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猫から人にうつる病気

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人獣共通感染症とは、動物と人との間でうつる病気のこと。猫から直接うつる病気は、くしゃみをあびる・トイレ掃除後に手を洗わない・同じ食器を使う・過度に触る・キスをする・引っかかれるなどの行為から感染します。また、間接的にうつるものも。予防と、感染後の対処の確認を。

「人獣共通感染症」の感染原因になりうる行為

・猫のくしゃみをあびる… コリネバクテリウム・ウルセランス症になるリスク有!
・猫のトイレ掃除後、手を洗わない… トキソプラズマ症になるリスク有!
・猫と同じ食器を使う…猫回虫幼虫移行症になるリスク有!
・猫にキスをする… パスツレラ症になるリスク有!
・猫を過度に触る!…皮膚糸状菌症になるリスク有!
・猫にひっかかれる…猫ひっかき病になるリスク有!

そもそも人獣共通感染症とは

人獣共通感染症とは、人と猫、またはほかの動物との間でかかる感染症のことをいいます。病気のタイプはさまざまで、人と猫どちらも発症するものもあれば、一方だけが発症するものも。ですから、猫に異変が見られなくても、いつの間にか人が病原菌をもらってしまうこともあります。愛猫と安全に暮らすためにも、病気について知っておきましょう。

猫から直接うつりやすい病気

猫ひっかき病

病原菌が傷口から侵入します。その名の通り、猫にひっかかれたり噛まれたりして発症する病気です。病原菌は、猫の赤血球をすみかにしていて、3才までの猫に多く寄生しているというデータも。感染すると、3日~数週間で感染部位が腫れ上がったり、リンパ節などが腫れる場合が。痛みや高熱、倦怠感が出ることも。さらには、負傷から1か月以上経ってからリンパ節が腫れる場合もあるので要注意。

攻撃を受けた2週間後にできた赤い湿疹(写真/丸山総一先生)

わきの下のリンパ節の腫れ(写真/姫野病院 吉田博先生)

負傷したときは、すぐに水で洗い流して

猫に攻撃されて負傷したときは、傷口をすぐに流水にあてて細菌を充分に洗い流して、さらに市販の最近・消毒剤で消毒して。傷が浅くても、悪化して重症化することもあるので、早めに受診を。

パスツレラ症

病原菌のパスツレラ菌が、猫が引っかいた傷などが入り込んで感染します。感染すると、30分~2日以内に発症。傷口を中心に赤く腫れ上がり、激しく痛み、発熱することも。ほとんどの猫の口内に潜む常在菌なので、キスなどで感染するケースもあります。

手首を猫に噛まれて発症した例。大きく腫れ上がっています(写真/日本大学医学部 荒島康友先生)

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症

猫の口の中にいる、病名と同じ名前の常在菌が病原体で、猫に舐められたり噛まれたりすると、まれに感染します。おもな症状は、発熱や吐き気、腹痛。意識混濁にまで陥り、最悪命にかかわることもあります。発症した場合は、抗生剤で治療します。

皮膚糸状菌症

蒸し暑い時期に多い、通称「猫カビ」。カビ(真菌)の一種である皮膚糸状菌が、毛や皮膚に寄生する病気。猫と過剰に接すると感染します。子猫や元ノラ猫は保菌率が高め。皮膚が薄くて弱い部分に発症しやすく、かかると赤い斑点や脱毛が見られ、かゆくなります。この病気は猫も人と同様の症状で発症します。

猫に寄生したカビ「ミクロスポーラム・カニス」を、顕微鏡で400倍に拡大した様子(写真/加納 塁先生)

真菌に感染した猫に触って、二の腕に発疹ができた例(写真/加納 塁先生)

発症して脱毛した猫。猫が発症すると、とくに顔周りに症状が出やすいです(写真/加納 塁先生)

猫から間接的にうつりやすい病気

猫回虫幼虫移行症

猫がウンチと一緒に排出した回虫の卵は、湿度などの環境が整うと成熟することが。そうして孵化直前まで育った卵を、人が口にするところまで感染します。また、猫が肛門周辺を舐めたとき、口や体に卵が付くことも。そのため、食器や毛を介して感染する場合があります。感染すると、回虫が体内を移動し、行き着く先が目なら斜視や失明、肺なら喘息になることも。初期症状として、下痢や吐き気が起こる場合もあります。

猫の腸内に寄生した「猫回虫」。ノラ猫の過半数が感染しているというデータも。体長は2~10㎝(写真/佐伯英治先生)

トキソプラズマ菌

同名の原虫が病原体。この虫の卵がウンチと一緒に排出され、猫トイレの掃除の際などに感染することが。しかしこの原虫をもつ猫は、全国で5%と少なく、さらに健康な人の5~40%は抗体を持っているので、発症率は低いです。ただし、妊婦が感染すると、最悪流産に至るか、胎児が先天症トキソプラズマ症にかかることも。

トキソプラズマの顕微鏡写真。ネコ科の動物に寄生して増えていきます(写真/佐伯英治先生)

