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【獣医師監修】猫は脱走したら帰ってくる?防止法・探し方・捕獲方法

猫を飼う際に気を付けたいのが「脱走」です。今回は、よくある脱走ルートや脱走防止対策、脱走した猫の帰ってくる可能性や捕獲方法について、実際の体験談とともに解説します。猫が脱走する理由や脱走しやすい条件、脱走に伴う危険も再確認しておきましょう。

猫の脱走しやすい場所はどこ?脱走防止対策は?

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「ねこのきもち」で2013年に実施した読者アンケートによると、88人中なんと半数以上の飼い主さんが「愛猫に脱走された経験がある」と回答しました。その中で98%の割合を占めた3つの脱走ルートと、脱走防止対策をご紹介します。

家の中で猫が脱走しやすいルート

猫の脱走ルートその1「玄関」


全体の36%と最も多かったのが、玄関からの脱走。飼い主さんの外出時や帰宅時、宅配のやり取りをしている間などに、出て行ってしまう猫がいるようです。

猫の脱走ルートその2「窓」


続いて多かったのが窓からの脱走で、全体の32%でした。猫が網戸を自分で開けたり、爪や頭で破いたりと、網戸の状態のときに脱走されるケースが大半です。中には、網戸のない窓をうっかり開けっ放しにしてしまったという飼い主さんもいました。

猫の脱走ルートその3「ベランダ」


全体の30%を占めたのが、ベランダからの脱走です。窓を開けて洗濯物を取り込んでいる間に出て行ってしまった、ベランダの柵の上やスキマから脱走してしまったなどの体験談がありました。日光浴のためについベランダに出してしまう飼い主さんもいますが、注意が必要な場所といえるでしょう。

猫の脱走防止対策

玄関はドアの開け方を見直し、脱走防止柵を設置!

帰宅時に一気に玄関のドアを開けると、猫が待ち構えていて飛び出すことがあります。そこで、ドアを少しだけ開けて近くに猫がいないか確認してから、バッグなどで足元をガードしながら中に入る習慣をつけましょう。

また、猫がドア付近に近づけないよう、脱走防止柵を設置するのも有効です。置くだけの簡易ペット用フェンス、玄関に続く廊下に取り付けて二重構造にできる扉といった、いろいろなタイプの商品があります。中には、100円ショップなどのグッズを使って脱走防止柵を自作する飼い主さんも。DIYに興味のある方は、以下の記事も参考にしてみてください。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「【写真で紹介】愛猫を危険から守るために!玄関や窓の脱走防止対策」

窓は網戸のガードを強化し、ロックをかける

猫が網戸を自分で開けてしまう場合は、網戸ストッパーや突っ張り棒で固定するとよいでしょう。猫が網戸を破かないよう、網戸の内側にワイヤーネットを取り付けたり、強度の高いペット用の網戸に張り替えたりするのも効果的。そのうえで、窓の開け閉めには今まで以上に注意を払ってくださいね。

ベランダには猫を出さず、柵のスキマをふさいでおく

猫はベランダの柵のような狭いスキマでも、顔の横幅が入ればすり抜けて脱走してしまいます。日よけシェードやスダレを使って、スキマをふさいでおくと安心です。また、飼い主さんがベランダに出るときは猫を別の部屋に入れておくなど、ベランダ自体に出さない心がけも大切ですよ。

家の中に猫が安心して休める居場所をつくる

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縄張りを大切にする猫は、環境の変化に敏感な動物でもあります。ストレスから脱走につながらないよう、家の中で安心して休んだり運動したりできるスペースをつくりましょう。猫はとくに高い場所を好むため、キャットタワーや本棚などの家具の配置を工夫するのがおすすめです。

脱走した猫は帰ってくる?実際の迷子体験談もご紹介

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脱走した猫が帰ってくる確率は?

