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【獣医師が解説】「ぜーぜー」猫が咳してる!予防法は?原因と病気のサイン

猫の咳には「病気が原因」と「逆くしゃみ」の大きく2種類があります。今回はその見分け方と、咳から考えられる病気と予防法、そして生活環境の整え方を獣医師が解説します!いつもと違う体の異変が現れたら、獣医師に相談しましょうね。

佐藤 貴紀 先生

 獣医師
 目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院顧問
 VETICAL動物病院(オンライン相談)
 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

●経歴:
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立 白金高輪動物病院院長
株式会社FORPETS代表取締役
JVCC動物病院グループ代表取締役
株式会社WOLVES Hand取締役

●資格:獣医師/獣医循環器認定医

●所属:日本獣医循環器学会

●主な診療科目:循環器科

●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫『犬の急病対応マニュアル』鉄人社

●SNS:公式Facebook公式ブログ公式TwitterYouTube『名医のいる相談室』

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猫の咳|「ケホケホ」と乾いた咳:考えられる病気

猫の顔
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

「気管支炎」


  • 症状
    元気・食欲の低下を伴うことがあり、咳や発熱が主な症状です。


  • 治療
    咳をはじめとする全身状態、体温、聴診、レントゲン撮影などによって診断し、一般的には抗生物質、抗ウイルス薬などの投与により治療します。栄養補給を十分に行い、部屋を暖かくして安静に過ごしましょう。


  • 解説
    寄生虫や異物の誤飲、吸引で起こることもありますが、多くはウイルスや細菌感染が原因です。特に、冬場の「猫カリシウイルス感染症」などが原因のケースが多いといわれています。気管支に炎症を起こす病気ですが、ワクチン接種で防げる場合も多いので予防接種を行うことが大切です。

「猫ウイルス性鼻気管炎」


  • 症状
    元気や食欲がなくなり、発熱・鼻水・くしゃみ・結膜炎による涙眼などの症状がでます。


  • 治療
    一般的には飼育環境や臨床症状などを参考に治療に移ります。ウイルスに対する治療と並行し、二次感染による症状の悪化を予防するために抗生剤を併用し治療にあたります。


  • 解説
    「猫ヘルペスウイルス」をもっている猫との直接接触や、くしゃみや咳などで浴びる唾液などの飛沫で感染します。冬場の乾燥した季節に多い病気ですが、ワクチンを接種しても、まれに感染することもありますが、あらかじめ接種しておけば比較的軽症でおさまることも多いです。このウイルスは一度感染してしまうと免疫ができてしまい、症状がなくなってもウイルスが神経細胞の奥に隠れてしまいます。時間が経って猫がストレスを感じたり猫の免疫力が下がったりすると、再度発症することがあります。感染する前に予防接種を受けて重症化を防ぎましょう。

猫の咳|「ゼエゼエ」と湿った咳:考えられる病気

眠る猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

「トキソプラズマ症」


  • 症状
    ほとんどの猫には症状は現れません。しかし子猫や病後など抵抗力・免疫力が低下している猫が感染した場合は食欲不振、一過性の下痢、粘血便といった症状が認められます。その他に発熱、咳の症状や呼吸困難など、呼吸器系の症状も見受けられます。重篤な場合は命の危険があるので、早めの受診が必要です。


  • 治療
    血液検査によって抗体検査を実施し、場合によっては糞便検査を実施します。検出できないことも多いので、獣医師には猫の症状を詳しく説明しましょう。下痢や発熱などがある場合はそれぞれに応じた治療を行い、トキソプラズマに効果のある抗菌剤の投与で治療を行います。


  • 解説
    猫がトキソプラズマを含む肉を食べたり、トキソプラズマに感染した小鳥やネズミを食べたりすることで、トキソプラズマという原虫に感染して発症する病気です。その他にも、感染した猫の便が感染源になることもあります。

「猫クラミジア症」


  • 症状
    目やにを伴う結膜炎やくしゃみ、鼻水、咳などの症状が表れます。進行すると気管支炎などを併発し、重篤な場合は肺炎から呼吸困難を起こし死に至ることもあるので早めの受診が大切です。


  • 治療
    猫クラミジア症の診断としては、PCRもしくは血液による抗体検査があります。治療法はクラミジアに効果のある抗生物質を投与し、重篤な場合は輸液で水分補給をしながら栄養補給を行います。



  • 解説
    「猫クラミジア」という微生物に感染することにより発症します。感染経路としては、感染している猫と接触することによる接触感染が多く、感染している母猫から子猫へと感染する垂直感染もあります。多頭飼いの家庭やほかの猫との接触が多い場合は、あらかじめワクチンを接種するなどして予防しておきましょう。

