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【初めての猫カフェ】猫を飼っていなくても楽しめる「猫カフェ」「保護猫カフェ」とは? 楽しく過ごすためのマナーも紹介

「猫カフェ」「保護猫カフェ」は、「一緒に暮らしたいけど事情があって難しい」「いつか猫と暮らしたいと思っている」など、猫を飼っていない人でも猫と一緒の空間を楽しめる場所です。猫カフェについての基本情報から楽しく過ごすためのマナーまで紹介します。

石原 さくら さん

 猫写真家、猫研究家

 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。
 キャッテリーや猫カフェの運営における知識と経験を活かし、キャットファーストな撮影を心がける猫写真家。
 「ねこのきもち」表紙や書籍の撮影のほか、各メディアの出演・講演も多数。

●資格:愛玩動物飼養管理士1級/A級キャットグルーマー

●書籍:『てらねこ 毎日が幸せになる お寺と猫の連れ添い方』KADOKAWA 著書・共著/『かわいいかわいい ねこのかぶりもの』パルコ出版  ほか

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猫カフェ・保護猫カフェとはどんなところ?

カフェのテーブルの上で寝ている猫
Vicky Lee Kai Wai/gettyimages

SNSなどの影響もあり、耳にすることが増えた「猫カフェ」。カフェといっても、メニューは簡単なドリンク程度というところが多く、食事をするというよりは、「猫と一緒の空間を楽しむ場所」という言い方のほうがしっくりくる場所が多いかもしれません。
積極的に触れたり抱っこしたりできるカフェは意外に少ないですが、猫のモフモフ感を間近で眺めたり、おもちゃなどで一緒に遊んだりして楽しむことができます。カフェにいる猫たちは「猫スタッフ」と呼ばれることが多く、猫のすべてまたは一部が保護猫の場合は「保護猫カフェ」といわれています。

猫カフェや保護猫カフェを運営するには、「動物の愛護及び管理に関する法律」により、第一種動物取扱業の「展示」の登録が義務付けられています。そのため経営者はその登録と、店舗につき1名の動物取扱責任者を設置しなければなりません。

猫カフェにはどんな種類があるの?

ベッドでくつろぐ2匹の猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
ひとくちに「猫カフェ」といっても、その形態はさまざま。猫と楽しく過ごすためのお店や、里親を募集することを目的としたお店など、以下のようにいくつかのタイプがあります。

一般的な猫カフェ

一般的に知られている猫カフェの「猫スタッフ」は、譲渡・販売対象ではありません。そのため猫がいる空間を楽しむという目的から、内装にこだわったアミューズメント色の強い店舗も増えてきています。日本に猫カフェが誕生してはや十数年になるため、お店によってはシニア猫が多いところも。それはそれで、「お馴染みの猫に会える!」「猫がまったり落ち着いている雰囲気が好き」という声もあるようです。最近では、黒猫や猫種限定など、コンセプトにそった猫スタッフだけがいるお店も登場しています。

譲渡型の猫カフェ(保護猫カフェ)

猫スタッフのすべてまたは一部が保護猫の場合は、「保護猫カフェ」と呼ばれます。保護猫カフェの運営は保護団体が行っていることが多いため、すべての猫スタッフが譲渡対象(里親募集中)であるケースが多いです。なかには、譲渡を目的としていないお店もあるので、譲渡が目的で猫カフェを利用する場合は、ホームページなどで確認してください。

販売型の猫カフェ

ペットショップやブリーダーが運営していることが多く、猫スタッフのすべてまたは一部が販売されています。一般的なペットショップとは違い、実際に触れ合ったりして一緒の時間を過ごすことで、相性を確認してからお迎えするかどうか決めることができます。

猫が展示できる時間は法律で決まっている

上を見上げるノルウェージアンフォレストキャット
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
どのタイプの猫カフェでも猫のストレスを考慮し、「動物の愛護及び管理に関する法律」により展示できる時間帯が定められています。たとえば、1才未満の猫は「20時~8時の展示は禁止」、1才以上の猫で休息できる設備に自由に移動できる場合は「20時~22時までの展示も可能」などです。また、2021年6月1日から施行された省令により、寝床や休憩場所となるスペース(ケージ)と運動スペースの大きさも見直されています。

猫カフェを選ぶポイントとは?

