猫は「人の3歳児並みの知能をもっている」といわれることがあるほど、とても頭のいい動物です。人と全く同じにとらえることはできないとしても、猫を飼育していると、その賢さをふだんの行動からうかがい知ることができますよね。
そこで今回は「要求する」「真似をする」など、猫の知能の高さがあらわれている5つの行動を、哺乳動物学者の今泉忠明先生にお聞きしました。
要求する
猫は、自分が何か行動した結果として「得」をすると、その行動を記憶し、繰り返すようになります。例えば、ゴハンが欲しかったり遊んで欲しかったりするときに鳴いて要求をするのは、以前そうすれば願いが叶った(得をした)体験を覚えているからです。
「損得」を考えて行動ができるのは、猫の知能が高い証拠といえます。
真似をする
猫は野生時代から、子猫のときに母猫の真似をして、狩りの手法や身の守り方を覚えてきました。人と生活をしている現代の飼い猫も、人の行動を見て真似をするような行動をとります。飼い主さんが引き出しを開けるところを見て、自分でも開けられるようになるなどです。これも、知能の高さゆえの行動でしょう。
正体のわからないものを調べる
猫は、自分のテリトリー内に正体のわからないものを見つけると、通常はまず距離をとって様子を見ます。その後、耳、鼻、ヒゲなどをフル活用してその物体を調べ、さらに近寄って触れながらより詳しく調べるのです。
これは、自分の行動範囲内にあるものの安全性を確認する行為で、猫の知能の高さを示しています。
我慢をする
飼い主さんが猫の口の中に無理やり指を入れたとき、猫が噛まずに押し出そうとしたり振り払ったりすることはありませんか? 本来、動物なら本能的に噛みたくなるはずですが、このシチュエーションで噛まないのは、猫自身が「噛んではいけない」と判断し、我慢しているのです。
この行動は、知能の高いごく一部の動物にのみ見られるもの。いわゆる「理性」の一種といえるでしょう。
空間認知能力が優れている
猫がたやすく行っているように見える「高いところに飛び乗る」「障害物を回避して速く走る」などの行動は、高い身体能力だけでなく、空間認知能力が必要です。この能力に関していえば、猫は人の3歳児どころか、人の大人と比べても優れています。
空間認知能力は、脳の中でも原始的な小脳と関係しており、成功と失敗の体験を積み重ねながら磨かれていくと考えられているのだそうです。
『ねこのきもち』が実施した「愛猫を見て、人の3歳児並みの知能だと思いますか?」というアンケートによると、「そう思う」「猫のほうが高いと思う」と答えた人は9割以上。実際に猫を飼育していると、猫の賢さを実感するシーンが多いのでしょう。
愛猫を観察する際は、猫の知能の高さを意識してみてください。もしかしたら、今までと愛猫の見え方が変わってくるかもしれませんよ。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2023年7月号『今泉先生に聞きました 人の3歳児並みの知能ってホント!? 猫の脳のはなし』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。