猫があまり鳴かないと、ストレスを感じていたり、病気にかかっていたりするのではないかと心配になりますよね。猫が鳴く頻度の違いにはどんな理由があるのでしょうか? 本来は鳴く必要のなかった猫が鳴くようになった理由と、あまり鳴かない猫がいる理由をねこのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生が解説します。
鳴く必要のない猫が、鳴くようになった理由
猫は舌が薄いため、声を発することが苦手な動物です。野生時代は、鳴くことによって敵に自分の居場所を知られる危険性があったことや、単独行動をしていたことから仲間とコミュニケーションを取る必要がなく、鳴く必要もありませんでした。
そんな猫が鳴くようになったのは、飼い主さんと暮らすことで、声を発して自分の気持ちを伝えた方が有利だということを学習したからだといわれています。
あまり鳴かない猫!考えられる理由は?
鳴いてコミュニケーションすることを覚えた猫ですが、鳴く頻度に違いがあるようです。あまり鳴かない猫がいる理由として、次の3つがあげられます。
① 控えめな性格だから
頻繁に鳴く猫は、飼い主さんへの要求やアピールが強くなります。そのため飼い主さんへの依存心が強く、積極的な性格をしている猫が多いでしょう。反対に、独立心が強く控えめな猫はあまり鳴きません。
② 鳴かない猫種だから
「ボイスレスキャット」として知られるロシアンブルーや、野生の猫に近いといわれるベンガル、エジプシャンマウなどはあまり鳴かないといわれています。その一方で、おしゃべりな猫として有名なシャムや、同じ東洋系の短毛種であるバーミーズ、アビシニアンはよく鳴く傾向に。
③ 加齢で落ち着いたから
子猫は母猫にお世話をしてもらう必要があるため、一生懸命に鳴いてアピールをします。しかし、たいていの猫は成長するにつれて自分でできることが増えてくるため、鳴くことが少なくなるのです。甘えん坊の猫は成猫になってもよく鳴きますが、成長と共に鳴かなくなっても病気などの心配は少ないでしょう。
頻度に違いはあるけれど、要求鳴きの対応には注意しよう!
一度でも鳴いて要求が通った経験があると、「鳴けば要求が通る」と学習してしまう猫もいます。必要以上にフードを欲しがる、外に出たがるなどの要求は、しつこく鳴き続けても猫が諦めるまで知らんぷりを徹底しましょう。
猫は、本来鳴かない動物だったことがわかりました。鳴かない猫がおかしいのではなく、鳴く猫が人との生活に慣れてきただけなのです。よく鳴く猫も、鳴かない猫も、猫が発する心の声に耳を傾けてしっかりと向き合ってあげましょう。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・岡本りさ先生)
参考/ねこのきもちWEB MAGAZINE『意外!猫の学習の成果だった!? 猫が鳴くようになったワケ。』
取材・文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。