愛猫が爪とぎ器を使ってくれないときは、何かワケがあるのかもしれません。爪とぎ器の素材や置く環境、場所などを考えて、愛猫に爪とぎ器を使ってもらう工夫をしましょう。愛猫が満足すれば、家具などを傷つけられることは少なくなるはずです。
猫が爪とぎするワケは3つ!
マーキングしたいから
足の裏にある「臭腺」から出たニオイを付けて、自分の縄張りを主張する習慣を「マーキング」といいます。また、高いところへ爪痕を残したり、後ろ足で立ち上がるポーズをしたりするのも、一種のアピールだといわれています。家の柱などで爪とぎをする猫は、マーキングの意味で行っているのでしょう。
爪のメンテナンスをしたいから
猫の爪は層になっており、外側にある古い爪を剥がすことで鋭さを保っています。野生の頃は、狩りや運動で自然に剥がれていましたが、室内にいる猫は剥がれにくい傾向があります。メンテナンスの意味で爪とぎは必要な行為なのです。
気持ちを落ち着かせたいから
失敗をしたときなどに、関係ない行動をして気を落ち着かせようとする行為を「転位行動」といいます。人の場合は、頭を掻いたりして気を紛らわそうとしますよね。猫の場合は、同居猫とケンカしたときなどに、バリバリッと爪とぎすることがあります。ほかの行動をして、気持ちを落ち着かせているのでしょう。
爪とぎ器の「置き方」は愛猫に合っている?
爪とぎ器の置き方を変えてみる
マーキングをしたい猫なら、高い位置で爪とぎをしたいでしょう。マーキングの意味で爪とぎをする愛猫には「垂直置き」の爪とぎ器を、出入り口付近などの「縄張りの境目」に置きます。また、爪とぎ器のタイプにかかわらず、爪とぎ器が動いてしまうと上手く踏ん張ることができないので、下に滑り止めシートを敷いたりテープで固定したりして、動かなくなる工夫をしましょう。
爪とぎ器の「素材」は愛猫に合っている?
爪とぎ器の素材は4種類
爪とぎ器に使われる素材は大きく分けると4種類。柔らかいものから順に並べると以下のようになります。
・布
・段ボール
・麻
・木
柔らかい素材の布や段ボールでできた爪とぎは、多くの猫が好むようです。しかし、ゴミが出やすかったり消耗が激しかったりしますよね。そのため「丈夫な爪とぎ器のほうがよいだろう」と考える飼い主さんもいるでしょう。
ソファーやカーペットで爪をとぐ猫や、爪をとぐ際に体重をかけない猫は、爪を引っかけやすい柔らかい素材を好む傾向があります。木や麻でできた爪とぎ器を使ってくれない猫には、柔らかい素材のものを与えてみてください。爪とぎ器の素材を「愛猫の好み」に合わせれば、家具を傷つけられることが少なくなるかもしれません。
そこで爪とぎはさせない!習性を逆手に取った対策
爪とぎ器を工夫しても壁や柱、家具などで爪とぎを行う猫には対策が必要です。いつも決まった場所をバリバリと引っかくのなら、猫の習性を逆手に取ってみましょう。猫には、寝床ではあまり爪とぎをしない習性があります。そこで、爪とぎをしてしまう場所に猫ベッドを設置します。とぐ場所を塞ぐ意味でも効果的ですよ。
猫が爪とぎをするワケとともに、その場所で爪とぎをするワケもあります。「なぜそこで爪とぎをするのか」を考えて、愛猫に合った爪とぎ器をその場所へ設置してみてください。困った爪とぎが少なくなれば、飼い主さんのストレスも少なくなるでしょう。
参考/「ねこのきもち」2016年7月号『\シリーズ第一弾/だって猫だもの バリバリ爪とぎしたくなる!そのココロは?』(監修:哺乳動物学者 今泉忠明先生)
文/HONTAKA