肌寒い日は、猫が過ごす部屋も防寒対策が必要です。とはいえ暖房器具をどのように使えば、猫をやさしく暖めてあげられるのでしょうか。
今回は、ストレスを与えない暖房器具の使い方と、防寒対策について獣医師の藤井仁美先生に伺いました。
暖房器具の使用には注意が必要
猫は寒さに弱い動物ですが、現在の飼い猫(イエネコ)ももともとは外で暮らしていたので、体を丸めるなどしてある程度は自分で防寒することができます。そのため、部屋の暖め過ぎはかえってストレスになり、トラブルの原因になることも。暖房器具を使うときは猫の「快適さ」を意識して、使い方を工夫しましょう。
暖房器具を原因としたトラブル
暖房器具で起こりうるトラブルには、次のようなものがあげられます。
ストレスにならない暖房器具の使い方
室温は基本23℃前後に設定
暖房を使用する際の設定温度は、猫が快適と感じる22~24℃くらいが目安。日中に比べて夜は冷え込むので、ふだんよりも帰宅が遅くなるときなどは、タイマーを設定して出かけるのもいいでしょう。
「点」より「面」が暖まる器具を使う
猫に使うなら、暖房やホットカーペット、オイルヒーターなど、部屋全体を暖める器具の方がいいでしょう。温度がやさしく、じんわりと暖まっていくので、猫にかかる負担が少ないです。
暖房器具を使わない部屋もつくる
暖房が効いている部屋と、少しひんやりした部屋を猫が行き来できるようにするとベストです。部屋ごとに設定する室温を変えておけば、猫が好みの部屋を選んで移動することができます。
暖房器具以外の防寒対策
寒さ対策のし過ぎは考えものですが、冷えが病気を招く要因になることもたしかです。寒さで食事や排泄が制限されてしまわないよう、過不足なく対策することが大切です。
フードや水を温める
寒い季節は飲み水でも体温を奪われるため、水を飲みたがらない猫もいます。ぬるま湯や温めたウェットフードなどを与えて水分補給させるとともに、体の内側から温められるといいでしょう。
トイレ周りを冷やさない
トイレ周辺やトイレまでの動線が寒いと、猫は排泄を我慢してしまうことがあります。定期的な掃除に加えて、足場に布を敷くなどの冷えない工夫をして、猫がトイレに行きやすい環境づくりをこころがけましょう。
部屋の湿度にも配慮する
肌寒い時期は気温とともに湿度も低くなりがちです。乾燥はウイルスの活動を活発化させるなど、猫に病気をもたらす一因になります。加湿器を用いるなどして、湿度を高める策を講じるといいでしょう。
愛猫のための防寒対策は、室温のコントロールに加えて寒さを感じさせないことが大切です。程よい環境を整えて、肌寒い日を乗り切りましょう。
お話を伺った先生/藤井仁美先生(獣医師 獣医行動診療科認定医 ペット行動カウンセラー)
参考/「ねこのきもち」2018年12月号『「寒さ」だけじゃない、「寒さ対策」までもが… じつは多い冬のストレス、大丈夫?』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。