みなさんは、猫の4匹に1匹は皮膚の病気にかかっているって知っていましたか?
この記事では、飼い始めの猫にもっとも多い皮膚の病気「皮膚糸状菌症(猫カビ)」について、くわしく解説します。
皮膚糸状菌症(通称:猫カビ)とは
飼い始めの猫にもっとも多い、皮膚糸状菌症(猫カビ)。カビの一種である皮膚糸状菌、通称「猫カビ」が毛や皮膚に増殖して発症。猫カビをもっている猫と接触することで感染します。
また、母子感染が多く、大半が子猫期に発症。触るだけで人にも同居猫にもうつりやすい、厄介な病気なのです。
皮膚糸状菌症(猫カビ)の症状:発症すると脱毛し、皮膚が赤くなる
猫にかゆみはないため、毛が束になって抜けて、脱毛した時点で飼い主さんが気づくことが多いようです。
悪化すると、脱毛した皮膚にかさぶたや赤いブツブツが見られることもあります。
愛猫に次のような様子が見られたら、早めに受診をしましょう。
□顔回りなどに円や楕円形の脱毛がある
□特定の部位を気にするしぐさが見られる
□顔の皮膚が赤くなっている
皮膚糸状菌症(猫カビ)の治療:抗真菌薬の投与が一般的
治療には、猫カビの菌の増殖を阻害する、抗真菌薬の飲み薬を与えます。場合によっては、塗り薬を処方することも。
また、住環境の殺菌も必要です。猫ベッドなど猫の愛用品は漂白剤で殺菌を!
猫から人にも感染! 飼い主さんも治療が必要に
猫カビの菌は、人にもうつります。人は首などに紅斑ができ、強いかゆみがあります。
症状が見られたら、皮膚科で受診をしましょう。「猫を飼っている」と伝えると、診断がスムーズになります。
皮膚糸状菌症(猫カビ)の対策:猫カビの菌をもち込まないようにする
人が外で猫を触って猫カビの菌を家にもち込み、愛猫が感染することもあるので注意が必要です。また、以前にほかの家からうつされている可能性も。
家に猫を迎える前に、健康診断を受けておくと安心です。
皮膚糸状菌症と診断されるまでの流れ
上記で皮膚糸状菌症の症状や治療などについて見てきました。ここからは、皮膚糸状菌症と診断されるまでの一般的な流れを、イラストとともに紹介していきます。
①飼い主さんが脱毛に気づく
愛猫の体の一部が脱毛していることに飼い主さんが気づき、動物病院に電話する。
②動物病院で受診する
動物病院では、まず問診・視診を実施。症状のほか、飼育環境や飼い主さんの異変などについても聞かれます。
③毛に特殊な光を当てるなどの検査をする
皮膚糸状菌症が疑われた場合は、毛に特殊な光を当てる検査、顕微鏡で毛を見る検査・培養検査を実施します。
④診断されて飲み薬が処方される
猫カビの菌を確認し、皮膚糸状菌症と診断。飲み薬が処方され、1週間後に再診となりました。
※皮膚病は、診断がつきにくいこともあります。皮膚糸状菌症以外の病気が疑われた場合は、症状と併せて、細菌や寄生虫感染の確認、血液によるアレルギー検査などを行い、診断につなげています。
ふだんの生活で心がけたいこと
東京都板橋区の北川犬猫病院院長の三枝早苗先生によると、「皮膚糸状菌症は、子猫など飼い始めに多く見られる病気。徹底的に菌を除去しないと治らないので、住環境も清潔にする必要があります」とのこと。
愛猫が皮膚糸状菌症を発症しないためにも、飼い主さんがふだんの生活で心がけたい2つのポイントを紹介します。
①よその猫に触ったら手洗いを徹底、服も着替えて
石鹸で指の間もしっかり洗い、猫を抱っこなどしたら服も着替えましょう。
②感染が疑われる猫は、同居猫と隔離する
同居猫に感染しないように、部屋を分けて接触させないでください。
皮膚トラブルの早期発見のためにも、飼い主さんは日頃から愛猫に異変がないかどうか、注意深く見てあげましょうね!
参考/「ねこのきもち」2016年4月号『子猫や飼い始めは要注意シリーズ① 脱毛、かゆみからニキビまで 皮膚の病気&トラブル』
(監修:東京都板橋区の北川犬猫病院院長 三枝早苗先生/北川犬猫病院獣医師 笠井智子先生/北川犬猫病院獣医師 後藤慎史先生)
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
イラスト/こさかいずみ
文/雨宮カイ
構成/ねこのきもちWeb編集室