普段からしっかり愛猫を観察していると、ちょっとした変化に気付くことがあります。もし、愛猫の食べ方や飲み方がいつもと少し違ったり、「何か変だな」と思うことがあったりしたら、それは病気のサインかもしれません。
食欲の低下や水の飲み過ぎなど、食事に関する心配な変化について、獣医師の小林清佳先生にお話を伺いました。
食欲がなさそう
さまざまな病気のサインとなるのが、食欲の低下です。胃腸の機能が弱っているほか、心臓や肺の病気が進行しているおそれがあります。また、猫自身が「なんか調子が悪い、苦しい」と思っているときや、体のどこかに痛みを感じているときも、食欲が低下しがちです。
普段から食事量を把握し、いつもの6割以下しか食べない場合は、念のため受診しましょう。また、食事自体に興味を示しているかもチェックしてみてくださいね。
全く食べない
丸1日全く食事をしない、あるいはほとんど食事をしない場合は、必ず翌日中に動物病院で診察を受けてください。猫は栄養が摂取できなくなると、肝臓が急激に脂肪を蓄えて肝障害を起こす「肝リピドーシス」を発症し、命を落とすおそれがあります。とくに肥満の猫は注意が必要です。
たくさん食べたがる・食べる
「食欲が増すのはいいこと」と思いがちですが、そうとは言い切れません。例えば糖尿病では、栄養の吸収が満足にできなくなるため多食気味に。甲状腺機能亢進症では、代謝が激しくなる症状が出るため、たくさん食べるのに太らず、むしろ痩せていきます。
以前より明らかに食べる量が増えたと感じるときは、念のため獣医師に相談してみましょう。
水を飲む量が増える
飲水量の明らかな増加も、病気のサインかもしれません。慢性腎臓病では血中の老廃物を排出するために、糖尿病では血液中の糖濃度を下げるために、甲状腺機能亢進症では代謝が上がるため水を飲みます。さまざまな病気の症状の1つに、飲水量の増加があるのです。
こちらも変化に気付いたら、早めに動物病院を受診しましょう。
食べ方がおかしい
食べ方がおかしいときは、口内炎や歯周病などで、口の中が痛いのかもしれません。猫の口内炎は、慢性腎臓病や猫エイズウイルス感染症など、重大な病気の症状ということもあるため、早めに動物病院に相談して必要な検査を受けてください。
多くの病気は、早期発見がとても大切です。普段から愛猫を観察するくせをつけて、病気のサインを見逃さないようにしてくださいね。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2022年6月号『飼い主さんの気付きが、早期発見につながる 「愛猫が何だか急に…」その変化は、病気のサインかも?』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。