静岡県浜松市にある「ねこ家」はどうしても愛猫を飼えなくなった飼い主さんとその愛猫を救うため、10年前に誕生しました。ねこ家の毎日のお世話の様子や利用者の声を取材しました。
※記事内容はすべて、2020年7月10日現在のものです。
250匹のために奔走する毎日
ねこ家は、猫の年齢、健康状態などから算出される生涯のフード、トイレ砂、動物病院での診察など、お世話にかかる費用を飼い主さんから預かり、運用しています。
日々のお世話は、5名以上のスタッフで5時から17時まで行われます。朝はゴハンと水の補充、トイレ掃除から始まり、布製品などの洗濯を行います。その後、爪切りやブラッシング、投薬などに奔走。もしも体調不良の猫がいたら、個室に隔離し、食事や排泄状態などをスタッフ内で共有し、健康管理を徹底しています。「正直、250匹のお世話は本当に大変です。とくにトイレ掃除は何時間もかかり、骨が折れます……。でも、猫たちのためを想うと頑張れるんです」と話す副理事長の栗本さんは、スタッフのいない夜間も理事長の北澤さんと2人で対応し、四六時中猫たちのために尽力しています。
利用者の声をご紹介
2年前に突然海外勤務が決定したという、飼い主さん。しかし、勤務先の国では猫の受け入れが厳しく、さらに実家は大家族で暮らしているため、愛猫のミクちゃんを預けられる環境ではないと悩んでいたのだとか。そこで、インターネットで見つけたねこ家に預けることを決意。日本を離れてからも定期的にスタッフさんからミクちゃんの状況をメールでもらっているという飼い主さんは、「離れ離れで暮らすのがどれほど寂しいものかと思っていましたが、ねこ家のみなさんのおかげで気持ちが楽になりました。私のように、断腸の思いで愛猫と離れなければならない人がたくさんいるのだと思います。ねこ家のみなさんの心づかいには本当に感謝しています」とお話されていました。
1匹でも多くの猫を救うために
10年間で約800匹の猫を預かってきたという北澤さんですが、「とにかく愛猫は最後まで責任をもって飼ってもらうことが大前提。しかし、なかにはどうしてもそれができない場合もあります。私たちも預かったからには、飼い主さんと同じくらい愛情をもってお世話をしていきたいと考えています。そのためにも運用資金は飼い主さんに引き続きお願いするとともに、私たちの活動に賛同してくれる方たちからの支援もお待ちしています」とのこと。また、今後は預かり猫だけでなく、保護猫専用の施設の運営を計画中なのだとか。今日も行き場のない猫をなくし、幸せな〝猫生″を全うしてもらうために日々活動を続ける、ねこ家の挑戦は続きます。
参考/「ねこのきもち」2020年8月号『猫のために何ができるのだろうか』
文/carrie-the-cat
※この記事で使用している画像は2020年8月号「猫のために何ができるのだろうか」に掲載しているものです。