素材から形状、機能まで、さまざまなタイプがある猫の水飲み器。飲水量の少ない猫にしっかり水を飲んでもらうためには、どんな水飲み器を選べばいいでしょうか?今回は、猫の水飲み器の選び方と置き方のポイントについて、獣医師の藤井仁美先生に聞きました。
猫が水を飲む場所や器は猫が選べるよう複数用意を
猫は、自分が「ここで飲もう」と思える気に入った場所でしか水を飲まないもの。その場所も、時間帯や状況によって変わることもあります。そのため、猫が水を飲みたいと思ったときに、複数の選択肢から自分で選べるように用意しておくことが大事です。少なくとも、猫の匹数+1カ所に置くようにしましょう。
また、場所と同様に器についても、猫は気に入ったものでないと水を飲まないことがあります。とくに素材は、それによって水のニオイ、味、舌触りなどが異なることがあるので、こだわる猫は多いでしょう。猫の好みや気分に合わせて選べるように、いろいろな素材の器を用意してあげたいですね。
猫の水飲み器選びのポイント
猫が水を飲むための給水器もウォーターボウルもさまざまなタイプがあるので、可能ならあれこれ試してみて、愛猫の好みを見つけてあげましょう。
ウォーターボウルの特徴
ウォーターボウルには、磁器製、プラスチック製、ガラス製、メラミン製、金属製などさまざまな素材があり、愛猫が好きなものを選べるのがメリット。
また、形もシンプルなので毎日のお手入れが手軽に行え、維持費もかからないので経済的です。ただし、流れる水が好きな猫はあまり興味を示さないこともあります。
自動給水器の特徴
水を循環させてフィルターでろ過し、食べかすやほこりなどの汚れを取り除く自動給水器は、水の清潔さを維持できることがメリットといえます。常に循環しているので、流れる水が好きな猫には向いているでしょう。
使用する場合は製品の規定の頻度で水・フィルターを交換し、定期的にお手入れを行いましょう。
ケージ内には固定できるタイプを選んで
ケージ内に水を置くなら、猫が倒してこぼさないよう、固定できるものを使用しましょう。固定できる水飲み器には、お皿タイプやドリンカータイプがあります。
猫の水飲み器を置くときのポイント
フードから離れた場所に置く
猫は、食べ物の近くにある水を警戒することがあります。その理由は、野生時代、獲物を食べた場所の近くにある水は、血液などで汚染されている心配があったからではないかと考えられています。
フードの隣に置いてはいけないというわけではありませんが、フードの隣に置くなら、離れた場所にも水飲み場を用意するようにしましょう。
猫が落ち着ける静かな場所に置く
人や猫の通り道は、猫の目につきやすいという意味ではいいのですが、バタバタしていて落ち着きません。猫は安心できる場所で水を飲みたいと思っているので、人の行き来や出入りが多い場所は避け、猫が落ち着ける静かな場所に用意したほうがいいでしょう。
猫の水のお世話でやってはいけないのは、「これがいいはず」という飼い主さんの思い込みを押しつけることです。猫になるべく多くの選択肢を与えて、猫の好きなものを好きな方法で飲めるよう環境を整えてあげましょう。
お話を伺った先生/藤井仁美先生(獣医師 獣医行動診療科認定医 ペット行動カウンセラー)
参考/「ねこのきもち」2019年7月号『与え方や飲み方から水の種類まで 猫の飲み水ウソ・ホント』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。