人の場合は「放っておけば治る」と軽視しがちな“口内炎”。しかし、猫の“歯肉口内炎”は人と違って怖い病気ということをご存知でしょうか? そこで今回は、猫の歯肉口内炎の特徴と予防方法について、獣医学博士の藤田桂一先生にお話を伺いました。
猫の「歯肉口内炎」はじつは怖い病気
猫の口内の粘膜に炎症が生じる場合、大半のケースで歯肉の炎症も見られるため、「歯肉口内炎」といいます。人の口内炎は痛みもさほどなく1週間程度で治ることが多いですが、猫の歯肉口内炎は強い痛みを伴い、完治しにくい特徴があります。
猫の歯肉口内炎は衰弱や危険な病気につながるリスクが
猫の歯肉口内炎はつらい痛みが続き、空腹なのに食事がとれず衰弱してしまうリスクがあります。また、口内の細菌が全身を巡り、命にかかわる病気の原因になるケースもまれに見られます。そのため、けっして「たかが口内炎」と軽く見てはいけない病気なのです。
夏は歯肉口内炎のリスクが上がる
猫にとって夏の暑さや湿気はストレス要因のひとつであり、免疫力の低下につながりやすくなります。免疫力が下がると歯肉口内炎を発症するリスクが高まるため、夏は歯肉口内炎になりやすい季節といえます。
愛猫がストレスをためないよう、快適な室温・湿度を保ち、リラックスできる環境をつくることが大切です。
歯肉口内炎を予防するための3つのポイント
発症してしまうと大変な歯肉口内炎は、ふだんのケアや行動で予防に努めることがとても大切です。ここでは、愛猫を歯肉口内炎から守るために飼い主さんができる3つの予防ポイントをご紹介します。
定期的な歯みがき
すべての歯を磨くのが理想ですが、猫が慣れるまでは猫用歯ブラシを自由に噛ませるだけでも効果が見込めます。
まずは猫用歯みがきジェルをつけた歯ブラシを愛猫に自由に噛ませることから始め、なるべく奥の歯で噛むように歯ブラシを動かします。慣れてきたら一番汚れやすい上の奥歯を重点的に、ほかの歯もみがけるようにしていきましょう。
ウイルス感染対策
ウイルス感染対策を行うことで、ウイルスの関係が疑われる歯肉口内炎のほか、多くの病気の予防にもつながります。
愛猫をウイルスから守るために、完全室内飼育を徹底し、定期的なワクチン接種を心がけましょう。
免疫力をキープ
免疫力が低下すると、細菌やウイルスの影響を受けやすくなります。
愛猫の免疫力をキープするには、栄養バランスのよい食事を与え、ストレスフリーに過ごせる環境を整えることが大切です。
侮ると危険な猫の歯肉口内炎。ふだんから予防をしっかり行い、愛猫の健康を守りましょう。
お話を伺った先生/藤田桂一先生(フジタ動物病院院長 獣医学博士 日本小動物歯科研究会会長)
参考/「ねこのきもち」2022年7月号『人と同じと思わないで!甘く見ると怖い… 猫の歯肉口内炎』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。