日本の獣医療では近年、欧米と同じような二次診療専門の動物病院が増えてきています。飼い主さんのなかには、気になっている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、獣医療における二次診療について、獣医師の金園晨一先生にお話を伺いました。
一次診療との違いは? 獣医療における二次診療の役割
一次診療の動物病院(一次診療病院)から紹介を受けて、別の動物病院がより専門的に行う診療のことを二次診療といいます。一次診療と二次診療には、それぞれ以下のような役割があります。
猫の健康全般を診てくれる「一次診療」
ワクチン接種や定期的な健康診断、愛猫の健康で気になることがある場合などに受診するのが一次診療です。いわゆる“かかりつけの動物病院(で受ける診療)”のことを指します。
より専門的な診療を行う「二次診療」
一次診療の結果、さらに専門的な検査などが必要と判断された場合に受診するのが二次診療です。ここでは、より専門的なアドバイスや治療、CTやMRIといった精密検査機器による検査などが行われます。いわば“万一のときに受診する可能性のある動物病院”といえるでしょう。
ただし、専門性の高い医療を提供する一次診療病院もあります。そのような場合は、二次診療を受ける必要がないケースもあるでしょう。
二次診療を専門に行う動物病院が増えてきた背景
日本の獣医療界では、かねてより大学付属の動物病院が二次診療の役割を担っていますが、2000年あたりから、二次診療を専門に行う民間の動物病院(二次診療病院)も増えてきました。その背景には、動物愛護への意識の変化や、獣医療の高度化があると考えられています。
飼い主さんは“家族の一員”であるペットのためによりよい獣医療を求めるようになり、獣医療には神経科や皮膚科、循環器科などの専門医制度ができ、より専門性の高い医療へと変化してきたからです。
一次診療病院と二次診療病院が連携して猫の健康をサポート
なお、二次診療を受けることになったからといって、一次診療病院との関係がなくなるわけではありません。猫の病気の基本情報は、一次診療病院と二次診療病院で共有されます。
たとえば「手術は二次診療病院で行い、予後の経過観察は一次診療病院で行う」といったように、両動物病院が連携しながら医療を分担し、猫と飼い主さんをサポートしていくのです。
二次診療について知っておけば、愛猫にもしものことが起こったときに役立つかもしれません。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/金園晨一先生(どうぶつの総合病院専門医療&救急センター病院長 獣医師 米国獣医神経科専門医 アジア獣医神経科専門医)
参考/「ねこのきもち」2023年12月号『愛猫が万一のとき最善の医療を届けるために「二次診療」を知ろう』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。