人だけでなく、猫にもある高血圧症。年齢や肥満、猫種など、どのような特徴の猫がなりやすいのでしょうか? 今回はそんな高血圧症にまつわる疑問や、高血圧症の予防方法について、動物病院院長の野矢雅彦先生にお話を伺いました。
高血圧症になりやすい猫は?
高血圧症は慢性腎臓病などが原因で発症することが多く、それと関連して10才以上のシニア猫は高血圧症になる確率が圧倒的に高い傾向に。
7才以上の猫も高血圧症の予備軍の可能性があるため気をつけましょう。
高血圧症は遺伝するの?
人にも親から子に遺伝する家族性の高血圧症があるように、猫の場合もその可能性はあると考えられます。
そのため、若い猫でも遺伝によって高血圧症になるおそれが。
なお、高血圧になりやすい猫種や性別は特定されていないものの、怒りやすい性格の猫は血圧が上がりやすい傾向にあります。
肥満の猫だと影響はあるの?
人や犬の場合だと、肥満による糖尿病が原因で高血圧症になることがあります。しかし猫の肥満の場合、糖尿病や高血圧の直接の原因にはならないというデータが。とはいえ猫の肥満はあらゆる病気のリスクにつながるため、気をつけてあげましょう。
血圧計は持っておくべき?
猫用の血圧計は高価ですが、自宅にあると朝と夜など決まった時間に計測できるため、猫の健康管理にもおすすめです。また、血圧計は動物病院で貸し出ししてくれる場合も。購入する場合は、かかりつけ医に相談してみてください。
猫の高血圧症を予防するためにできることは?
早期発見につなげるためにも、健康診断は定期的に受けましょう。その際に、健康診断の項目に血圧測定が含まれているかを確認し、ない場合は追加の依頼を。
定期的に猫の血圧を測っておくことで、血圧の変化に気づきやすくなり、高血圧症の早期発見に役立ちます。1才前後から血圧測定をして、血圧計に慣れさせておくといいでしょう。
猫のストレスをためない環境づくりを
ストレスも高血圧症を引き起こす要因になるため、猫にとってストレスフリーな環境づくりを心がけましょう。
複数飼いの場合は、個々が落ち着くスペースを各所につくり、広めのトイレを増やしましょう。水もこまめに取り換えるなどして、快適な生活環境を整えてください。
猫の食事管理に気を配ろう
高血圧症の予防には、塩分と脂肪分に気を配ることが大切です。そのため、人用の加工食品はNG。
基礎疾患がある場合は、獣医師と相談しながら食事内容を決めるなど、年齢や健康状態にあったフード選びを心がけて。
近年では血圧測定を実施する動物病院が増えてきています。愛猫の健康管理のためにも、飼い主さんは日ごろから猫の血圧を意識しておくといいでしょう。今回伺った内容も参考に、愛猫を高血圧症から守ってあげてくださいね。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「ねこのきもち」2023年3月号『知られてないけど、じつは多い 猫の高血圧症って、どんな病気?』
文/田山郁
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。