猫は腎臓のしくみ上、慢性腎臓病にかかりやすい動物です。慢性腎臓病を発症する猫は加齢に伴って増えていき、最近のデータでは15才以上の猫の81%が慢性腎臓病にかかっているという結果もあります。
そこで今回は、慢性腎臓病にかかるリスクを少しでも減らすために若い頃からできる対策を、獣医師の小林清佳先生に伺いました。
水やフードの器を清潔に保つ
フードや水の器が不潔だと、雑菌やカビが繁殖しがちです。雑菌やカビが繁殖した器を日常的になめていると腎臓の負担になることがあるので、猫が口をつける器類は使うたびに洗剤でよく洗い、清潔な状態を保ちましょう。
また、排水口、お風呂の床、植木鉢の受け皿に溜まった水などを好んで飲む猫もいますが、不衛生なので飲ませないような工夫をしましょう。
ストレスを与えない環境づくりを意識する
ストレスは免疫力の低下を招き、病気の進行を早めてしまうことがあります。猫は、汚れているトイレ、落ち着けない場所に置いてあるトイレなど、トイレに関する不満は大きなストレス要因になるので、愛猫にとって快適になるよう整えましょう。
また、高い場所、外が見える場所、隠れられる場所など、猫に必要な生活環境が整っているかどうかも、今一度見直してみてくださいね。
肥満を予防する
肥満は万病のもとといわれるほど、健康にとってよくありません。また、肥満の猫が慢性腎臓病にかかって食欲が低下すると、肝リピドーシスという別の病気を発症して、命にかかわることがあります。
フードの適量を守り、日常的に運動を促して、若い頃から肥満予防を心がけましょう。
いろいろな食感のフードに慣れさせておく
慢性腎臓病になると食欲が低下することが多いため、特定のフード(特定の食感のものなど)しか食べられないと、いざというときに苦労するかもしれません。また、嗜好性が高いフードに慣れていると、療法食を食べないことも。
元気なうちからさまざまな食感のフードに慣れさせつつ、嗜好性が高いフードには慣れさせないよう気を付けましょう。
定期的な健康診断を欠かさない
慢性腎臓病は、早期発見と早期治療がとても重要な病気です。最低でも、年に1回は健康診断を受けてください。可能なら3才頃までには一度超音波検診を受け、先天性な異常の有無をチェックしてもらいましょう。
また、尿石症にかかると腎臓に負担がかかり、将来、慢性腎臓病になるリスクを高めます。健康診断の際、尿検査を一緒に行うのもおすすめですよ。
猫がかかりやすいうえ、発症に気付きにくい病気、慢性腎臓病。若いうちからふだんの生活を見直して、発症のリスクを少しでも減らせるよう努めましょう。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2023年1月号『ご長寿猫の宿命!? 慢性腎臓病 少しでもリスクを減らすために若い頃からやっておきたいこと』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。