爪とぎは猫の本能であり、生きていくうえで必要な行動なので、無理にやめさせようとするとストレスになることも。やめさせるのではなく、猫の習性や爪とぎをする理由をきちんと理解し、上手に付き合っていく方法を身につけることが大切です。
猫は何で爪とぎをするの?
マーキングのため
マーキングとは、特定の場所に自分のニオイをつけて縄張りをアピールする行為です。猫の足の裏にはニオイが出る「臭腺」があり、足で触れた部分にニオイが残ります。また、高いところに爪跡を残すために後ろ足で立ち上がるポーズによって、縄張りを主張しているという説もあるそうです。
爪のお手入れ
猫の爪は、外側の古い爪が剥がれることによって鋭くなります。しかし、室内で飼われている猫は土の上を走ったり狩りをしたりしないため、なかなか自然には剥がれません。そのため、爪とぎは爪のメンテナンスの意味もあるようです。とくに若い猫は爪が伸びるのが早いので、頻繁にお手入れをします。
気持ちを落ち着かせるため
猫は気持ちを落ち着かせるために爪とぎをすることがあります。これは、人が失敗したときに頭を掻くのと同じような理由です。この行動を猫の行動学では「転位行動」といいます。また、猫が転位行動の意味で爪とぎをするのは、周りを自分のニオイで満たして安心するためだという説もあります。
対策:爪とぎ器で爪とぎをしてくれるように工夫する
用意した爪とぎ器を使わないなら、愛猫に合っていないのかもしれません。爪とぎの環境を変えて、次のような対策をしてみましょう。
① 猫が好む素材の爪とぎ器を用意する
爪とぎ器のおもな素材は布・段ボール・麻・木の4種類で、柔らかい素材から固い素材までさまざまです。爪とぎ器にあまり体重をかけなかったり、ソファやカーペットで爪をといだりする傾向のある猫は、爪が引っ掛かりやすい柔らかい素材を好むかもしれません。愛猫が好きそうな素材を選んであげましょう。
② 置き方や置き場所を考える
爪とぎ器は、高い位置で爪とぎができる「垂直置き」で、出入り口付近などの「縄張りの境目」に置くのがよいでしょう。それがダメなら水平に置くなど、いろいろな置き場所を工夫してみて。
③ 滑り止めシートなどで固定する
爪とぎ器が動いてしまうと猫がうまく踏ん張れず、その結果、動かない壁や家具で爪をといでしまうこともあります。滑り止めシートやテープを使ってしっかり固定してあげましょう。
対策: 困った爪とぎをさせないよう工夫する
④ ストレスを発散させる
高いところに猫の居場所をつくったり、遊ぶ回数を増やしたりなど、猫をイライラさせないような環境をつくりましょう。また、猫が爪をとぎそうになったら遊びに誘って気をそらすのも効果的です。
⑤ 爪とぎしてしまう場所にくつろげる空間をつくる
猫は寝床を人目につかない場所につくり、そこでは爪とぎをあまりしない習性があります。爪とぎをされたくない場所に猫用ベッドなどを置けば、爪をとぐ場所も塞がれるので◎
⑥ 爪が引っかかりにくい素材で保護する
爪とぎされて困る場所には、爪がひっかかりにくいツルツル素材のカバーやシートをかけて保護するとといいでしょう。愛猫が万が一爪をといでも、取り換えられるので便利です。
爪とぎ対策の効果は、猫の性格などによってさまざまです。いろいろ試して、愛猫に合った対策を見つけてみましょう!
参考/「ねこのきもち」2016年7月号『だって猫だもの バリバリ爪とぎしたくなる!そのココロは?』(監修:哺乳動物学者 川崎市環境影響評価審議会委員 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/AzusaS
構成/ねこのきもちWeb編集室
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。