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過去に落ち込まない、将来を不安に思わない 今を生きる猫の秘密は脳にあった

猫はとても賢い動物で、その知能は「人の3歳児並み」といわれるほどです。しかし人は大量の情報処理や倫理的思考が可能なので、猫がいくら賢くても、猫と人では考え方や行動が大きく異なります。
今回は、猫と人の脳ではどういう点が違うのかを、哺乳動物学者の今泉忠明先生に伺いました。

物事の因果関係は理解できない

Mix(キジトラ)のあずきちゃん♪
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
人は「Aが原因で、Bの結果になる」などの因果関係を理解し、工夫や試行錯誤をして目的を達成しようとする生き物です。しかし、猫はこの因果関係を理解できず、工夫や試行錯誤をすることもありません。
猫は、1回1回のチャレンジが成功したのか失敗したのかを記憶し、成功した体験を繰り返すことで目的を達成しようとするのです。

落ち込まない

ラガマフィンのLottaくん♪
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
人は、何かチャレンジをして失敗すると、落ち込んだり引きずってクヨクヨしたりするものですが、猫にそのような考え方はありません。野生の猫の場合、狩りが成功する確率は10%程度で、多くの場合失敗するといわれています。人だったら「また失敗した……」と落ち込みそうですが、猫は毎回のチャレンジを独立したものと捉え、落ち込むようなことはありません。

ただ、何か失敗した際に毛づくろいやあくび、爪とぎなどの「転位行動」を行い、気を紛らわせることはあるようです。

“いつもと同じ”に安心する

Mix(茶×白)のエコーくんたち♪
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
人は、同じことが続くと飽きて違うことがしたくなるなど、刺激を求める特性があります。この特性により、新しいことに次々とチャレンジし、人はここまで進化してきたのです。
しかし、猫を含むほかの動物の多くは、“いつもと同じ”ことがとても大切で、安心します。そのため、生活の変化や見慣れないものなどには、不安や恐怖を感じるのです。

未来や結果の予測をしない

ペルシャのかかおくん♪
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫は人と違い、物事の結果を予測しません。たとえ狩りに失敗したとしても「このまま食事にありつけなかったらどうしよう」「次回も失敗するかもしれない」ということを考えないのです。
ちなみに「明日は○○をしよう」など、未来について考えることもないようです。

他者の利益を考えない

Mix(サバトラ)のシエラちゃん♪
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「人に喜んでもらいたい」「人の支えになりたい」といった考え方は人特有のもので、猫にはありません。猫の行動を決める基準は、常に「自分にとって得か、損か」のみ。他者の利益を考えて行動することはありません。
例外的に、子育て中の母猫はホルモンの影響を受けて、子猫を守ったり食事を与えたりなどの母性行動をとります。
猫は、犬に比べて「社会性がない」と思われがちです。しかし、同じ地域に住む猫との争いを避けたり、親しい猫と寄り添ったりなど、じつはかなり平和主義で優れた社会性をもっています。
そして猫は、基本的に「身近な相手と仲よく付き合いたい」と思っているので、飼い猫は飼い主さんに甘えたり身をゆだねたりなどの愛情表現をとります。これは、高い知能をもつ動物ならではの行動で、人が猫に魅了される大きな理由のひとつなのかもしれませんね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2023年7月号『今泉先生に聞きました 人の3歳児並みの知能ってホント!? 猫の脳のはなし』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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