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猫をめぐって家族で対立。去勢手術やがん治療、ホームケアをめぐり起きた家族の問題を調査

愛猫が病気になったとき、治療方法が1つとは限りません。しかし、どの方法をとるかを決断するのは非常に難しく、家族間で衝突を生むこともあるでしょう。
今回は「治療方法で家族と対立した経験」についてアンケートを実施。飼い主さんがどのように乗り越えたのかを紹介します。ねこのきもち獣医師相談室の原駿太朗先生には治療方針、介護方針の決め方についてアドバイスをいただきました。

愛猫の治療方針やホームケアで家族間衝突を起こした経験がある人も

「ねこのきもちアプリ」内で、「愛猫の治療方針やホームケア・介護について、家族で意見が対立した経験」をアンケート調査したところ、約6%の飼い主さんに経験が。そもそもそのような状況に立つこと自体が少ないかもしれませんが、猫の医療が発達し、さまざまな選択肢が増えていく中で、意見が食い違うことが今後は増えていくのかもしれません。

みんなはどう乗り越えた? 意見対立のエピソード

寝室の猫
takashikiji/gettyimages
アンケートで「意見が対立した経験がある」と回答した飼い主さんに、そのときのエピソードを伺いました。

・抗がん剤治療で一度完治したが、数週間後再発。再び抗がん剤治療をするかどうかで意見が分かれましたが、ゆっくり最期まで自宅で過ごさせる選択をしました。
・去勢・避妊手術を「かわいそうだ」と理解してもらえませんでした。
・夫婦間で愛猫に対する温度差があり、お金のかかることに対する考えに違いがあって大変。
・対立には至らなかったが、意見すればよかったと後悔していることはあります。
・通院治療に対し、毎日するか間隔を開けてもいいのでは、ということで家族会議をしました。結果毎日通院しましたがよくならず、亡くなったものの後悔はありませんでした。
・白血病とエイズのキャリア猫に対して、ストレスをかけてまで病院で爪切りをするか、放っておくかで意見が対立した。
・悪性リンパ腫と判明し、どうすれば一番愛猫が望む治療になるのか、延命治療について話し合った。
・手術するかどうかで対立し、結果早死にさせてしまった。あのとき我を通せばよかったと後悔してもしきれない。

なかには後悔を残している飼い主さんも。身を切るような悲しい体験を教えてくださいました。

そのときどう決断するべき? 獣医師の先生に聞きました

猫をかわいがって
rai/gettyimages
ねこのきもち獣医師相談室の原駿太朗先生に、愛猫の治療方針や終末ケアの意見対立について、話を伺いました。

迷いが生じたときはどうする?

――治療方針の決断に迷いが生じたとき、解決へのアドバイスをお願いします。

原先生:
「大切なのはご家族も含め、そのコが穏やかな時間をしっかりと作れることではないでしょうか。そう考えたとき、大きな金銭的な負担にご家族の余裕がなくなってしまっている状態は『穏やか』ではないと思います。
どのくらいの頻度で通院できるか、どのくらいの費用負担になるのか、は治療方針を決める上で重要です。しっかり獣医師に相談するとよいでしょう」

後悔しない決断とは?

――アンケートでは「後悔」という言葉がよく聞かれました。できる限り後悔のないようにするにはどのようなポイントで決断できるとよいでしょうか。

原先生:
「どんな治療をするにしても、主役は言葉を話せないそのコです。『この病気はどうするべきか』と病気にだけ注目するのではなく、『このコはどうしたいと思っているのか』とそのコを中心に置いてご家族で意見を出し合ってみてください。それがそのコにとって、ひいてはご家族にとっての最良の選択肢を見つける方法になるのではないでしょうか」
治療や介護の方針の決断では、愛猫のことを第一に考えることが大切です。愛猫の気持ちを一番理解できる家族が、そのコのことを一番に考えてみると決断がしやすくなるでしょう。
また、金銭面、通院頻度など飼い主さんの意向を動物病院に伝え、よく相談することが重要です。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・原駿太朗先生)
取材・文/小泉美筆
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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