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キャットフードのBHAは本当に危険なの? 酸化防止剤が猫に与える危険性を調べました
キャットフードの酸化防止剤として使われているBHA(ブチル・ヒドロキシ・アニソール)について、発がん性を心配する声があるようです。しかし、BHAは厳しい安全性試験により
毎日食べ続けても安全と確認された使用基準にのっとって使われていれば安全な添加物です。
BHAをはじめとする「酸化防止剤」は、食べ物や工業製品の酸化による変質を防止する目的で添加される物質で、安全にフードを保存するために必要な成分です。ペットフードでは、ドライフード、セミモイストフードなど、空気に触れて脂質の酸化が進みやすい環境のフードの質と安全性を守るために使用されています。
キャットフードにBHAなどの酸化防止剤が必要な理由
このため、キャットフードのうち、ドライフードには酸化を防止するはたらきをするものが加えられています。これらを酸化防止剤と呼んでいます。酸化防止剤が加えられていないと、ドライフードはあっという間に脂肪が酸化して、おいしくないばかりか、体に悪影響のあるものになってしまうのです。つまり、酸化防止剤は、ドライフードの質と安全を守っていると言えます。
酸化防止剤は、「酸化防止剤」という名前の物質ではありません。酸化を防止する目的で使用しているものを、目的の説明として「酸化防止剤」として記載しています。ですから、キャットフードの原材料表示の欄には、「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」などと、実際の物質の名前が詳しく書かれています。
「剤」という字が使われているので薬品のような印象を受けるかもしれませんが、BHAやBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)といった化学的に合成されたもののほかに、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物などの天然由来のものや、ミックストコフェロール(ビタミンE)、クエン酸など、酸化防止の役割を果たす栄養成分もあります。
主な酸化防止剤一覧
物質名 | 説明 | ペットフード安全法での使用基準※ |
エトキシキン | 主に家畜の飼料添加物として使用が認められている。 | 犬用では単独で75μg/g以下 エトキシキン・BHA・BHTの総量で150μg/g以下 |
BHA (ブチルヒドロキシアニソール) | 食品の指定添加物でもあり、化粧品等にも使用されている。 | エトキシキン・BHA・BHTの総量で150μg/g以下 |
BHT (ジブチルヒドロキシトルエン) | 食品の指定添加物でもある。 | エトキシキン・BHA・BHTの総量で150μg/g以下 |
アスコルビン酸ナトリウム (ビタミンC) | 食品の指定添加物でもあるが、使用制限は設けられていない。 | なし |
トコフェロール (ビタミンE) | 植物によってつくられ、自然界に広く存在する。食品の既存添加物として使用されることがある。 | なし |
ローズマリー抽出物 | ローズマリー(マンネンロウ)の葉または花から得られた、カルノシン酸、カルノソール及びロスマノールを主成分とするもの。食品の既存添加物でもある。 | なし |
クエン酸 | 食品の指定添加物でもあるが、使用制限は設けられていない。 | なし |
※水分量10%(ドライフード)として設定
使用基準は2018年5月現在の情報
BHA(ブチル・ヒドロキシ・アニソール)の発がん性、猫への影響
このように使用上限値が定められている物質は、摂取すると体に有害なのではないかという印象をもつ人も多いようです。
この使用量の限度はどのように決められているのでしょうか。
人の食品の指定添加物の場合、まず、ラットやマウスなどを用いた試験の結果をもとに、この量なら無害と確かめられた「最大無毒性量」が割り出されます。さらに、ちがう動物に使用することを考慮して、人の最大無毒性量をその10分の1とし、個体差を考慮してさらに10分の1にします。それが、毎日食べ続けても安全な量、すなわち1日摂取許容量(ADIとも略されます)となります。
さらに、複数の食品を食べても1日摂取許容量を超えないように、厚生労働省によって、1日摂取許容量を大幅に下回る使用基準が定められています。
「ペットフード安全法」で使用量が定められているBHAなどの添加物についても、農林水産省・環境省によって、人の食品と同様に使用基準を定めています。
「BHAが猫に危険」は誤解
※2:有害性評価書:化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-365
※3:Williams ら、1986年、Ito ら1986年、Ikezaki ら1996年など
「油の酸化」とBHAの大切な役割
猫の体内で合成できず食事から摂取する必要のある必須脂肪酸というものがあります。その必須脂肪酸が酸化して変質してしまうと、健康を維持するために十分な量を摂取できなくなるおそれもあります。
ですから、ドライフードは必ず何らかの方法で酸化を防がなければなりません。酸化防止の方法はさまざまですが、酸化防止剤としてBHAを「ペットフード安全法」の基準にそって使用することに危険性はありません。
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監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
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