猫には多くの感染症があり、感染力が強いものや、なかには命にかかわるものもあります。今回は、感染症の感染ルートについて、獣医師の田草川佳実先生に教えていただきました。感染ルートを知り、愛猫を感染症から守るための対策をしましょう。
共有することで感染する感染症
トイレを共有
便中に排出された病原体が、トイレ砂や容器、猫の足裏などに付着。毛づくろいをすることで摂取され、感染します。「猫汎白血球減少症」や「回虫症」などで見られるケースです。
器を共有
感染猫の唾液中に排出された病原体が、器を介して感染することも。とくに「猫白血病ウイルス感染症」や「猫カリシウイルス感染症」などがあげられます。
その他の接触により感染する感染症
くしゃみ・鼻水・目やに
くしゃみの飛沫や鼻水、目やにがほかの猫の目や鼻、口などの粘膜につくことで、「猫カリシウイルス感染症」などに感染することがあります。
接触・毛づくろい
「猫クラミジア感染症」や「皮膚糸状菌症」、「疥癬(かいせん)」などは、猫同士の接触や毛づくろいによって、体表や唾液、鼻水、目やになどの分泌物に存在する病原体から感染することがあります。
授乳・胎盤など
母猫の母乳中に存在する「回虫症」などの病原体が、授乳時に子猫へと感染することも。ほかにも、胎内で胎盤を通して感染する病気もあります。
噛み傷
猫同士のケンカや交尾時に噛まれた傷から血液に病原体が入り、「猫免疫不全ウイルス感染症」や「猫白血病ウイルス感染症」などに感染する場合があります。
小動物の捕食
感染したネズミやカエル、ゴキブリなどを捕食したり、毛づくろいの際に体表のノミを口から摂取したりすることで、「回虫症」や「条虫症」などに感染することがあります。
飼い主さんを介して感染することもある
外猫を触ったり、外猫が多い場所を通ったりした際に、「猫カリシウイルス感染症」や「皮膚糸状菌症」などの病原体が付着することがあり、そのまま愛猫に触れることで手や衣服から愛猫に感染する場合があります。
さまざまな経路から感染する病気があることがわかりました。避けるのが難しい接触もありますが、一度生活環境を見直してみることで、感染を防げる病気もあるかもしれません。
お話を伺った先生/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
参考/「ねこのきもち」2022年3月号『感染ルート・対策の知識が予防につながる! 本当に怖い猫の感染症』
文/山村晴美
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。