困った行動を繰り返す愛猫……どう対応していますか?
飼い主さんが対応を間違うと、問題行動が悪化したり、愛猫との関係が悪くなったりすることも。今回は、大学准教授の加隈良枝先生に、猫が困った行動をとったときの正しい対応方法を伺いました。
してはいけない場所で爪をとぐのをやめさせるには?
爪をとぐ場所の近くに爪とぎ器を置きましょう
猫が爪をとぐのは、自分の縄張りにニオイを付けるマーキング行為です。爪をといでほしくない場所の近くに爪とぎ器を置くことで、その欲求を満たしてあげて。また、寝床や玄関など、マーキングしやすいエリアに複数の爪とぎ器を置けば、ほかの場所での爪とぎもしなくなるでしょう。
NG対応:爪とぎをするたびに引き離し「ダメ」と言って叱る
飼い主さんは叱っているつもりでも、愛猫は「飼い主さんに抱っこされて、話しかけられている」などとうれしい勘違いをすることも多いです。叱り続けるとそのたびに猫が喜んで、困った爪とぎを繰り返す可能性があるので逆効果です。
お手入れを嫌がる愛猫を暴れさせない方法は?
おやつを与えている間にお手入れを
おやつを与えながらお手入れをすることで、猫の苦手意識が和らいでいくでしょう。加えて、お手入れ後にもおやつを与えると、「お手入れのあとはごほうびをもらえる」と学習します。お手入れは一気に行わず、今日のブラッシングは背中だけ、明日はお腹だけなど少しずつ行い、猫がストレスを感じる前にやめるようにするのもコツのひとつです。
NG対応:体を押さえ付けてお手入れをする/猫が落ち着く場所でお手入れをする
体を押さえ付けると、猫や飼い主さんがケガをするおそれが。こうしたトラブルがあると猫は一層お手入れ嫌いになり、お手入れのたびに飼い主さんとの関係が悪くなってしまいます。
また、猫が落ち着く場所でのお手入れは、猫からすると落ち着いていられる場所を乱されるようで、ストレスになる可能性があるためやめましょう。
人の手や足を噛ませない方法は?
噛まれたり噛まれそうになったりしても反応せず、その場を離れましょう
愛猫が好ましくない行動をしたときは、何事もなかったかのように装うのが効果的です。愛猫に噛まれても、痛いのは我慢しつつ、静かに別の部屋へ行きましょう。噛み付きそうなそぶりを見せたときも、同様の対応を。これを繰り返すことによって、猫は「噛むと飼い主さんがいなくなってしまう」と学習し、噛むのをやめるようになります。
NG対応:「痛い」と言って振り払う/「ダメ」と言って叱る
飼い主さんは避けたり叱ったりしているつもりでも、愛猫は遊び相手をしてもらっていると思いがちです。大きな声で叱ると、猫は余計に興奮したり、不安や恐怖などのストレスを発散するために、噛みグセがエスカレートしたりしてしまうことも。
上がってはいけない場所に上がったときの対応は?
おやつなどで誘導して猫自ら下りるように促して
猫に、その場所から下りるといいことがあると学習させましょう。猫がテーブルなどに乗ったら、「オリテ」と声をかけながらおやつを見せたり、指先を近付けたりして下へ誘導を。猫が下りたら、ごほうびにおやつを与えます。猫には「下にいるとおやつをもらえる」と覚えさせたいので、誘導で使うおやつは猫が下りるまで与えないことが大切です。
NG対応:上がるたびに抱っこして下ろす
ある場所に上がるたびに抱っこされると、猫は「かまってくれた」と喜んでしまいます。こうした対応を繰り返していると、飼い主さんに抱っこされたいがために、何度も上がるようになる恐れがあります。
愛猫の困った行動をやめさせるポイントは、「騒ぎ立てず」「環境を整えて」「ごほうびを与える」こと。ぜひ、この3つのポイントを参考に正しい対応方法を実践してみてくださいね!
お話を伺った先生/加隈良枝先生(帝京科学大学生命環境学部 アニマルサイエンス学科准教授)
参考/「ねこのきもち」2020年6月号『正しい対応できてますか?クイズでチェック 猫の困った行動、そのときどうする?』
文/東みお
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。