コリネバクテリウム・ウルセランス症

2009年に、ノラ猫のくしゃみのしぶきをあびて、その鼻水に含まれた病原菌に感染したという報告が。感染すると、のどの痛み。発熱、鼻水が出るなどの症状が見られます。進行すると、のどの周りに白っぽい膜ができたり、首のリンパ節が腫れることもあります。近年発症の報告がされていますが、風邪の症状に似ているので病気の判明が遅れるなど、病気の特定が難しい。

瓜実条虫症

ヒモのように長い、通称「サナダムシ」による病気。ノミを宿主としており、ノミを飲み込んで感染した猫の排泄物を処理する際、目に見えない卵やノミ自身を体内に取り込んでしまうと感染。多くは、無症状ですが、まれに(とくに幼児は)下痢やおう吐をすることが。排泄物に、条虫の一部が混じることも。

幼虫は、ノミの体内で成長します。寄生した猫の体内でさらに成長すると、60㎝を超える長さになることも(写真/佐伯英治先生)

ノミ刺コウ症

感染症ではないですが、ノミが吸血時に出す唾液に含まれる物質が原因で、かゆみを起こす病気。人は膝より下を刺されることが多いです。発症すると赤斑や水垢ができますが、猫が発症すると、このほかに、脱毛が見られることもあります。猫が寄生されないように、駆除剤で定期的にノミ予防をするのが何より大切です。

ノミに脚を刺されて水垢ができた様子(写真/丸山総一先生)

背中が脱毛した例。猫は、首の後ろや腰回りを刺されやすいです(写真/若山動物病院)

かかりやすいのは?かかってしまったら?

猫を迎えたら、まずは猫の健康チェックと自身の体調管理をしっかりと

猫が病原体を持っているかは、見た目だけではわかりにくいもの。感染しないためにも、猫を迎えたらまずは健康診断を受けさせましょう。異常が見つかったら治療もできますし、処置ができなくても対処することができます。もし人獣共通感染症にかかっても過剰に心配する必要はありませんが、飼い主さんの免疫力が低下しているときは要注意。感染すると発症・重症化しやすいので、自身や家族の体調管理も大切です。

・病原菌の保菌率が高い猫… 子猫、保護猫(元ノラ猫)
子猫や保護猫は母猫から感染している場合も。また、子猫は免疫力が低いということから、保護猫は菌をもつほかの猫とケンカをしやすいということからも、かかりやすいといえます。
・感染・発症しやすい人… 子供、高齢者、体調が悪い人
免疫力が低い傾向にあるのは、この3タイプ。6歳以下、60歳以上は注意が必要です。ケガをしていたり持病がある人、とくに生活習慣病を患っている人は注意しましょう。

感染してしまったら、症状に合った科で受診を。猫を飼っていると伝えて

もし「感染したかも」と思ったら、すぐに受診しましょう。子供は小児科、大人は外傷があるなら外科、発疹やかゆみがあるなら皮膚科、発熱なら内科など、症状に合った科で受診して。診察の際は、医師が診断する手掛かりにもなるので、猫を飼っていることを伝えるとスムーズです。

【Q&A】ココも気になる人獣共通感染症

Q 人から猫へうつる病気はないの?

A 事例はないですが、可能性は十分あります
猫がもつ菌が、人に有害なことがあるように、その逆もあります。この場合も、人獣共通感染症といい、水虫や結核などは、人から猫にうつる可能性があります。ただ、日本で確認されている事例はほぼありません。発症した際は、感知するまで猫との接触を控えた方が安心です。

Q 完全室内外の猫からでも感染する?

A 感染する可能性はあるので日々気にかけて
人獣共通感染症は、病気にかかったノラ猫から感染すると思いがち。しかし、口内の常在菌が原因のパスツレラ症などのように、健康な猫や、病原菌を持っている可能性が低い室内外の猫からもうつる可能性がある病気はあります。どんな猫でも菌をもっているということを日頃から心に留めて、スキンシップしたいところです。

Q 猫にワクチン接種すれば予防できる?

A ワクチンは人獣共通感染症の予防にはなりません
猫用のワクチンは、猫カゼや猫白血病など、猫特有の病気を防ぐためのもの。現在、人獣共通感染症を予防できるものはありません。ですから、上記の予防法やノミ予防などを取り入れ、日頃からうつらないように気を付けることが、最善策といえるでしょう。

予防するためには?

定期的に掃除を行う

猫の抜け毛で、真菌が繁殖する可能性もあります。また、じゅうたんなどにノミやその卵が潜んでいる危険も。掃除の際は、猫の動線を意識しながら行いましょう。

キスなどはしない

猫の口は常在菌がいるほか、肛門を毛づくろいすることで排泄物中の病原体が付いてしまっていることも。キスや口回りを舐めさせるなどはやめましょう。

爪切り・ブラッシングをする

爪切りをすれば、猫に引っかかれても軽症ですみ、菌に感染するリスクを下げられます。ブラッシングをしていれば、ノミの寄生に気付きやすいです。

こまめに手を洗う

トイレ掃除や猫と遊んだあとはもちろん、ノラ猫に触れた場合や、猫グッズに触れたあとにも、必ず石鹸で手を洗いましょう。

猫が使った食器は消毒する

猫用の食器で、使われてしまった人用の食器は、洗剤で洗いましょう。定期的にキッチン用の塩素系漂白剤でつけおき洗いをすると○。

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