猫と暮らす家、「一気にまとめて大掃除」はNGだった?　気を付けたいポイント

猫は暑さや寒さなど、さまざまなことでストレスを感じます。さらに「普段と違う状況」も、猫にとってストレスになるといわれているのをご存じですか？
日本では、年末になるとスッキリとした気持ちで年を越せるよう、大掃除をする風習がありますよね。しかしこの大掃除、猫にとっては先ほどの「普段と違う状況」に当たるため、大きなストレスになる場合があるのです。

そこで今回は、猫はなぜ大掃除でストレスを感じるのかなどを、獣医師の藤井仁美先生に伺いました。

掃除で家中慌ただしいのが猫のストレスに

大掃除は、日常的に行っている掃除よりも大規模になることがほとんど。その騒がしさや違和感が、猫のストレスになり得るのです。

《隅々まで掃除機をかける》
掃除機の音が苦手な猫は少なくありません。大掃除で家中掃除機をかけると、猫は苦手な音からの逃げ場をなくしてしまいがちに。

《家具を移動する》
家具の移動や配置換えを行うと、猫にとっては「見慣れない景色」が眼前に広がることになるため、不安を感じる場合があります。

《家族総動員で掃除する》
家族全員がせわしなく動いていると、猫の気が休まらず、ストレスになってしまうかも。

大掃除の際は、あらかじめ猫が安心して過ごせるスペースを用意しておきましょう。ケージやハウスなど、「ここにいれば安心」と思える空間を作っておけば、周辺を掃除されていてもある程度気にならなくなるはずです。

家が“スッキリ”しすぎるのも、困りもの？

猫は、自分のニオイを縄張りに擦り付けて安心します。しかし、猫が愛用しているグッズをまとめて漂白・除菌をしてしまうと、使い慣れたグッズから自分のニオイが根こそぎ消えてしまうことになるため、猫が不安になってしまうかもしれません。
また、掃除と一緒に行う換気も注意が必要です。大掃除と合わせて家中の換気も行うと、室内に漂っている猫のニオイも一気に消えてしまうので、これも猫の不安を招く原因になります。

衛生面を考えると、猫グッズの掃除や洗濯、換気は大切なことですが、やるならせめて「徐々に」がベター。洗濯は数回に分けたり、換気は1部屋ずつ行ったり、工夫をしながら掃除を進めましょう。

猫のお手入れを一気にするのもNG！

「大掃除のついでに、愛猫もピカピカにお手入れしよう！」なんて、思ってはいませんか？猫にとって爪切りなどのお手入れは、拘束されたり自分のニオイが消えたりする行為なので、さまざまなお手入れをまとめて行うと、猫にとっては大きなストレスになります。

お手入れはまとめてやるのではなく、日頃からこまめに行うのが基本です。猫の負担を軽減するためにも、お手入れの内容ごとに、日を分けたほうがいいでしょう。また、大掃除の日はただでさえストレスを感じてしまうので、大掃除の日に猫自身のお手入れはしないほうが無難です。

人にとってはスッキリする大掃除も、猫にとってはストレスの原因に。できるだけ愛猫の負担にならないよう、猫ファーストで掃除ができるよう努めましょうね。

お話を伺った先生／藤井仁美先生（獣医師獣医行動診療科認定医ペット行動カウンセラー）
参考／「ねこのきもち」2018年12月号『「寒さ」だけじゃない、「寒さ対策」までもが… じつは多い冬のストレス、大丈夫？』
文／東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。