声が枯れる、咳が出る、体を過剰になめる……。愛猫の体の状態や様子にこのような変化が見られたら、それは病気のサインかもしれません。今回は、見逃すと危険な猫の体の変化について、モノカどうぶつ病院院長の小林清佳先生にお話を伺いました。
くしゃみ・鼻水が出る
くしゃみや鼻水の原因で最も多いのは、猫カゼです。猫カゼの一種である猫ウイルス性鼻気管炎は、一度感染すると体内にウイルスが残り、免疫が低下したときに症状がぶり返すこともあります。
そのほか、アレルギーや歯の根元が化膿する根尖膿瘍(こんせんのうよう)、鼻の腫瘍が原因の可能性もあるため、早めに動物病院を受診しましょう。
目をシバシバさせる・目を気にする
目ヤニが増えるなどの症状を伴う場合は、結膜炎やアレルギー、角膜を傷つけている可能性が高いです。また、緑内障で痛みがあったり、目が見えにくかったりして触っている場合も。
このほか、目の周囲の腫瘍が関わっている可能性も考えられ、いずれの場合も触ると悪化するおそれがあるので、すぐに動物病院を受診してください。
急に体重が減る
14~15才を過ぎた猫は加齢現象として、背中やお尻の筋肉が減ってやせることがありますが、急にやせてきたと感じる場合は、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、腫瘍など、気づきにくい病気のサインのことも。
愛猫の体重が減ってきたら加齢現象と決めつけず、健康診断を兼ねて動物病院を受診するのがおすすめです。
声が枯れる
鳴き続けたときのほかに、口内炎でのどの奥の炎症がひどいときにも、声が枯れる(鳴き声が変わる)ことがあります。口内炎の原因には、猫カゼの一種である猫カリシウイルス感染症が関わっていることがあり、猫はつらい思いをしている可能性もあるので、早めに動物病院を受診しましょう。
お腹が腫れる
猫のお腹が膨れているのは、腹水がたまっているのかもしれません。腹水の原因には、猫伝染性腹膜炎(FIP)や肝臓病、重度の腎臓病、自己免疫疾患、リンパ腫やそのほかの腫瘍、心臓の病気などが考えられます。
いずれも命にかかわる状態なので、すぐに動物病院を受診してください。
体を執拗になめる
猫はストレスや甲状腺機能亢進症が原因で、過剰な毛づくろいをすることがあります。また、アレルギーや感染症が原因の皮膚炎によってかゆみが生じていて、執拗に体をなめている場合も。
ふだんの毛づくろいとは違うと感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
咳をする
猫は気管支炎や肺炎、肺がんなどになっても、咳をすることはほとんどありません。咳の原因で最も多いのは、猫喘息(アレルギー)です。
ただし、病気ではない生理的な咳をすることもあるので、咳が一時的なら様子を見て、頻繁に見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
愛猫の病気を早期発見するためには、飲食・排泄の様子や動き方を観察することと、全身をよく見る・触ることが大切です。毎日同じ順序で猫の全身を触ることで異変に気づきやすくなるので、スキンシップも兼ねて、健康チェックを習慣にしてみてください。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2022年6月号『飼い主さんの気付きが、早期発見につながる 「愛猫が何だか急に…」その変化は、病気のサインかも?』
文/宮下早希
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。