ベッドでくつろぐシンガプーラ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫カフェでどんな風に過ごしたいかによって、選ぶお店は変わってきます。以下のポイントを参考に、猫との触れ合い方やお店の雰囲気、利用条件を事前にネットなどで確認しておきましょう。

なお、猫カフェ全体にいえることですが、小規模なお店だと猫をお世話するスタッフの人数も少ないので、「体調不良の猫を病院へ連れていく」などの理由で、営業日や営業時間が変更になることもあります。せっかく行ったのに休業だった、営業時間外だった……、とならないためにも、行く当日に、お店のHPやSNS、電話などで確認したほうが安心です。

空間のタイプや設備は?

貸し切りOKや個室がある「猫カフェ」をはじめ、お部屋のスタイルも畳敷きでこたつのある和室タイプ、フローリングの床にテーブルやソファ・椅子がある洋室タイプなどさまざまです。なかにはアミューズメント色が強い遊び心あふれる空間づくりのところもあり、個性的な形をしたキャットハウスや巨大な爪とぎなど、見ているだけで飽きない工夫が施されていることも。

また、無線LAN(Wi-Fi)が利用できたり、漫画や雑誌、ゲームなどが置いてあるお店もあります。自宅にいるようにのんびり寛いで過ごしたいのであれば個室やこたつがあるところ、仕事や勉強の合間に猫を眺めたいのであればネット環境や充電スペースが整ったところなど、過ごし方に合わせて選びましょう。

料金システムは?

料金システムは、10分、30分、1時間など滞在時間によって料金を設定しているところがほとんどです。相場的には1時間あたり800~1500円で、ワンドリンク付きというのが一般的。猫の行動特性や衛生管理の観点から、飲み物以外の食べ物を提供しているお店は多くありません。ドリンクについても、猫がぶつかってこぼしたり猫の毛が入ったりしないように、ペットボトルや蓋付きのタンブラーなどでサービスされることが多いようです。

平日はフリータイムやお得なコースを用意しているところもあります。時間を気にせずにゆったり過ごしたいなら、広々としたお店の平日フリータイムを狙いましょう。猫の取り合いなく独占して満喫したいなら、貸し切りサービスのある小さなお店がおすすめです。

入店できる年齢に制限はあるの?

猫は子供の予測できない動きが苦手なこともあり、ストレスを考慮して入場を制限しているところが多いです。年齢制限は、6才以上、12才以上、中学生以上OKなど店舗によって違うため事前に調べておきましょう。

一方、猫への理解を深めるため、あえて子供向けのイベントを開催しているお店もあります。ただし、「子供OK!」だからといって、突然大きな声を出したり、走り回ったりしてはいけません。子供が基本のルールを守れるかどうか、大人がちゃんと判断しましょう。
ひたなぼっこをする2匹の猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

お目当ての猫種はいる?

店舗によって猫スタッフの種類はさまざまで、特定の品種に限定しているお店もあります。お店のWEBサイトに猫スタッフを紹介しているところも多いので、どんな猫スタッフがいるのか事前にチェックを。ただし、体調や時期によっては必ずしも全匹が揃ってないこともあります。お目当ての猫に会えなかったときは、次の再会を楽しみにしましょう。

抱っこしてもよい?

猫の性格にもよりますが、多くの猫にとって「抱っこ」は大きなストレスになります。最近、SNSなどで「抱っこをせがむ猫」という動画の投稿が増えていますが、それは飼い主さんや慣れた人に対してです。そのため、ほとんどのお店は抱っこNGで、猫が寄ってくる場合は触ってもOKですが自分からわざわざ触りにいくのはダメというところが多いようです。

少し残念ではありますが、“気ままさ”が猫のよさでもあるので、猫から膝に乗ってきたらラッキー! くらいに思っておくほうがよいでしょう。「どうしても抱っこしたい」 という場合は、抱っこOKの猫カフェを選ぶことをおすすめします。

おやつを与えてよい?

