猫と暮らす
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【獣医師監修】子猫・成猫の健康チェックポイント 異変や痛みのサインも
猫は自分で「具合が悪い」「おなかが痛い」などと言えません。愛猫の異変を察知して、早めに病院を受診させるのが飼い主さんの役目です。ここでは、子猫・成猫の健康をチェックするポイントと、異変に気づいたときの対処法をご紹介します。

長谷川 諒 先生
株式会社Ani-vet 代表取締役
保護猫施設専門往診病院 下京ねこ診療所 院長
動物病院京都 ねこの病院 所属獣医師
北里大学獣医生化学研究室 研究生
●所属:日本猫医学会/日本獣医腎泌尿器学会
●書籍(監修):『知っておきたい ネコの多頭飼いのすべて 獣医師が教える 幸せに暮らすためのポイント』メイツ出版 /『いちばんよくわかる猫種図鑑 日本と世界の60種』メイツ出版
毎日チェックしたい3つのポイント
【1】食欲はあるか
【2】排泄はいつも通りの量・回数か
詳しくはこちらで紹介しています。
【3】遊びたがるか
受診が必要な猫の異変のサイン
目
・目をシバシバさせるなど痛がる
・目が赤い
・涙や目ヤニが出る(1〜2日以内に受診をしましょう)
目の異常は猫自身が目をこすることで悪化するので、すぐに受診をしてください。
口
・呼吸が苦しそう
口を開けたり、ハアハアと苦しそうな呼吸をしていたりしたら、呼吸器や心臓などの異常が考えられます。このような状態は命にかかわることもあるので、緊急で受診しましょう。
耳・鼻
・鼻水やくしゃみが出る(1〜2日以内に受診をしましょう)
耳や鼻がいつもより白っぽいときは貧血、黄色っぽいときは黄疸、赤いときは発熱の可能性があります。いずれも命にかかわる病気で見られる症状です。
腹
食べ過ぎや便秘でもないのに、おなかがふくれていたら、心臓病や低タンパク血症、腹膜炎などによる腹水(おなかに水がたまる)のほか、排尿困難による膀胱腫大や蓄膿症による子宮腫大、腫瘍などが考えられます。おなかを突き出すように寝てばかりいるといった様子がみられたら、痛みのある可能性があります。
毛
猫の毛つやは人間の顔色のようなものです。つやがなかったり、バサバサしていたりするときは脱水や栄養不良などの問題があるかもしれません。早めに動物病院へ行きましょう。
おしり
白い粒、または黄色っぽく変色したご飯粒のようなものが付いていれば、消化器官内に寄生虫がいる可能性があります。
陰部
・血尿が出る
陰部ばかりをなめるのは、泌尿器や生殖器に何らかの違和感がある可能性があり、オシッコや子宮の病気などの恐れがあります。血尿は子宮・卵巣系からの出血、細菌感染や結石などによる腎臓や膀胱の異常、ネギ類の誤食による中毒などが考えられます。
体全体
・触ると痛がる
けいれんは誤食による中毒やてんかんなどさまざまな原因が考えられます。中毒は一刻を争うのですぐに動物病院に連絡をしましょう。
外に出る猫は思わぬケガをしていることもあります。触ると痛がるような箇所があれば、すぐに受診しましょう。
猫の痛みのサイン
猫の痛みのサインに気づきにくい理由
痛みがあっても人に助けを求めない
よく「猫は人に死ぬところを見せない」といわれるのも、重篤で痛みが強いほどそっとしておいてほしい気持ちが強く、人目を避けるからでしょう。
動物病院では痛みのサインが表れにくい
警戒心が強い猫ほど、縄張りの外にいる不安で固まってしまって痛がる様子を見せないので、獣医師も痛みの度合いを判断しにくいのです。
休んでいるときに見られる痛みのサイン
・部屋の隅や薄暗い場所にいる
・いつも行かない場所で休んでいる
・人が触るとうなったり、叫んだりする
・人が触った部位を気にするようにじっと見る
・同じ部位をしきりになめている
以下のような状態が見られるときは、元気がない状態です。感染症や胃腸などの病気、ケガや骨折、そのほかあらゆる原因による症状のひとつとして痛みがある可能性があります。
・いつもより明らかに長く寝ている。
・うずくまっている。
・ほとんど寝ない。
歩いたり走ったりしている時の痛みのサイン
・足を引きずるようになった
・足運びがぎこちなくなった
足をかばうような不自然な動きには、おもに骨や関節の痛みが疑われます。また神経系の病気で体にマヒが起きたり、背骨に異常があったりしても足運びがぎこちなくなることがあります。
トイレにいるときに見られる痛みのサイン
・何度もトイレに出入りする
・排泄のポーズをするのに出ない
このようなときは泌尿器系の病気の疑いがあります。尿道などに結石ができる「尿石症」や細菌感染などによる「膀胱炎」が代表的です。また、腸内に異物や腫瘍があって便秘になることも。いずれも無理やり排泄しようといきむときに激しい痛みが生じ、思わず悲痛な声が出てしまう様子がみられます。
食べるときに見られる痛みのサイン
・フードをこぼすようになった
・顔を傾けて食べるようになった
・いつもより食べるのが遅い
・食べなかったり食べる量が減ったりした
いつもより食べにくそうにしている様子は、口の中に痛みがあるサインです。痛みを伴う口内疾患には「歯周病」や歯が溶けてしまう「歯の吸収病巣」、免疫系の病気が関わる「口内炎」があります。
フードを目の前にしても食べないなど、食欲の減退は口内疾患以外に胃腸炎やそのほかの病気、ケガによる痛みが関係していることもあります。
遊んだり跳んだりするときに見られる痛みのサイン
・おもちゃに飛びつかなくなった
・おもちゃに反応しなくなった
おもちゃへの興味喪失や高いところへジャンプしなくなる様子は、体調不良で余裕がなくなるとすぐに見られるサインです。関節炎や骨の異常による足の痛みのほか、あらゆる内臓疾患やケガが疑われます。
愛猫の痛みのサインに気づいたときの対処法
できる限りほかの異変を確認してから受診する
治療中も痛みのケアについて獣医師に相談する
痛みのサインの様子を写真や動画で撮っておく
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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