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猫の「尿道閉塞」とはどんな病気? 気づきたい異変のサイン|獣医師解説

猫のおしっこの病気に「尿道閉塞」がありますが、これはどのような病気なのでしょうか? 今回、ねこのきもち獣医師相談室の丸山知美先生が解説します。

猫の尿道閉塞とはどんな病気?

見つめる猫
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——猫の尿道閉塞とはどのような病気なのでしょうか?
丸山先生:
「尿道閉塞とは、尿中の結石などで尿道が、ふさがれて、尿を全く排泄できなくなる病気のことをいいます。

一般的に『尿路』といって、おしっこの通り道は上から順に『腎臓(おしっこを作る)→尿管(おしっこをタンクまで運ぶ)→膀胱(おしっこをためておけるタンク)→尿道(おしっこを出す道)→最後はオスであればペニス、メスであれば外陰部』に繋がります。

つまり、尿道というのは最後におしっこを外へ出す管のことです。オスの尿道は細くて長く、メスは太くて短いといわれています。

尿道に詰まる物質としては、一般的におしっこの結晶・結石、血液、腎臓などから流れ着いた余計な細胞などがあります。また、物質が詰まっていなくても、何度も尿道閉塞を繰り返していると尿道の中が物理的に腫れてしまい、小さな物質も通れない閉塞しやすい状態に変化します」

猫の尿道閉塞の症状は?

くつろぐ猫
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——猫が尿道閉塞になると、どのような症状が見られますか?
丸山先生:
「尿道閉塞の症状としては…

  • 猫がトイレに入ってすごくきばっているのに、一滴もおしっこが出ない
  • 何度もトイレに入って挑戦するけれど、やっぱり一滴もおしっこが出ない
という場合が多いです。そのほかにも、ペニス・外陰部をすごく舐める、おしっこするときに鳴く様子も見られます。こうした症状が見られたら、異変のサインです。早めに動物病院を受診しましょう」

尿道閉塞になりやすい猫の傾向は?

見つめる猫
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——たとえば、性別などによっても尿道閉塞になりやすい、なりにくいという差はあるのでしょうか?
丸山先生:
「尿道閉塞はオスのほうが発生が高いとされています。オスのほうがおしっこの通り道が細くて長く狭いために、詰まりやすいのです。

なりやすい猫種というのは特にありませんが、濃いおしっこを出す若いオスに多いのではないかと思います。過去に尿結石や膀胱炎を患ったコにも見られやすいです。

また、寒い時期はあまり水を飲まず、おしっこに行くのがおっくうになるのが原因で、尿道閉塞の発生が多いと思います」

猫が尿道閉塞になった場合の治療法は?

抱っこされる猫
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——尿道閉塞になった場合、どのような治療が必要になるのでしょうか?
丸山先生:
「完全に尿道が詰まっているか、中途半端に詰まっているかにもよりますが、もし獣医師がペニス・外陰部の先端で詰まっている物質の確認が取れたら、とにかくペニス・外陰部をマッサージしてほぐし、入れられればカテーテルと呼ばれる滅菌した管をペニス・外陰部から入れます。そこで管を開通させ、流れを再開させてあげるのです。

この処置は猫がとても痛がることが多いので、場合によっては麻酔や鎮静剤などをかけて、処置を行います。

尿道閉塞の発見が遅れてしまった場合には、急性腎障害に陥って強い毒素を持っている可能性もあるので、その際は入院したり、お薬を使ったり、点滴をしたりするのが一般的かと思います。

おしっこが出ないなど愛猫に異変が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう」

猫の尿道閉塞を予防する方法は?

くつろぐ猫
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——猫の尿道閉塞を予防するには、どうしたらよいでしょうか?
丸山先生:
「たとえば…

  • 尿結石ができるような塩分やミネラルが多い食事は避ける
  • しっかり水を飲んでもらうためにあちこちに水を置く
  • 飲み水を冷たいものからぬるま湯に替えてみる
  • 部屋を暖かくしてあげる
  • トイレを快適で清潔な状態に常に心掛ける
  • 可能であればシステムトイレを使い、いつでも獣医師に尿検査をお願いできるようにする
  • 猫トイレの数は飼っている猫の頭数+1個を目標にする
などを意識することで、尿道閉塞の予防にもつながります。飼い主さんはぜひ試してみてください」
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・丸山知美先生)
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/sorami
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