猫に帰巣本能があるかどうかついては、はっきりと解明されていません。迷子になった猫が数カ月後に自力で戻ってきたという話を聞くこともありますが、こういった例はかなりまれです。外に出た経験のない完全室内飼いの猫が、自分から家に戻る可能性はかなり低いといえるでしょう。

もし動物病院に行くときなど外出先で脱走してしまうと、さらに見つけることが困難になります。移動の際には、愛猫を洗濯ネットに入れてからキャリーケースに入れるなど、確実に脱走されない対策をしてください。

実際にあった迷子体験談

飼い主さんや獣医師の先生に聞いた、猫の迷子体験談をいくつかご紹介します。

家族が出入りするときに脱走!3日後に無事見つかりました


家族が玄関を開けたときに、愛猫が一緒に出てしまいました。かなり捜しましたが見つからず…。あきらめかけた3日目の夜に発見し、無事保護できてホッとしました。
(北海道 M・Tさん)

荷物を運び出す際に脱走!大事に至る前に確保しました


玄関を開けて不用品の荷物を運び出していたところ、愛猫が外に飛び出してしまいました。逃げ回る愛猫をなんとか捕まえましたが、車通りが多い場所の近くだったので冷や汗ものでした。
(佐賀県 J・Kさん)

熊本地震で多数の猫が迷子に!マイクロチップが役に立ちました


2016年4月に起こった熊本地震。家屋の倒壊や同行避難時のパニックで、多数の猫が脱走して迷子に。保護された猫のうち、マイクロチップを装着していた猫の多くは飼い主さんと再会でき、安堵しました。
一方で、マイクロチップを装着していなかったり、装着していても登録の手続きがされていなかったりで、身元の照会ができないケースも。「そのとき」が訪れる前の備えが大切だと実感しました。
(熊本県熊本市 竜之介動物病院院長 徳田竜之介先生)
脱走した猫との再会の確率を高めるためには、できる限り早く見つけること、日頃から備えをしておくことが重要だとわかりますね。

猫が脱走したらどうする?捜し方と捕まえ方

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万が一、愛猫が脱走してしまったら、まずしたいのが「近所の捜索」です。外の世界に慣れていない猫ほど、行動範囲が狭く家のすぐそばにいることが多いので、自宅から半径50m以内を集中的に捜してみましょう。

脱走した猫を保護する手順


  1. 必要なものを用意する
    猫を安全に保護して連れ帰るために必要な、キャリーケース、フード、バスタオル、懐中電灯を用意します。キャリーケースは大きめの洗濯ネットでも代用可能です。

  2. 猫が隠れやすい場所を捜す
    車の下、茂み、物置の下、建物のスキマ、エアコンの室外機の下、公園の隅やベンチの下など、猫が潜みやすい暗くて狭い場所を捜しましょう。

  3. 猫を見つけたら保護する
    猫を見つけたらフードでおびき寄せ、近づいてきたらバスタオルをかぶせて確保し、キャリーケースに入れます。脱走した猫は精神的に不安定なので、大声を出したり、急いで駆け寄ったりしてはいけません。

  4. 帰宅後は全身をチェックする
    ケガをしていないか、歩き方がおかしくないか、体をかいていないか、ウンチやオシッコ、たべる量に変化はないかをチェック。該当するものがあれば動物病院を受診しましょう。

見つからない場合は呼びかけを!

上記の手順で見つからない場合は、2~3時間後に再度捜索します。猫がいつも食事をする時間帯や人通りが少ない夕方以降は、姿を見せやすくなるかもしれません。近所の人への聞き込み、動物愛護センターなどの行政機関や動物病院への連絡、ポスターやSNSを使った呼びかけをしてみるのもよいでしょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫が脱走したときの危険は? 対策から脱走したときの捜し方まで」

そもそも猫が脱走するのはなぜ?脱走しやすい猫や季節は?

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猫が脱走する理由

猫が外に出たがるのは、室内とは違う刺激があるためです。脱走をする動機としては、以下のような例が挙げられます。

  • 鳥や虫を追いかけたい

  • 木登りしたり走り回ったりしたい

  • 縄張りをパトロールしたい


一度でも外に出ると縄張りが広がり、本能から脱走を繰り返すようになってしまう猫もいるようです。

脱走しやすい猫の特徴

元ノラ猫・元保護猫


一度でも外で暮らしたことがある猫は、外の刺激ある生活を覚えているため、脱走しようとすることが多くなります。

避妊・去勢手術を受けていない猫


発情期を迎えたメス猫は、交尾する相手を求めて外へ出ようとするでしょう。そして、その声やニオイに引きつけられたオス猫も同じように、メス猫を探しに行こうと脱走を図りやすくなるのです。

