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猫に意外と多い"猫の目の病気"症状から逆引き解説

猫は痛みを隠す動物といわれ、異変が発覚したときには病気がすでに重症化していることも。今回は猫の特徴のひとつでもある大きな瞳に現れる異変と、その異変から考えられる病気についてご紹介します。

症状・異変からわかる、猫の「目」の病気

一番空気に触れる目の粘膜は異変が起きやすい

猫の瞳は大きく、つねに空気に触れている粘膜であるため、最も外部からの刺激を受けやすい部位です。そんな瞳を守ったり、傷を治したりしようとするとき、目ヤニや涙は分泌されます。目が塞がっている・充血している場合は緊急処置が必要なことも。

目ヤニが出る

両目に見られ、くしゃみや涙を伴うなら

【ウイルス性結膜炎】
おもにヘルペスウイルスやカリシウイルスなどが原因で、白目表面からまぶたの裏側を覆う結膜に炎症が起きる状態。そこに細菌感染が併発すると、黄色や緑色の目ヤニが出ます。点眼薬と内服薬を投与して治療します。
結膜が赤く腫れている様子(黄色の液体は、検査薬の色も含まれる)。

画像/ねこのきもち2019年11月号『ねこの病気逆引き辞典』

3日以上くしゃみが続いたり、片目だけに涙が見られるなら

【クラミジア感染症】
生きている細胞の中でしか増殖できない細菌であるクラミジアが病原体となる感染症。片目だけの涙や結膜炎、くしゃみなどの人の風邪のような症状が特徴。気管支炎や肺炎などを併発し、重症になると死に至ることも。
【細菌性結膜炎】
細菌が原因で起きる結膜の炎症で、子猫に見られることが多いといわれています。とくにこの場合は、黄色や緑色の目ヤニが出ることもあり、それらが見られる場合はすぐに動物病院で受診しましょう。

涙が出る

目を開けにくそうにしているなら

【角膜潰瘍(かくまくかいよう)】
外傷が原因で、眼球の表面の角膜の組織に傷が付く状態。痛みが強く、目を開けられない状態になるとともに、角膜を保護するための涙が分泌されます。傷を修復する効果のあるヒアルロン酸の点眼薬で治療します。
緑色の染色部分が角膜潰瘍を起こしている。悪化すると角膜に穴が開くことも。

画像/ねこのきもち2019年11月号『ねこの病気逆引き辞典』
【緑内障】
眼球内の水が過剰に生成されるか排出できないことで眼圧が上がる病気。ほかの目の病気が原因で発症する場合が多いです。急性期には痛みから涙が出たり、慢性期には眼球が飛び出たように見えたりする場合が。
慢性緑内障を発症した猫。眼圧を抑える点眼や眼圧を下げる処置を行う。

画像/ねこのきもち2019年11月号『ねこの病気逆引き辞典』

目は開けられるなら

【流涙症(りゅうるいしょう)】
涙が鼻に流れにくく、目から涙があふれてしまう病気。猫カゼの影響で涙を鼻に流すための涙管が閉じてしまったり、ペルシャなど鼻が短い短頭種で生まれつき涙管が欠損していることなどが原因に。
イラスト/片山智恵

目を開けにくそう・目の周りが腫れている

涙を伴い、完全に目を開けられないなら

【ヘルペス性角膜炎】
角膜にヘルペスウイルスが感染して炎症を起こすと、角膜が変性して真っ黒になります。乾燥して痛みを伴うため、目を開けにくそうにすることが。抗ウイルス剤で治療しますが、治りにくく、悪化すると失明することも。
【重度の結膜炎】
※「目ヤニが出る」で紹介した【ウイルス性結膜炎】と【細菌性結膜炎】のどちらにも該当します。
【緑内障】
「目を開けにくそうにしているなら」を参照ください。
【眼瞼炎(がんけんえん)】
まぶたの周辺に炎症が起きた状態。結膜炎や角膜炎などで目をこするうちにまぶたに傷を付けてしまうことなどが原因に。原因となる目の病気の治療とともに、エリザベスカラーを着けて猫が目に触れないようにします。

目が充血している

イラスト/片山智恵

白目が赤いなら

【緑内障】
「目を開けにくそうにしているなら」を参照ください。

まぶたの裏が赤いなら

【結膜炎】
「目ヤニが出る」で紹介した【ウイルス性結膜炎】と【細菌性結膜炎】のどちらにも該当します。

目の中が赤いなら

【ブドウ膜炎】
眼球の内部にあるブドウ膜という組織に炎症が起きていること。目の中が赤い、もしくは白く濁ることが特徴。ネコ伝染性腹膜炎(FIP)でこの症状が見られることが多いですが、白内障や腫瘍などで発症することも。
【眼内腫瘍】
眼球内に腫瘍ができた状態。発生している部位によっては異変に気付くこともありますが、多くは眼内出血やブドウ膜炎、緑内障を精査するなかで発見されます。腫瘍の種類によって治療法は異なります。

....そのほか 【緑内障】【外傷】など

目をかく

【結膜炎】
「目ヤニが出る」で紹介した【ウイルス性結膜炎】と【細菌性結膜炎】のどちらにも該当します。
猫の大きな瞳は、簡単にチェックできるというメリットがあります。ふだんの生活の中で、フードを与えるときや遊んであげるときなど、愛猫をゆっくり見れるときに、さりげなく確認することを習慣づけられるといいですね。
参考/ねこのきもち2019年11月号『ねこの病気逆引き辞典』(監修:ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
イラスト/片山智恵
画像/ねこのきもち2019年11月号『ねこの病気逆引き辞典』
※この記事で使用している画像は2019年11月号『ねこの病気逆引き辞典』に掲載されているものです。
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