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【獣医師監修】7才以上のシニア猫がかかりやすい病気は?原因・症状・治療法

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一緒に暮らす愛猫には、健康で長生きしてほしいものですよね。猫には、年齢によってかかりやすいといわれているさまざまな病気があります。ここでは、7才以上のシニア猫がかかりやすい病気を紹介します。

この記事の監修

長谷川 諒 先生

 獣医師・潜水士
 Ani-vet代表
 往診専門 レイクタウンねこ診療所院長

きたじま動物病院所属獣医師

シュシュキャットクリニック所属獣医師
 ヤマザキ動物専門学校非常勤講師(薬理学)

 北里大学獣医学部獣医学科卒業
 北里大学獣医生化学研究室研究生在籍 研究テーマ「伴侶動物の鉄代謝」

●所属:国際猫医学会日本猫医学会日本獣医学会

●主な診療科目:内科(猫)/一般診療(外科、内科)/予防医療

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慢性腎臓病

慢性腎臓病の原因・症状・治療法を解説します。

主な症状は?

初期症状は多飲・多尿、進行すると元気・食欲がなくなりやせていきます。
初期のうちは元気も食欲もあるので気づくのが遅れがちです。多飲多尿のサインを見逃さないようにしましょう。

どんな病気?

慢性腎臓病とは、腎臓の組織が障害を受けて働きが悪くなる病気です。猫はこの病気にかかりやすく、年齢とともに腎臓が障害されるため高齢での発症が多いです。腎臓は、血中の老廃物をろ過して尿をつくるところですが、働きが悪くなると血中の老廃物が再び体内をめぐるため、尿毒症に進行することもあります。
病気が進行すると嘔吐や下痢が見られるようになり、元気や食欲がなくなりやせてきます。重篤になるとオシッコをつくれなくなり、亡くなることもあります。

治療法は?

障害を受けた腎臓は二度と回復しないので、治療の目標は「病気の進行を遅らせること」「残された腎臓の機能を効率的に使ってオシッコをつくり、老廃物を排出させること」になります。
具体的には、腎臓に負担をかけない療法食を与えて、脱水傾向であれば点滴を定期的に行うのが一般的です。初期のうちに発見できればより病気の進行を遅らせることができるので、多飲多尿の症状に気づいたらなるべく早く受診しましょう。

糖尿病

糖尿病の原因・症状・治療法を解説します。

主な症状は?

多飲・多尿、初期は多食、進行すると食欲不振や体重減少、下痢と嘔吐を繰り返すこともあります。
肥満の猫や運動不足の猫は、糖尿病になりやすい傾向があります。以前より多飲多尿が見られるようであれば、すぐに受診をしましょう。

どんな病気?

通常、血中の糖は体の各細胞に取り込まれて、エネルギー源になります。この過程で重要な役割をするのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンです。しかし、糖尿病の猫はこのインスリンがうまく作用しなくなって、体に糖を取り込めなくなります。そのため、血糖値が高くなり、オシッコの中に糖を排出するようになります。初期には、たくさんの水を飲んでたくさんオシッコをするようになり、食欲が増すことも多いようです。しかし進行してくると、元気・食欲がなくなりやせてきます。さらに重篤化すると、嘔吐・下痢を繰り返してぐったりしてしまう「糖尿病原性ケトアシドーシス」という状態になり、命にかかわることもあります。

治療法は?

病気の程度や猫の状態によって異なりますが、療法食とインスリン注射で血糖値をコントロールする治療が一般的です。これは毎日決まった時間に決まった量の療法食を与えて、決まった時間にインスリン注射を打つことで血糖値を安定させる方法です。インスリン注射は、獣医師の指導を受けて飼い主さんが行います。
進行する前に病気を発見し、早く治療を始めることができればうまく付き合って寿命を全うできます。しかし、症状が進んでしまうと、血糖値のコントロールが難しくなり、安定させられないうちにほかの合併症を引き起こすこともあります。

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)

甲状腺機能亢進症の原因・症状・治療法を解説します。

主な症状は?

