愛猫とはいつまでも一緒に過ごしていきたいですが、いずれお別れをしなければいけない日がやってきます。今回は、愛猫とのお別れを意識したときに、飼い主さんがやっておきたいことについて、獣医師の宮下ひろ子先生に教えていただきました。
最期を意識した治療について考える
延命か自然に任せるかを考える
少しでも長く生きてもらうために延命治療を受けるのか、無理せずに自然な形で死を迎えるのか、選択が必要なときがやってくるかもしれません。どちらの選択が間違いということはありませんので、飼い主さんの希望を獣医師に伝え、最善の方法を一緒に考えてもらいましょう。
治療費など経済的な問題も考慮する
動物病院での治療には費用がかかるため、経済的な問題も出てくるでしょう。延命治療にどこまで費用を出すことができるのかは、遠慮なく獣医師に伝えることが大切です。愛猫の状態にもよりますが、薬や通院の回数を減らすなど調節できることもあります。
最期にむけて環境を整える
自宅で看取ることは可能かを確認する
最期は自宅で……と考えている飼い主さんも多いでしょう。しかし、病状によっては動物病院で処置をしないと、痛みや苦しみが軽減できないまま息を引き取ることも。獣医師であればどのように臨終を迎えるのか予測することができるので、自宅で看取ることができるか確認しましょう。
家族で役割分担をしておく
家族がいる場合は、治療や最期の迎え方について話し合いをしましょう。そのうえで、日中お世話をする人、夜一緒に寝る人など役割分担を決めておくと、介護の負担が分散されます。
最期の数日間のために暖かい寝床を用意する
最期の数日間はほとんど寝て過ごすことになるため、体温が低下しないように暖かい寝床を用意しておきましょう。おう吐や排せつなどにより汚れることを考慮して、浅めの段ボール箱を使うのもおすすめです。その場合は、クッションなどを置いておくと床ずれの予防になります。
少しでも前向きに過ごせるように意識する
密度の濃い時間を過ごすことが大切
飼い主さんが仕事をしている場合、一緒に過ごす時間が限られてしまいますが、長さよりも質が大切だと考えましょう。愛猫が好きなスキンシップを積極的に行い、密度の濃い時間を過ごしてください。呼吸が苦しそうなときは、体の向きを変えずにやさしく声をかけてあげましょう。
前向きな気持ちでお世話をする
衰弱していく姿を見るのはつらいですが、お別れのことばかりを考えて悲観してしまうよりも、目の前で懸命に生きている愛猫に目を向けましょう。飼い主さんにやさしくお世話をされることで、猫は安心でき、心穏やかな時間となるでしょう。
愛猫とのお別れを意識したときは、後悔しないためにもしっかりと考えておきたいですね。
お話を伺った先生/宮下ひろこ先生(獣医師 動物病院専任カウンセラー)
参考/「ねこのきもち」2020年2月号『いつかは訪れるサヨナラのために。大好きなあのコと過ごした最期の日々』
文/山村晴美
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。