ドーパミンやセロトニン、オキシトシンなどの幸福感や喜びをもたらす神経伝達物質やホルモンのことを、一般的に“幸せホルモン”と呼びます。人の話題で耳にする言葉ですが、猫にも当てはめることができるのだとか。
そこで今回は、“幸せホルモン”と呼ばれるもののなかから「ドーパミン」をピックアップし、その特徴や分泌量を促す方法(※)などについて、愛玩動物看護師の小野寺温先生にお話を伺います。
※猫の“幸せホルモン”についてはあまり研究が進んでいないのが現状ですが、人の研究からわかっていることをもとに分泌法をご提案します。
“幸せホルモン”のひとつ「ドーパミン」とは
ドーパミンは、脳の側坐核(そくざかく)という場所が刺激を受けることで分泌される、やる気のもととなる神経伝達物質です。
目標を達成したときやチャレンジに成功したとき、何らかの報酬を得たとき、ほめられたときなどに分泌され、うれしい、楽しい、幸せといった感情をもたらすだけではなく、またその感覚を得ようと前向きな気持ちにさせ、意欲的になって集中力を高める働きも。
さらに、多くの生命活動に関わっているとされ、感情、記憶、思考、理解など、脳の機能にも関係していると考えられています。
「ドーパミン」が不足するとやる気がなくなる?
ドーパミンが不足すると、やる気や集中力が低下する、無気力になるほか、眠気やだるさを感じやすくなったり、不安が強くなったりします。
なお、人においては、ドーパミン不足が原因で深刻な病気を引き起こすことがわかっており、猫の場合も、ドーパミン不足は心身の健康に大きく影響すると考えられています。
「ドーパミン」の分泌を促すために飼い主さんができることとは
では、猫のドーパミン不足を防ぐためには、どのような工夫をすればよいのでしょうか。
ゲーム要素を取り入れながらフードを与える
片方の手にフードやおやつを握って両手を猫に差し出し、猫が前足や鼻を近づけたほうを開いて正解なら与えるなど、ゲーム要素を取り入れたコミュニケーションを取るとよいでしょう。繰り返すことで猫がルールを理解し、当てることを楽しむようになるはずです。
遊ぶときは必ず猫におもちゃを捕まえさせる
猫にとっては、狩り活動におけるチャレンジ成功がとても大事。じゃらしおもちゃを使った遊びでは、獲物に見立てたおもちゃを猫に追いかけさせるだけではなく、必ず何度か捕まえさせるようにすると、ドーパミンの分泌につながります。
考えさせる容器でフードを食べさせる
食べる方法を考えさせるような容器を使い、猫にフードを与えるのもよい方法です。たとえば、フードを製氷皿に一粒ずつ入れたり、ペットボトルに入れたりするのがおすすめ。猫は何とかして食べようと工夫し、成功したときにはドーパミンが分泌されるでしょう。
ここでは、人の研究からわかっていることをもとに、猫のドーパミンの分泌を促す方法などについてご紹介しました。毎日の生活に意識的に取り入れることで猫のやる気をアップさせ、日々の暮らしを豊かにしてあげられるとよいですね。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2024年4月号『増やすためにはどうしたらいい? 猫の毎日をハッピーにする 3つの幸せホルモン』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。