シニア猫期(7~15才)の中期になると、加齢に伴う病気が表面化してくる傾向があります。また、ハイシニア猫期(16才以降)に入ると、見た目や行動にも老いがはっきりとあらわれるようになるでしょう。
今回は飼い主さんが体験した、シニア猫期~ハイシニア猫期に起こった“事件”をご紹介。獣医師の徳留史子先生が詳しく解説します。
【14才頃からの事件】奇声をあげるようになった
「家族の姿が見えなくなると、『アオ~ン』などと奇声を発し続けるようになりました」(岩手県 C・Kさん)
徳留史子先生の解説
猫は14才頃になると、子どもがえりしたかのように甘えん坊になり、人がそばにいないと不安から、大声で鳴くことがあります。ただ、シニア猫期になりやすい「甲状腺機能亢進症」でも大声で鳴き叫ぶようになることがあるため、一度獣医師に相談してみましょう。
猫の奇声にどう対応したらいい?
原因が病気でない場合は、できるだけ要求に応えてあげましょう。1匹になったときに鳴くなら、できるだけ一緒にいるようにしてください。スキンシップを増やして、甘えたい要求を満たしてあげるのもいいですね。
【16~18才頃の事件】排泄時にはみ出すようになった
「腰を上げたまま排泄するようになり、オシッコやウンチがトイレの外に……」(三重県 Y・Tさん)
徳留史子先生の解説
16才頃になると、オシッコやウンチをトイレの外にはみ出しがちになる猫もいます。原因は猫によってさまざまですが、排泄機能や認知機能の低下のほか、関節の痛みや筋力の低下によって排泄時にうまく座れないこともあるようです。
排泄時のトラブル対策は?
トイレの下に大きめのサイズのペットシーツを敷くなどして、トイレの外にオシッコやウンチがはみ出してもいいような環境づくりをしましょう。また、筋力などが低下しても入りやすいように、入り口が低めのトイレにするのもいい方法です。
【16才頃の事件】認知症の疑いが出た
「粗相(そそう)をしたり、ゴハンを食べてもまたすぐほしがったりするように。獣医師に相談したら認知症の疑いがあると告げられました」(大阪府 H・Uさん)
徳留史子先生の解説
老化に伴って脳の働きが低下し、16才以降になると「認知症」の症状があらわれる猫もいます。発症すると完治は望めないため、症状を緩和するなどの治療を行うことになるでしょう。
「粗相する」「ゴハンを食べてもすぐほしがる」のほか、「徘徊する」「夜鳴きする」といった症状があらわれることも。なかには、病気でもあらわれる症状があるため、獣医師に相談しましょう。
認知症を予防するには?
日頃から刺激を与えて、脳を活性化させましょう。もう遊ばないからと遊びに誘うのをあきらめず、おもちゃを見せたり、窓の外を見せたりして、無理のない範囲で行ってみてください。
シニア猫期からハイシニア猫期にかけては、猫の行動などに変化が出てくる時期。猫の老いによる行動の変化を理解し、少しでも不安なことがあれば獣医師に相談しましょう。愛猫が健康的で穏やかに過ごせる時間をサポートしてあげたいですね。
お話を伺った先生/徳留史子先生(獣医師)
参考/「ねこのきもち」2020年2月号「読者が実際に体験した、年齢別に起こりやすいトラブルや病気がわかる! うちのコ、○才事件簿」
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。