おやつの持ち込みは禁止にしているところが多いようです。おやつを与えたいなら、猫用おやつを販売しているお店を選びましょう。ただし、おやつだけでお腹いっぱいにならないよう数量を限定していることが多いので、「どうしてもおやつをあげたい」という場合は、事前にお店に確認しておくとよいでしょう。

おもちゃを持ち込んでもよい?

おもちゃは基本的には持ち込み禁止です。新品ならOKというお店もたまにありますが、とくに子猫は誤飲誤食することが多いので持ち込みは避けましょう。いつも遊び慣れたおもちゃのほうが、一緒に楽しんでくれるでしょう。

自分の猫を連れていってもよい?

自宅で飼っている猫や犬などペット同伴での来店はできないことがほとんどです。猫の性格や年齢にもよりますが、お店の中にいる猫同士でも時間をかけて馴れさせています。猫は自分の縄張り(テリトリー)を大切にする生き物なので、見慣れない猫や動物が入ってくるだけで大きなストレスに。また、感染症のリスクもあります。「うちの猫と遊ばせたい……」という人も我慢しましょう。

猫アレルギーの人は医師に相談を

キャットタワーで寝ているサイベリアン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「猫は大好きだけどじつは猫アレルギー」という猫好きな人もいると思います。猫アレルギーは、猫が毛づくろいの際に出す唾液(だえき)に含まれているタンパク質が被毛に付着し、そのタンパク質に反応して発症するといわれています。

猫の被毛が唾液(だえき)を含みやすい構造になっているため、換毛期を避ける、比較的短時間の利用にするなど、工夫次第で猫アレルギーの人でも猫カフェを楽しむことができるかもしれません。猫に触らなければ大丈夫という人は、空気清浄機が設置してある広い空間の「猫カフェ」を利用してみるのもひとつの方法です。いずれにしても、自身のアレルギーの程度を知る意味でも事前に医師に相談しておきましょう。

猫カフェに行くときの服装は?

眠くてフミフミするエキゾチックショートヘア
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫カフェを利用する際に、好ましい服装、避けたほうがよい服装があります。“大げさだな”と思うかもしれませんが、いつも身につけているものが、猫にとっては危険ということもあります。

靴下は必ず履いて

「猫カフェ」では基本的に靴を脱ぐため、入店ルールとして「必ず靴下を履いてください」というところが多いようです。「コーディネート的に……」という場合は、靴下を持参して入店前に履くことをおすすめします。

ちなみに、入店時に靴を脱ぐ理由の一つとして、靴の底に付着したパルボウイルスなどの侵入を防ぐため、ということがあります。パルボウイルスは、非常に生存力が強く感染しやすい(経口感染)ウイルスで、「猫パルボウイルス感染症(別名:猫伝染性腸炎、猫汎白血球減少症)」になると、発熱や嘔吐、下痢、食欲不振などがみられ、重症化すると死に至ることもあります。猫を危険から守るためにも知っておきましょう。

レースや紐、毛糸の服は避ける

猫の爪はひっかかりやすい構造をしていますが、なかでもチュールやレースはひっかかりやすい素材といえます。紐や毛糸はおもちゃでも使われているように、猫の遊び心を刺激して衣服にじゃれてしまう可能性も。とくに子猫の場合は糸くずなどを誤飲誤食することもあるので、レースや紐の装飾が施された洋服、毛糸のニットや帽子などは避けてください。

猫の毛が目立たない・付きにくい洋服を

抜ける毛の量は個体差がありますが、どんな猫でも毛は抜けるので、毛が付いても目立ちにくい明るめの服がよいでしょう。ポリエステルやナイロンのようなサラサラした素材の洋服なら、毛が付きにくいのでおすすめです。

アロマや香水はNG

猫は匂いに敏感なため、アロマオイルや香水などは付けないようにしましょう。人間と違って猫は、アロマオイルの成分を体内で代謝できないため、中毒症状を起こし最悪の場合は死に至ることも。利用規約には入っていないこともありますが、猫を気遣うのであれば何も付けないほうが安心です。

猫カフェでのマナーとは?

