汗をほとんどかかない猫の体にも皮脂腺があり、分泌物をそのままにしておくことが原因で起こるトラブルは、被毛や皮膚がベタベタになるだけではありません。菌が繁殖することで皮脂腺が詰まってしまい、機能しなくなるおそれもあるのです。
ここでは、猫の体をサラッとさせるお手入れ方法を、アニマル・ケアサロンFLORA院長で日本ペットマッサージ協会理事の中桐由貴先生に伺いました。
猫の体、とくにベタ~ッとしやすいのは?
猫の体でベタつきやすいのは、背中、あご、しっぽ、耳など。これらの部位は、とくにしっかりとお手入れしてあげることが大切です。
あごに起こりやすいトラブル:あごニキビ
あごに付いた食べかすなどから細菌が繁殖。あごに炎症が起こり、ブツブツができたりします。
しっぽに起こりやすいトラブル:スタッドテイル
しっぽの付け根あたりに皮脂腺があり、そこからの分泌物を放置したことによって起こる炎症。未去勢のオスによく見られる症状です。
これらのトラブルを防ぐためにも、できるだけ清潔を保つように心がけて
梅雨など湿度が高い時期は、被毛が絡まると皮膚が蒸れやすくなります。日頃から毛並みを整えてあげることが大切です。また、分泌物が出やすい部位のケアをしっかりと行い、できるだけ清潔を保つように心がけましょう。
ブラッシングで「背中」をサラッと
ブラシの種類はさまざまですが、猫が好むならどれでもOK。頭側からお尻側まで、毛並みに沿ってゆっくりととかしてあげましょう。長毛の猫なら最低1日1回、短毛でも週に数回を目安に行ってください。
拭き取りで「あご」「しっぽ」「耳」をサラッと
指先にのるくらいのコットンを用意し、濡らします。基本的にはぬるま湯でOKですが、ペット用のクリーナーを使うと、より清潔を保ちやすくなります。
「あご」のお手入れ
フードの食べかすなどで何かと汚れやすいのがあご。こまめなケアをしてあげましょう。
《手順1》
猫がくつろいでいる背後から顔を包み込むようにして、濡らしたコットンをあごに当てます。猫が嫌がらないなら10秒くらいを目安にするのが◎。
《手順2》
あごのコットンをはずして5分ほどおき、乾いたら歯ブラシで下から上に向けてこすります。歯ブラシは人用のものでOK。いろいろ試し、猫が好む硬さの歯ブラシを見つけましょう。毛づくろいくらいの強さだと気持ちよく感じてくれます。
「しっぽ」のお手入れ
ベタベタがとくに強烈なのが付け根の部分。汚れがきちんと落ちるよう、より丁寧に拭くようにしましょう。
《手順》
濡らしたコットンでしっぽの毛を挟み、根元から立ち上げるようにして拭き取りを。この繰り返しでしっぽ全体をまんべんなく拭き取ります。
「耳」のお手入れ
耳の中がタベタしやすい猫も。折れ耳のスコティッシュフォールドや耳が反ったアメリカンカールはとくに入念なケアを。
《手順1》
猫がリラックスしているときに背後から近付き、片方の手で猫の顔を押さえ、反対側の手で耳の付け根を軽く揉みましょう。先に揉んで警戒心を解くと、お手入れがしやすくなります。
《手順2》
猫の顔を押さえつつ、濡らしたコットンを耳の中に。もう片方の手で耳の付け根をくちゅくちゅ揉むようにします。猫が嫌がらないなら、5~10回くらい揉むのが目安です。
※耳はとくに繊細な部位です。気になる様子が少しでも見られた場合、必ず獣医師に相談してください。
ジメジメした梅雨の季節。こまめなお手入れで、愛猫をサラッと快適に過ごさせてあげましょう!
お話を伺った先生/中桐由貴先生(アニマル・ケアサロンFLORA院長 日本ペットマッサージ協会理事)
参考・写真/「ねこのきもち」2018年6月号『梅雨どきの「湿気」を打ちのめせ! 猫もグッズもベタ→サラ革命』
文/東みお