猫の咳には心筋症などの重篤な病気が潜んでいることも

目を細める猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
咳の原因として挙げられる病気には、心筋症といった重篤なものもあります。また、咳をともなう猫の重篤な病気として、以下のようなものもありますので、咳がおさまらず長引くようであれば、動物病院の受診をおすすめします。

「心筋症」


心臓の筋肉が、厚くなったり薄くなったりすることで、心臓が正常にはたらかなくなる病気です。咳が出るほか、食欲不振、元気がなくなる、呼吸が荒くなるなどの症状があらわれます。また、心臓の機能低下により動脈に血栓がつまり、後ろ足が動かなくなる後肢不全麻痺も起こることがあります。

「巨大食道症」


食道の一部分が必要以上に広がり、そこに食べた物や水分がたまってしまう病気です。食べたものを胃に送り込むことができなくなり、食後すぐに嘔吐してしまう(吐出)、体重の減少、異物を取り除こうと咳をするなどの症状がみられます。

「リンパ腫」


リンパ球がガン細胞化してしまう大変やっかいな病気です。腫瘍ができる部位にもよりますが、咳が出る、痩せてくる、呼吸が荒くなるなどの症状があらわれます。

「猫喘息」


原因は明らかではありませんが、刺激物や観戦、ストレスにより慢性的に呼吸器症状が起き、苦しそうな咳を行うと共に、活動性の低下を招きます。

猫の咳|病気が原因の咳と逆くしゃみの見分け方

毛玉ボールを狙う猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
さっきまでくつろいでいた愛猫が、突然鼻をブーブーと鳴らし、苦しそうに首を前に伸ばすようなしぐさをしていることがあります。その姿に飼い主さんは驚き、愛猫に駆け寄るでしょう。しかし当の本人は、しばらくそのしぐさをした後はケロッとしています。「いったい何だったんだ…」と、飼い主さんは放心状態になるかもしれませんが、その愛猫のしぐさは「逆くしゃみ」と呼ばれるものかもしれません。

「逆くしゃみ」とは

「逆くしゃみ」とは、読んで字のごとく、くしゃみとは逆のものです。くしゃみの原理は、粘膜などに刺激があったときに鼻から急速に空気を送り出し、異物を除去しようとします。逆くしゃみはその逆で、鼻から急速に空気を吸い込む生理現象のことを指します。

逆くしゃみは空気を勢いよく吸い込むとき細い鼻腔に勢いよく空気が通るので、気道が狭くなってブーブーやガーガーといった音が出ます。音が鳴っているときは吸気なので、胸が大きく広がって見えるので見分けやすいでしょう。逆くしゃみは猫の生理現象ですが、あまりに頻回に起こったり、逆くしゃみの後にパタンと倒れたりする場合は、他の病気が原因の可能性もあります。

もし逆くしゃみが1分以上続いたり、痙攣を起こしたり、倒れて失神したりする場合は、早めに獣医師へ相談しましょう。その際は、逆くしゃみの様子を動画で撮っておくと、診察の手助けになることがあります。

ワクチンで防げる病気もある!

注射をされる猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
感染症によってはワクチン接種をしておくことで、予防をすることができます。ワクチンは主に3・5・7種の中から選びます。それぞれ防げる病気は以下の通りです。

  • 3種ワクチン
    「カリシウイルス」「ヘルペスウイルス」「猫汎用白血球減少症」


  • 5種ワクチン
    「カリシウイルス」「ヘルペスウイルス」「猫汎用白血球減少症」「クラミジア」「猫白血球ウイルス感染症」


  • 7種ワクチン
    「カリシウイルス(3種類)」「ヘルペスウイルス」「猫汎用白血球減少症」「クラミジア」「猫白血球ウイルス感染症」


「カリシウイルス」「ヘルペスウイルス」「クラミジア」も猫かぜの原因になります。抵抗力や免疫力が弱っているときには獣医師と相談しながらワクチン接種を行いましょう。

生活環境を整えて猫の咳を防ごう!

ごはんを食べる猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫の咳の原因には、逆くしゃみといった「生理現象」もありますが、「感染症やその他の病気が原因」のものがあります。いずれも猫の生活環境を整えることが、感染症や異物を飲み込んでしまうことを防ぐことに大きく貢献します。そして、猫ちゃんがすでに感染していても飼い主さん次第で発症を抑えられるケースもあります。トイレを清潔に保ったり、新鮮な食事や水を用意したり、季節に合った部屋作りに気をつけたりと、ストレスの無い環境作りを考えましょう。

愛猫を苦しめないためには、「感染経路を知ること」「予防しておくこと」「感染しても発症させないこと」が重要です。ストレスの無い環境作りをして、愛猫と一緒に健やかな日々を過ごしましょう。

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参考/「ねこのきもち」2016年5月号『ねこの5大感染症』
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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