愛猫に噛まれたことはありますか? 普段は人に噛みついたりしない穏やかな猫でも、何かのキッカケで突然攻撃的になることも。
獣医師の菊池亜都子先生に、猫が嚙みつく原因について解説していただきました。
【原因①】狩猟本能による“捕食性攻撃行動”
猫には「獲物を捕まえたい」という狩猟本能があります。たとえば、飼い主さんが寝ているときに布団からはみ出した手や足に噛みついてくるような場合は、この“捕食性攻撃行動”といえるでしょう。日頃から人の手や足にじゃれつかせているとますます狙われるので、注意しましょう。
【原因②】強い恐怖による“恐怖性/防御性攻撃行動”
猫は強く恐怖を感じると、身近な何かに攻撃を加えるようになります。たとえば、動物病院で診察中に獣医さんを威嚇して暴れるようなケースが、これに当てはまります。もともと臆病な性格の猫に多い攻撃行動です。
【原因③】八つ当たりによる“転嫁性攻撃行動”
何らかの刺激によって興奮したとき、そばにいた人や猫へ八つ当たり的に攻撃することがあります。たとえば、網戸越しにノラ猫に威嚇されたとき、横にいた飼い主さんに噛みつくといった行為です。のちに同じような状況になったとき、攻撃を繰り返す猫もいます。
【原因④】しつこく撫でられたことによる“愛撫誘発性攻撃行動”
猫はしつこく撫でられると噛みついて意思表示します。最初は気持ちよさそうにしていたのに、急にガブッと噛みつかれるのは、多くの飼い主さんが経験しているでしょう。猫がしっぽを大きく振ったりイカ耳になったりしたら「もうやめて」のサインなので、撫でるのをやめましょう。
【原因⑤】原因不明の“突発性攻撃行動”
ある時期を境に、威嚇もなしに飼い主さんや同居猫にいきなり襲いかかるようになったら、これが原因かもしれません。別名「激怒症候群」ともいい、キッカケがない、攻撃が激しい、制御できないなどの特徴があります。
3才未満の若い猫に起こりやすく、原因のひとつとして脳神経系の異常である“てんかん”が関与しているのではないかと考えられています。生まれつきの体質なので完治は望めませんが、投薬を続ければ発作が抑えられることも。
猫の歯は鋭く噛まれるとなかなか痛いので、できれば噛まれる状況は避けたいもの。愛撫誘発性攻撃行動など未然に防げるものは対策して、愛猫とうまく付き合っていけるといいですね。
お話を伺った先生/菊池亜都子先生(獣医師)
参考/「ねこのきもち」2018年5月号『キッカケのない突然の攻撃行動 猫の激怒症候群って何?』
文/緒方るりこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。