多食、食欲が増す、活発になる、落ち着きがなくなる。
初期には落ち着きなくウロウロと動き回ったり、興奮しやすくなったりすることもあります。食欲は増すのにやせてくるのが特徴です。

どんな病気?

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて、みるみる痩せていく病気です。
甲状腺は、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌するところです。甲状腺機能亢進症とは、この甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されて、代謝が異常に活発になってしまう病気です。
この病気になるのはほとんどが10才以上の猫ですが、初期は活発になり食欲が増すため、飼い主さんはむしろ「最近、愛猫が元気になった」と感じることも。しかし、この状態は心臓をはじめとするさまざまな臓器に負担をかけて、寿命を短くしてしまいます。

治療法は?

毎日の飲み薬を与えることで、甲状腺ホルモンの分泌量を抑える方法が一般的です。この場合、生涯にわたって薬を与え続ける必要があります。また手術によって甲状腺を摘出するケースもありますが、左右両方の甲状腺を摘出した場合、その後は飲み薬で甲状腺ホルモンを補うことになります。
甲状腺機能亢進症自体はすぐに命にかかわることはなく、治療をしながらうまく合っていける可能性があります。しかし、心不全、腎不全、肝不全などの合併症を起こすと食欲がなくなって衰弱し、命にかかわることもあります。合併症を起こす前に治療を始めることが大切です。

心臓病

心臓病の原因・症状・治療法を解説します。

主な症状は?

動くとすぐに疲れる、あまり動きたがらない、口を開けて呼吸する。
少し動いただけで息切れしたり、うずくまってしまったりするなどの様子が見られたら受診しましょう。

どんな病気?

猫が心臓病になる原因はいくつかあり、先天的な心臓奇形による症状が10才を過ぎてから出るケースや、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症の合併症として発症するケースもあります。
心臓は、全身や肺に血液を送り出すポンプのような役割をしているところです。心臓病になって心臓の働きが悪くなると、酸素を多く含んだ血液が全身に行きわたらなくなり、猫は動きたがらなくなったり、疲れやすくなったりします。また、ハァハァと呼吸が荒くなったり、咳をしたりすることもあります。
症状が進むと肺に水がたまり(肺水腫)、呼吸困難になるおそれもあります。さらに、心臓内に血の塊(血栓)ができやすくなり、これが全身のどこかの血管で詰まると、突然命を失う可能性もあります。

治療法は?

治療法はその原因によって異なってきますが、早く治療を始めれば病気の進行を遅らせて寿命を延ばせる可能性があります。
具体的には、心臓の働きを助ける薬や血圧に作用して心臓の負担を軽くする薬などを与えます。血栓が詰まってしまった場合は、緊急的に血栓を溶かす点滴や取り除く手術をすることもありますが、何よりも血栓ができにくい状態を維持することが治療の中心です。
また心臓に負担をかけないように、自宅ではなるべく猫を安静に過ごさせて、リラックスできる環境をつくってあげることが大切です。

口腔内疾患

口腔内疾患の原因・症状・治療法を解説します。

主な症状は?

フードを食べにくそうにする、食べたがらない。口の周りをしきりに前足で触る。
口内に痛みを感じると、フードを食べなくなるほか、食べるときに顔を傾けたり鳴くなどの様子が見られることもあります。

どんな病気?

加齢とともに⻭に⻭石が蓄積したり免疫力が弱くなったりすると、口内環境が悪化し⻭周病など病気にかかりやすくなります。
口内の病気は重症化すると口内に激しい痛みが起こるだけではなく、フードが食べられなくなり、やせて衰弱することもあります。また前足でしきりに口の周りに触るなど、口を気にする様子を見せることもあります。

歯周病

歯に付着した歯垢や歯石の中の細菌によって、歯茎や歯を支える周辺組織が炎症を起こす病気です。歯茎が腫れたり、歯茎から出血したり、歯の根元に膿がたまることもあります。悪化すると歯が抜け落ちることもあります。