猫鍋でくつろぐマンチカン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫カフェを利用するには、最低限守りたいマナーや約束ごとがあります。お店側でもルールが設定されていますが、書かれていないことでも事前に知っていれば、猫にストレスを与えることもなく楽しむことができます。

手洗い・消毒はしっかりと

猫と触れ合う前に、手洗い・消毒はしっかりと。入店前に手洗い・消毒の案内がない猫カフェは、安全管理意識が低いといえるため利用を避けたほうがよいでしょう。

入店前の消毒は猫のために行います。ほかの場所からウイルスなどを持ち込まないことが、安全管理上とても大切です。猫カフェをはしごする人はとくに注意してください。一方、退店時の消毒は、真菌症(カビ)など人獣共通感染症を予防するために行います。お店を出るときも、しっかり消毒をしましょう。

勝手に触らない・抱っこしない

可愛いな、と思っても勝手に抱っこしてはいけません。毎日、何度も抱っこをされると猫がストレスを感じるうえ、抱き慣れていない人が抱くと猫が暴れてケガをする可能性もあります。猫が膝に乗ってきたなどに、一言お店の人に声をかけてから触ったりそっと抱っこしたりしてみましょう。その場合も、少しでも嫌がる素振りをみせたときはすぐに放してあげてください。
おもちゃをくわえている猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

特定の猫を独り占めしない

いくらお気に入りの猫でも、無理やり引き止めたり、猫の行く手をはばんだりすることはやめましょう。ほかのお客さんと触れ合っている猫を横取りしたり、無理やり引き止めていなくても、特定の猫とずっと一緒にいることはなるべく避けましょう。

大きな声を出さない

猫の五感のなかでもっとも優れている感覚は聴覚です。突然の大きな音に不安や恐怖を感じてしまうため、大声は出さないように気をつけましょう。「猫なで声」という言葉もあるように、猫に限らず動物は低くて大きな声を嫌い、高くて柔らかい声を好むといわれています。

勝手におやつや飲み物を与えない

自分が持ち込んだおやつをこっそり与える、という行為は絶対にNGです。もちろん、カフェで提供される人間用の飲み物も与えてはいけません。お店のスタッフにタイミングを確認したうえで、あらかじめ用意されているものを与えましょう。
2匹で寄り添うラガマフィン
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫の撮影時はフラッシュやライトを使わない

写真や動画撮影をOKとしているお店は多いですが、カメラについているストロボ(正面からの強い光)は使用しないように気をつけてください。猫の網膜には反射板があり、網膜に光がより多く到達する仕組みになっているため、網膜障害がおこりやすい可能性があるといわれています。1回のストロボで失明する可能性は低いですが、長時間、あるいは何度も強い光をあてると障害リスクが高まります。

猫カフェでのケガは自己責任

店頭には「免責条項」が提示されているケースが多く、噛み癖のある猫を放置しているなど明らかにお店側の過失ではない限り、お店に補償を求めることは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
引っ掻かれたり噛まれたりしてしまったときは「ちょっとやりすぎたかな」と反省し、あくまで自己責任と考えて利用することをおすすめします。消毒薬や簡単な救急グッズなどはお店で用意していることが多いので、万が一ケガをしたときはスタッフに声をかけてみてください。

「猫カフェ」で心温まる癒しのひとときを

守るべきルールやマナーがたくさんあると「なんだか大変そう……」と感じるかもしれませんが、一番大事なのは猫に愛情をもって接することです。ほんの少しの知識と気遣いがあれば、猫を飼っていない人にとっても、癒しをもらえる素敵な空間です。自由気ままに店内を歩きまわる猫を見ながら、日常の忙しさを忘れてほっこりするひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
監修/石原さくらさん(猫写真家、1級愛玩動物飼養管理士、キャットグルーマー)
文/山本 花
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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