近所にノラ猫が多い環境に住んでいる猫


近くで発情している猫がいたり、猫同士の集会が開かれていたりすることで、外に興味をもつ猫もいます。

多頭飼育をされている猫


猫同士の相性が悪いと、室内の生活でのストレスから脱走したいという衝動が起きることがあるようです。

猫が脱走しやすい季節

猫の迷子がとくに多いといわれる時期は、春~夏にかけてです。暑い季節は、飼い主さんが開けっ放しにした窓や玄関、猫が開けたり破ったりした網戸から脱走するケースが増えるのでしょう。また、春~夏は外猫の発情期でもあるため、避妊・去勢手術をしていない猫が脱走したくなるという要因も考えられます。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫の夏のお留守番にありがちなトラブル【脱水・脱走】の対策と工夫」

猫が脱走するとどんな危険があるの?災害時にも役立つ備え

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外に出ることに伴う危険

交通事故や誤飲・誤食などのトラブル


外に出たことのない猫は車の危険性がわからないため、道路に飛び出して交通事故にあうことも多いようです。打ちどころによっては、骨折や脳挫傷、横隔膜ヘルニアなどのケガを負うことや、命の危険もあるかもしれません。また、誤飲や誤食などのトラブルも起こりえます。

ノラ猫とのケンカや接触によるリスク


猫同士のケンカにより、噛み傷や引っかき傷などのケガを負うおそれがあります。また、外で生活している猫と接触することで、猫白血病ウイルス感染症・猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)など、さまざまな感染症にかかるリスクも。メス猫であれば、望まない妊娠・出産の心配もあるでしょう。

家に帰れず行方不明になるおそれ


ノラ猫に追いかけられるなどして家から遠く離れ、帰れなくなってしまう猫も。脱走したまま行方不明になってしまう猫も少なくないようです。

脱走時・災害時のためにしておきたい備え

このような危険から猫を守るために、日頃からしておきたい備えがいくつかあります。以下のような備えは脱走時にはもちろん、災害時に猫とはぐれてしまった場合や、避難先で生活する際にも役立つはずですよ。

キャリーケースに慣れさせておく


移動の際の脱走を防いだり、脱走した猫を確保しやすくしたりするため、ふだんからキャリーケースを安心できる場所として認識させましょう。猫の好きな場所に扉を開けて置いておく、中に入ったときにフードを与えるなどして、少しずつ慣れさせると◎。

ワクチンの接種や避妊・去勢手術をすませておく


感染症や望まない妊娠・出産を防ぐため、猫カゼなどの予防ワクチンを定期的に接種し、繁殖の予定がない場合は避妊・去勢手術を検討しましょう。

迷子札やマイクロチップを装着しておく


迷子札やマイクロチップといった猫の身元が証明できるものを装着しておけば、愛猫の行方がわからなくなったとしても、再会できる可能性が高くなります。
ただし迷子札に関しては、どこかに首輪を引っ掛けてしまうことを避けるために外れやすく作られているものもあるので、購入時にどういったものかを確認しましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫のための災害時の備え」

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫のマイクロチップ・迷子札」

猫の脱走は、日頃から防止対策ともしものための備えをしておくことが大切です。万が一脱走してしまっても、飼い猫は家のそばにいることが多いので、重点的に捜してみましょう。そして見つかったあとは、愛猫の健康状態をしっかりとチェックし、叱らないで優しく迎え入れてあげてくださいね。
参考/「ねこのきもち」2013年6月号『窓をよく開ける季節は要注意 玄関・窓・ベランダの対策で もう脱走させません!』(監修:ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
   「ねこのきもち」2017年4月号特別付録『シーン別 愛猫の緊急時対策マニュアル』(監修:竜之介動物病院院長 徳田竜之介先生、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室専門官 柳川智巳さん)
   「ねこのきもち」2017年8月号『愛猫を守るためにできることが見えてくる!イマドキ猫の健康事情(猫の迷子とマイクロチップ)』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
   「ねこのきもち」WEB MAGAZINE『【ペットシッターが解説】猫の脱走防止策まとめ』(https://pet.benesse.ne.jp/topics/cat/vapes019_201704.html)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/nekonote
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
※アンケート/「ねこのきもち」2013年6月号より
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