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猫から人にうつる病気は 予防のためにできること

猫がかかる病気の中には、人にもうつる病気があります。感染経路は主にスキンシップなどを通してもらうもの、間接的にもらうものの2通りです。猫と生活を共にする中で、こうした危険を事前に把握しておくことは予防の第一歩にもなるでしょう。

この記事では、人が猫からもらう可能性のある病気の予防法、対処法などをねこのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生が解説します。

猫とのスキンシップでもらう可能性のある病気

茶色の背景に女性の手と灰色の縞模様の猫。
Kseniia Soloveva/gettyimages
猫との暮らしの中でスキンシップは欠かせないものです。そんなスキンシップが原因となりうる病気には次の4つが挙げられます。

■傷口から感染する猫ひっかき病
猫にひっかかれたり噛まれたりした傷口から病原菌が侵入することで発症するのが「猫ひっかき病」です。感染すると、3日~数週間で高熱や倦怠感、受傷箇所の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。

■激しく痛むことも パスツレラ症
パスツレラ菌が、ひっかき傷や猫とのキスなどを通して感染する病気です。発症は30分~2日以内で、腫れや激しい痛み、発熱などが起こることがあります。

■危険な感染症 カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症
猫の口にある常在菌が、舐められる、噛まれるといったことを通して体内に入り込むことで、まれに発症する病気です。発熱や吐き気、腹痛が主な症状ですが、まれに命にかかわるようなこともあります。

■カビが移り住む?皮膚糸状菌症
過剰なスキンシップが原因となる病気です。カビの一種、皮膚糸状菌が猫の毛や皮膚から人の皮膚に移ることで発症します。かゆみや赤い斑点、脱毛が主な症状。蒸し暑い時期に多くなります。

猫から間接的にもらう病気

空腹の白いカリコ三色猫は食べ物を待っている唇を舐める
Nils Jacobi/gettyimages
猫の排泄物や体液、寄生するノミなどを通して人が発症する可能性のある病気を紹介します。

■排泄物が原因の猫回虫幼虫移行症
猫のウンチに潜む回虫の卵がふ化直前にまで至り、それを人が知らずに口にすることで感染します。ふ化した回虫が行き着く先によって症状が変わるのが特徴です。下痢や嘔吐感などの初期症状が現れることも。

■猫由来としてよく聞くトキソプラズマ菌
トキソプラズマ菌の原虫の卵がウンチと一緒に排出され、これを介して人に感染することがあります。胎児が先天症トキソプラズマ症を発症することもあるため、とくに妊婦の感染は要注意です。

■鼻水からコリネバクテリウム・ウルセランス症
猫の鼻水に含まれる病原菌からの感染例がある病気です。のどの痛み、発熱、鼻水など症状は風邪とよく似ており、特定が難しいといわれています。進行すると、のどの周りに膜ができたり首のリンパ節が腫れたりすることも。

■サナダムシが原因の瓜実条虫症
通称「サナダムシ」によって感染する病気。元はノミにいた条虫を猫が飲み込み感染、その猫の排泄物処理の際に卵やノミを体内に取り込むことで感染します。多くは無症状ですが、乳幼児が感染すると下痢症状などが出ることも。

■猫のノミが悪さするノミ刺咬症
感染症ではありませんが、ノミによって猫と人が同様の症状に悩まされる病気です。ノミに噛まれた際にノミから注入される唾液成分がかゆみを引き起こします。かゆみが出た箇所に紅斑や水疱が現れるのが主な症状。

猫から病気をもらわない生活の仕方

自宅でコードレス掃除機とオマームクリーニングフロアとカーペット。
bedya/gettyimages
猫から病気をもらわないようにするには主に3つの大きなポイントがあります。

  1. 清潔に保つ
  2. 過剰なスキンシップを控える
  3. ノミの予防を行う

清潔に保つことを心がけるのは、掃除だけではありません。猫の爪をこまめに切ったり、ブラッシングしたりすることで猫を病気から遠ざけることも予防につながります。また、猫に触れた後は手洗いをする、猫の使った食器は消毒するといったことの習慣づけも効果的です。

猫とのキスなど、過剰なスキンシップをしないことも予防になります。とくに猫の口周りは病気の原因となる常在菌がいるため、注意しましょう。

定期的なノミの予防を行うようにしましょう。

猫と人の共通感染症予防に有効なワクチンは現在のところありません。清潔に保つための日頃の習慣が予防につながるでしょう。

かかってしまったときの対処法

Image Source/gettyimages
疑いがあるときは、すぐにかかりつけ医で受診しましょう。症状に合わせた科を受診し、説明時には猫を飼っていることを伝えるようにしてください。

猫にひっかかれたり噛まれたりしたときには、ただちに傷口を洗い流すことも大切です。
猫からもらう可能性のある病気にはさまざまな原因があります。日ごろ清潔を心がけ、ブラッシングや爪切りなどをこまめにするとよいでしょう。もし発症したら気持ちを落ち着けつつ、直ちにかかりつけ医を受診しましょう。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・岡本りさ先生)
参考/ねこのきもちWEB MAGAZINE『症例写真つき!猫から人にうつる病気の症状・原因・予防法・対処法』
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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