歯肉口内炎

奥の歯茎や頬の内側、ノドなどに広範囲の炎症が起きたり、潰瘍(かいよう)ができたりして、真っ赤に腫れる病気です。原因には免疫のアンバランスがかかわっていると考えられており、免疫力が低下する高齢の猫に特に多く見られます。

歯頚部吸収病巣(しけいぶきゅうしゅうびょうそう)

歯茎が赤く腫れて歯が溶けてしまう、猫に多い病気です。歯茎との境目や歯茎の中の歯が溶けることが多く、X線検査で確認しないとわからないこともあります。歯周病や歯肉口内炎の症状のひとつとして起こるケースもあります。

治療法は?

基本的には、どの病気も根本的な治療として抜歯をします。猫は歯がなくても食べることに支障がないことが多いので、抜歯によって炎症が治まれば、たいていは元気も食欲も回復します。
ただし麻酔をかけての抜歯は、高齢の猫には負担になることも。猫の状態によっては、抗生剤や鎮痛剤による治療が選択されるケースもあります。

腫瘍性疾患

腫瘍性疾患の原因・症状・治療法を解説します。

主な症状は?

(一部のリンパ腫や乳がんなど表在している腫瘍の場合)グリグリしたしこりができる。
(内臓系腫瘍の場合)下痢をする、吐く。
内臓系腫瘍では、初期のサインとして元気・食欲があっても下痢が続くことがあります。慢性的な下痢をしていたら、早めに受診をしましょう。

どんな病気?

腫瘍性疾患とは、細胞が過剰に増殖する病気です。
その中でもいわゆる「がん・肉腫」は、しだいに大きくなったり全身に転移したりして命にかかわる悪性腫瘍です。悪性腫瘍は、体のどの部位にもできる可能性があり、加齢によって発症率が上昇します。
ここでは、猫に特に多く見られる悪性腫瘍を紹介します。

リンパ腫(りんぱしゅ)

体中に分布しているリンパ系組織にできる悪性腫瘍です。どこにでもできる可能性がありますが、発見することが多いのは首の下や後ろ足のリンパ節です。また、胃や腸など消化器のリンパ節にできると、下痢をすることもあります。

乳腺(にゅうせん)がん

胸からおなかにかけてある、乳腺にできる悪性腫瘍です。メスに多いですが、ごく稀にオスもかかります。乳頭付近が赤く腫れたり、おなかをなでると硬いしこりに触れたりすることもあります。

扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん

皮膚や粘膜にできるがんです。口腔内にできることが多く、場所によっては口を開けたときに見て確認できます。病変が進行すると口臭がしたり、痛がったり出血することもあります。

治療法は?

腫瘍の大きさや転移の可能性などにより判断しますが、手術で患部を切除するのが基本です。リンパ腫など化学療法の効果が得られやすい腫瘍は、化学療法で治療することもあります。
とはいえ、悪性腫瘍の治療は猫への負担が重く、そのほとんどが完治しない病気なので、猫の体力や飼い主さんの意向を踏まえて方針を決めます。

そのほかシニア猫がかかりやすい病気

そのほか、シニア猫がかかりやすい2つの病気を紹介します。

関節炎

関節の変形などにより関節に負担がかかって、炎症が起こり痛みが生じる病気です。高齢の猫は筋力や靭帯(じんたい)の柔軟性が低下するため、この病気にかかりやすくなります。
痛みが強いようなら鎮痛剤を投与したり、サプリメントを用いたりすることもあります。

便秘

高齢の猫は水分摂取量が少なくなり、また排便をするための筋力も低下するので便秘になりがちです。長期間便秘の状態が続くとウンチが腸内で詰まって動かなくなり、巨大結腸症という病気になることもあるので、3日以上ウンチが出ない場合は、動物病院で診察を受けましょう。

高齢の猫がかかりやすい病気は、予防が難しく目立った症状がないままじわじわと進行していくものが多いです。ぜひ覚えておいて、早期発見&治療に役立ててくださいね。

監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより

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