すでに猫を飼育している家庭で新しい猫を迎えるとき、特に気を付けなければならないのが先住猫への感染症対策です。猫は感染症に罹患していても、必ず症状が出るわけではありません。新入り猫がたとえ健康そうに見えたとしても、念のため「ウイルスや寄生虫を保有しているかもしれない」と考えて、先住猫にうつらないよう対策を講じる必要があります。
そこで今回は、新たに猫を迎える際にやっておきたい感染対策を、獣医師の田草川佳実先生に伺いました。
先住猫のワクチン接種はすませておこう
新入り猫が元気そうでも、ウイルス感染症の無症状キャリア(感染しているものの、発症していない)ということがあります。その場合に備えて、先住猫にはあらかじめ混合ワクチンを接種しておくのが理想です。
かかりつけの獣医師には新たに猫を迎えることを伝え、ワクチンの種類や接種のタイミングを相談しておきましょう。
迎え入れ後2週間は別室で過ごさせる
先住猫にワクチンを接種していても、新入り猫を迎え入れてから2週間程度は、先住猫と新入り猫の生活空間を分けた方がいいでしょう。完全に隔離するのが望ましいですが、難しい場合はケージの中で生活をさせて猫同士の接触を避け、食器類や猫トイレは共有しないようにしてください。また、隔離している間は、鼻水や下痢などの症状が出ないかをよく確認しましょう。
早めに新入り猫の検査をしよう
新入り猫は、なるべく早めに動物病院を受診し、検査をしてもらいましょう。感染症の有無を調べる血液検査や便検査、全身の健康診断などをするのが一般的です。
また、鼻水や目ヤニ、下痢など、明らかな不調が見られた場合もすぐに受診して治療を受けてください。その際、先住猫との隔離期間をどうするかも相談しておくといいでしょう。
猫がいない家庭に猫を迎えるのと、すでに猫を飼育している家庭に新たに猫を迎えるのとでは、注意すべき点が大きく異なります。新入り猫のための生活環境を整えつつ、先住猫に対する感染対策にもしっかりと気を配りましょう。
お話を伺った先生/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
参考/「ねこのきもち」2022年3月号『感染ルート・対策の知識が予防につながる! 本当に怖い猫の感染症』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。