飼い主さんを悩ませる愛猫の誤食。万が一口に入っても、なにごともなく体外に排出されればいいのですが、なかには腸を詰まらせたり傷つけたりするものも。体を傷つける危険なものと誤食の対処法を、ねこのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生に教えていただきました。
腸閉塞を起こしたり、腸にたまったりしやすいもの
腸閉塞を起こしやすいもの
1. 包装フィルム、ラップ剤、食品トレーなどの食品容器
包装フィルムやラップ剤は食べ物のニオイが付着し、噛み心地がいいので猫が誤食をしがちです。とくに愛猫の好きな食品が入っていたものは、注意が必要です。また、食品トレーも飲み込む大きさや腸を通過するときの傾きによって、詰まらせる危険性が。フタ付きのゴミ箱で処分しましょう。
2. ボタン、ビー玉、小石などの小物類
ボタン、ビー玉、小石などの小物は、猫が遊んでいるうちに誤食する可能性があります。ボタンは小さければ便に混じって出てくることもありますが、腸にはまってふさいでしまう危険性も。ビー玉や小石は重さがあるので、間違って飲み込むと腸にとどまりやすく危険です。
腸にたまりやすいもの
1. ビニール袋、レジ袋、スポンジなどの日用品
ビニール袋やレジ袋は、噛みちぎった切れ端なら便に混じって排出されますが、かたまりだと腸内に残ってしまう可能性があります。また、スポンジも胃液を含んで膨張し、胃を荒らしたり腸に詰まったりする原因になるでしょう。
2. 爪や歯が引っかかる網戸
猫が網戸を噛みちぎって長いひもの状態で飲み込むと、腸にからまる危険性があります。
内臓に刺さったり、内臓を傷つけたりしやすいもの
内臓に刺さりやすいもの
1. 焼き鳥の串、つまようじなどの尖ったもの
串は飲み込むと、狭い食道を傷つけたり胃腸に刺さったりします。つまようじも丸飲みしやすいので危険です。
2. 釣り針、縫い針、まち針などの針類
釣り針は、釣った魚のニオイに誘われて猫が口にしてしまうことが。細く曲がっているので、口内に刺さると外すのに手術が必要な場合があります。縫い針やまち針も、針についた糸で遊ぶうちに誤食する危険性があります。
内臓を傷つけやすいもの
1. 魚の骨
猫は食べものをほとんど噛まずに丸呑みするため、骨が付いたままの魚も丸呑みしてしまう恐れがあります。硬くて長い骨や魚の背骨などをそのまま飲み込んでしまうと、口の中やのど、食道などを傷つけてしまう危険性がありますので絶対に避けましょう。万が一、魚の骨が深く刺さったり、誤って気道に入ってしまうと、命に関わる可能性も。
2. 画びょう、ホチキスの針
画びょうは、何かの拍子に床に落ちて猫が口にしてしまいがちです。針のほうから胃腸へ進むと、内臓を傷つけたり、刺さったままになったりすることもあるでしょう。
ホチキスの針も、おもちゃとして遊ぶうちに飲み込んでしまうことが。使用後のつぶれた針は便に混じって出ますが、使用前のコの字型になったものは内臓を傷つける危険があります。
もしも誤食に気づいたら
――愛猫の誤食に気づいたとき、飼い主さんにできることはありますか。
岡本先生:
「かじったものの残りの破片や、かじられる前の状態の同じものを持って、早めに動物病院を受診することです」
――受診していいものか迷う人もいると思いますが、どのような場合に動物病院に連れて行ったほうがいいのでしょうか。
岡本先生:
「サイズや素材によっては、胃の中にあるうちに催吐(さいと)や内視鏡での摘出が必要になります。自己判断せず、なるべく早めに動物病院を受診したほうがいいでしょう」
愛猫が飲み込むことを想定していないと、いざ誤食してしまったときに危険性が理解できないことも。いま一度家の中にある危険物を確認し、万が一の事故を防ぎましょう。
(監修:ねこのきもち獣医師相談室 獣医師・岡本りさ先生)
参考/ねこのきもちWEB MAGAZINE『猫が食べてしまうと危険なものを知ろう~猫が食べると危険な植物、誤食しやすいもの』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。