愛猫の誤食に困っている飼い主さんの中には「愛猫が同じものばかり口にしようとする」という悩みをもつ方もいると思います。実際にそういう猫は多いので、猫が何を好みやすいのかを知っておくことはとても大切です。
そこで今回は、実際に起きた誤食事故の体験談と、猫が好んで口にしたがる物を、獣医師の田草川佳実先生に伺いました。
体験談1:菓子パンの袋を食いちぎって食べてしまった!
静岡県・S.Sさんの体験談
カシャカシャと音のする食品袋が好きで、よく噛んでいた愛猫。ある日、床に菓子パンの袋が落ちていて、パンはそのままでしたが袋の端が2カ所欠けていました。その後、下痢とおう吐が続いて元気もなかったため、菓子パンの袋持参で動物病院へ行って検査してもらい、飲み薬を処方されて様子見に。やがて異物はウンチと一緒に出たようで、愛猫は回復しました。
先生のコメント
猫は、中身の食品ではなく、カシャカシャ音に誘われて袋を口にしたがるようです。異物を誤食した場合、ウンチと一緒に出てくるのは誤食から1.5~2日後が多いので、誤食が疑われる場合は毎回ウンチを割って確認しましょう。
体験談2:おしりから“ふきん”の切れ端が出てきた!
千葉県・E.Nさんの体験談
子猫の頃から布類をかじるのが好きな愛猫。布類はすべて片付けていましたが、4才の頃にキッチンのふきんを誤食したようで、肛門からふきんの切れ端が出ていました。その状態で動物病院に行ったところ、診察中に暴れて肛門から出ていたふきんは落ちましたが、まだお腹に残っているおそれもあるため、そのまま入院に。その後、大丈夫と判断されて帰宅しました。この事故後も愛猫の誤食癖には悩まされましたが、7才を過ぎるとなくなりました。
先生のコメント
特定の物を好んで食べる猫はいます。そういう猫がいる場合は、すべて猫の目につかない場所に隠すしかないので、かなり大変です。E.Nさんの愛猫が7才を境に誤食をしなくなった理由は不明ですが、年齢を重ねると落ち着くことがあるのかもしれませんね。
体験談3:レジ袋を噛みちぎって食べてしまった!
東京都・K.Iさんの体験談
若い頃からレジ袋をなめていた愛猫。私は注意していたのですが、愛猫が12才のときに子どもが置いたレジ袋の持ち手部分が10cmほど噛みちぎられてなくなっていました。特に異変がなかったため様子を見ていたところ、翌日のウンチに異物がすべて出ていたので、ホッとしました。
先生のコメント
レジ袋は、ペロペロとなめたあと、ガジガジと噛みだす猫が多いようです。飲み込んだ切れ端が小さければウンチと一緒に排出されますが、大量に飲み込むと腸に詰まる危険性があるので、出しっぱなしは厳禁です。
猫が好んで口にしたがる物は?
猫が特定の物の誤飲を繰り返すのは「異嗜(いし)」と呼ばれる問題行動である場合があります。猫が好みやすい物は、以下のとおりです。
・布類
・紙類
・ポリ袋、ビニール類
・プラスチック類
・スポンジ、ウレタン
どれもありふれた物なのですべてを隠すのは困難ですが、異嗜の兆候が見られた際は、可能な限り注意して生活をしましょう。
猫が異物を誤食すると、特に問題なく排せつされることもありますが、異物の種類や量によっては、命に関わるケースもあります。猫が好みやすい物を把握し、できるだけ触れさせないよう気を付けたほうがいいでしょう。
お話を伺った先生/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
参考/「ねこのきもち」2023年9月号『半数の飼い主さんがヒヤリ!してます。 年代別ねこの誤食体験談』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。