、部屋と部屋の間など、家のさまざまな場所に取りつけることができるゲート柵です。オートクローズ式なので、閉め忘れて愛猫がすり抜けてしまったという心配もなし。片手でスムーズに開閉できるのもうれしいポイントです。
猫・脱走防止パーティション(突っ張りパーテーション)CatCatch
パーテーションタイプの脱走防止フェンスです。167cmとかなりの高さがあり、すき間も狭いので、猫が飛び越えたり下をすり抜けたりする心配がありません。スライドやドア開きができて、人は自由に通り抜けできるのもいいですね。
万が一の迷子に備えて、迷子札と一緒にマイクロチップの装着も

マイクロチップとはどんなもの?
マイクロチップとは、直径が約2mm、長さが約12mmで、個体を識別するための15桁の番号が搭載されています。脱走したときや災害のときなどのために猫の体内(皮下)に埋め込み、リーダー(読み取る器具)で15桁の番号を読み取り、飼い主さんの連絡先情報を調べる手がかりとなります。
猫が脱走や災害にあい迷子になってしまうと、飼い主さんの元に戻ってこられる可能性は低く、運よく再会できたとしても、やせ細ったり汚れていたりして自分の猫だと確信できないケースもあります。万が一に備えて装着しておくと安心です。
装着方法・費用は?
マイクロチップは専用の挿入器を使って、猫の体内(皮下)に埋め込みます。愛猫の体内に異物を埋め込むことに関して、抵抗や不安を感じる飼い主さんもいるかもしれません。しかし、猫にとっての体の負担は皮下注射を打つときとほぼ同じくらいとされています。費用は数千円~1万円程度で、動物病院で装着できます。避妊・去勢手術といった全身麻酔をかける予定があれば、そのときに装着してもらうのもいいでしょう。
ちなみに、装着後は獣医師から渡される登録用紙を日本獣医師会に送付することによって情報が登録されます(登録料あり)。情報が登録されないと意味がないため、早めに手続きを行いましょう。
マイクロチップの詳しい情報については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
愛猫を脱走させないようしっかり対策しよう!

室内飼いの猫が外に出てしまうと、迷子になるだけでなく、交通事故や感染症のリスクもあります。愛猫を危険な目に遭わせないためにも、日ごろからドアや窓の開け方の見直しや、脱走防止対策をしっかり行いましょう。
参考/「ねこのきもち」2013年6月号『玄関・窓・ベランダの対策で|窓をよく開ける季節は要注意 もう脱走させません!』(監修:ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
参照/Instagram
監修/荒木陽一先生(プリモ動物病院 練馬院長)
文/pigeon
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※一部記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
※アンケート/2020年9月実施「いぬのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数400人)
★Instagram、Twitterで「#いぬのきもち#ねこのきもち」でご投稿いただいた素敵な写真・動画を紹介しています。
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