猫は、家のなかで隠れて過ごすことも多いのではないでしょうか。猫は本来、警戒心が強い動物です。野生時代から群れることなく単独で行動してきたため、慎重に自分の身を守る必要があるからです。
しかし、2022年9月号の「ねこのきもち」本誌特集で行ったアンケートによれば、あまり“隠れない”猫が約4割いることがわかりました。その背景を、獣医師の菊池亜都子先生に教えてもらいました。
生まれもった性格がおおらかだから
猫もそれぞれに性格が違い、その性格は遺伝要因と環境要因によって決まります。もともとの性格がおおらかで大胆な猫は、神経質で臆病な猫に比べると、あまり隠れる必要を感じないでしょう。
安全・安心な環境で暮らしているから
安全な環境で暮らしている猫は、「大して危険なことは起こらない」と学習して、安心から隠れなくなるでしょう。室内飼いにより安全な生活環境における暮らしが定着してきたため、猫にとって隠れることがあまり重要ではなくなってきたのかもしれません。
反対に、隠れて嫌な経験をしたから
過去に「隠れて嫌な思いをした」経験がある猫は、隠れることを警戒するかもしれません。また、臆病な性格の猫の場合は、逃げ場のない場所に入ることや身動きがとれなくなることを恐れて、隠れない可能性もあるでしょう。
猫が安心して過ごせることが大切
隠れる猫と隠れない猫、どちらにとっても「安心して快適に過ごせること」が大切です。愛猫を観察してどちらのタイプか見極め、適した環境に整えてあげましょう。
身を隠すほどの危険を感じなければ、猫も隠れる必要はありません。隠れない猫が増えてきた理由は、あえて必要ないことをしないだけなのでしょう。そう思うと、隠れない猫の気持ちも理解できます。
お話を伺った先生/菊池亜都子先生(獣医師 獣医行動診療科認定医)
参考/「ねこのきもち」2022年9月号『あんなところに、こんなシーンで隠れる猫』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。