子猫の時期に多いとされる結膜炎。発症すると涙の量が増えたり、ふだんと異なる目ヤニが出たりするため、比較的気づきやすい病気です。今回は猫の結膜炎の症状や治療方法、よくある疑問について、王子ペットクリニック院長の重本仁先生にお話を伺いました。
猫の結膜炎とは
まぶたの裏の粘膜と白目の表面の部分を結膜といい、ここに炎症が起こった状態が結膜炎です。猫カゼなどの感染症が原因で発症することが多く、猫にもっとも多い目の病気といえるでしょう。
どんな症状が出る?
発症すると結膜が赤く腫れるため、次のような症状が見られます。
・白目の表面が充血する
・色付きの目ヤニや粘り気のある目ヤニが大量に出る
・涙の量が増える
・目を開けにくそうにしている
悪化させないためにも、症状が見られたら早めに受診しましょう。
治療方法は?
まずは抗生剤や炎症止めの目薬を投与し、症状の改善を目指します。目薬は点眼タイプと軟膏タイプの2種類があり、どちらを使うかは獣医師が症状を見て判断しますが、猫に使いやすいタイプが選べる場合もあります。
目の周りを拭くときは、乾いたティッシュと濡れたティッシュどちらを使う?
健康な猫でも少量の目ヤニは出ます。たとえ正常な目ヤニであっても、その都度ケアをして清潔に保ってあげることが大切です。目を拭くときは、濡らしたティッシュが適しています。乾いたティッシュだとなかなか目ヤニが取れず、強くこすって目を傷つけてしまうおそれがあるためです。
正しい方法は、ティッシュやコットンをぬるま湯に浸して軽く絞り、目ヤニに当ててふやかしてから拭き取ります。ゴシゴシとこすらず、やさしくなでるように拭きましょう。
結膜炎に一度かかるとクセになりやすい?
結膜炎そのものがクセになりやすいというよりは、ストレスなどが原因で免疫力が低下し、猫カゼが再発したときに結膜炎の症状が出ると考えられます。日頃から愛猫の目の状態をチェックして、気になることがあれば獣医師に相談しましょう。
目の状態をチェックするときは、片手で猫の顔を固定し、親指でまぶたを軽く上げて白目の表面部分を見てください。さらに正面から左右の目を見比べてみて、いつもと違うところがないかも確認しましょう。
結膜炎は比較的気づきやすい病気なので、少しでもおかしいと感じたら早めに受診しましょう。わすかな変化を見逃さないためにも、日頃から愛猫の目の様子をチェックしてあげてくださいね。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2021年4月号『体験した飼い主さんのリアルな疑問に獣医師がアンサー ねこに多い病気、そこが知りたい! vol.11 結膜炎』
文/柏田ゆき
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。