解熱剤や鼻炎薬など、ほとんどのご家庭に何かしらの常備薬が保管されていると思います。飼い主さんからすれば人用の薬はとても大切なものですが、万が一猫が誤食してしまうと、取り返しのつかないことになるケースも……。
今回は、猫にとって危険な人の薬や、薬や小物の保管方法などを、獣医師の田草川佳実先生に伺いました。
体験談:薬の包装を食べてしまった!
岡山県・Y.Hさんの体験談
愛猫がしきりに前足で口の周りを触っていたので口の中を見てみると、上あごに薬の包装(1.5cm四方のブリスターパック)が引っかかっていました。すぐに夜間病院を受診し、うまく取れない場合は麻酔をかけると説明されましたが、幸いなことにすぐに取れました。飲み込んでいなくてよかったです。
先生のコメント
薬の包装のほか、シールなど粘着性のある物が上あごに張り付いて受診するケースもあります。もし包装だけでなく薬ごと飲み込んでしまった場合、薬の成分によっては命に関わるため、人の薬の取り扱いには十分注意してください。
猫の命に関わる! 人の薬の危険な成分
1粒や少量であっても、猫が命を落とすおそれがある成分は以下の通りです。
アセトアミノフェン
解熱剤や鎮痛剤に含まれている成分です。常備薬として家に置いているご家庭も多いかもしれませんが、猫が口にすると血中にある赤血球を壊してしまうため、大変危険です。
α-リポ酸
ダイエット用のサプリメントなどに含まれている成分で、猫が口にすると肝不全になってしまいます。猫好みのニオイがするため、猫を飼っている場合は家に置かないようにしましょう。
ミノキシジル
発毛剤などに含まれる成分です。猫が少量なめただけでも中毒症状を起こし、死に至るケースがあります。
薬類や小さい物の保管方法
人の薬類だけでなく、ボタンや画びょうなどの小さなものは、猫が口にしやすいアイテム。保管場所は猫が開けられないような棚にして、しっかりとロックができる密閉容器に収納しておくと安心です。
とくに子猫や若い猫は、好奇心からいろいろなものを誤食しがちなので、気を付けてくださいね。
人用の薬を猫が口にすると、最悪の場合命を落とします。家に置いてある薬の取り扱いには十分に注意し、間違っても愛猫が届く場所に薬を置き忘れないようにしましょう。
お話を伺った先生/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院獣副院長)
参考/「ねこのきもち」2023年9月号『半数の飼い主さんがヒヤリ!してます。 年代別ねこの誤食体験談』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。